SpaceX:火星移住に向けての計画に関して情報解禁

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今回の火星移住計画においてカギとなる、SpaceXが開発したカーボン繊維を原料としたタンク。近日中に破壊試験が行われるという。
Image:SpaceX

10月23日、SpaceX CEOのElon Musk氏が、現在開発中であるITS*1(以下、宇宙飛行システム)についての詳細をRedditのディスカッションサイトで公表した。本システムは、9月27日にメキシコで開催された国際宇宙会議にて、初公開されている。

今回の宇宙飛行システムは、SpaceX開発の下、液体燃料のロケットエンジン「ラプター(Raptor)」を42機使用した液体ロケットブースター*2と、地球と火星を往復する100人乗りの宇宙船(共に再利用可能)で構成されている。本システムに置いてカギとなるラプターに関しては、ディスカッション直前に初実験が成功したという。

また、宇宙船を製造するにあたり一番苦戦したのは、巨大推進薬タンクの製造であることをMusk氏は明かした。炭素複合材を原料としたタンクについて、「理論上、極低温推進薬*3を、蓋なしで漏らすことなく貯蔵出来るはず。初期段階での実験結果は上々だ。」とMusk氏は述べた。

今回の宇宙飛行システムにて、トップバッターを務める宇宙船「Heart of Gold」号は、無人で火星まで送られるという。後から到着する宇宙船のために地球帰還用の推進剤工場を運ぶそうだ。
「Heart of Gold」号に続く宇宙船には1人の操縦士を乗せ、現地での滞在基地と推進薬工場の完成を目指すという。Musk氏は、「26ヶ月ごとに訪れるランデブーに合わせて、火星都市が自立するまで2倍ずつフライトの数を増やそうと思っている。」と明かす。

また、9月1日に起きたファルコン9号の爆発事故についてコメントはなかったものの、シリーズの最終形となるBlock 5モデルの製造を行っていることが明かされた。「本モデルは、再利用しやすく、パフォーマンスも今までのバージョンと比べて一番高いので、初期のものは切り捨て、Block 5の製造に集中する。」とコメントした。「最新のファルコン9号の再利用回数は10回まで」と、SpaceX会長Gwynne Shotwell氏が見解を述べる反面、Musk氏は前向きだ。「定期的なメンテナンスと、細かい点検さえ行えば、F9(ファルコン9号)のブースタは何回でも使えるはず。」と語った。

今週の英語フレーズ

“I think we need a new name. ITS just isn’t working,” he said.

「ITSという名前がしっくり来ないからには、新しいシステム名が必要だ。」と彼(Musk氏)は語る。

用語解説

*1 ITS:インタープラネタリー・トランスポート・システムの訳。「惑星間輸送システム」の意。
*2 ロケットブースター: ロケット打ち上げ時にエンジンの推力を増加させる追加機関。燃料と酸化剤が主に液体から出来ている。
*3 極低温推進薬: 液体酸素および液体水素をはじめとした、液体推進薬の一種類。

出典元

2016/10/26, Website(SPACE NEWS), Musk offers more details about Mars mission architecture, http://spacenews.com/musk-offers-more-details-about-mars-mission-architecture/

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