小型衛星打ち上げ専用の小型ロケットの開発を目指すVector Space Systems

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Vector Space Systems社ロケットプロトタイプ
Image Credit: Vector Space Systems

Vector Space SystemsはSpace X創業時のメンバーだったJim Cantrell氏とJohn Garvey氏が立ち上げたスタートアップ企業だ。
アメリカ・アリゾナ州、ツーソンに本社をおく、小型衛星打ち上げ専用のロケットを開発している会社である。

Vector Space Systemsの狙い

Vector Space Systemsのゴールは、衛星開発者が衛星やロケットの調達にとらわれず、自身のサービスのみに集中できる環境を提供することだ。現在は衛星の打ち上げにコストがかかり、事前に綿密な計画が必要となる。Vector Space Systemsは衛星の打ち上げコストを下げ、衛星開発者から打ち上げロケットや衛星調達の憂慮をなくすことを目標としている。

Vector Space Systemsは2つのロケットを運用する予定だ。質量50kgの軌道打ち上げ能力を持つVector Rと100kgの打ち上げ能力を持つVector Hだ。Vector HはVector Rを拡張することによって実現するため、二つのロケットは比較的低コストで開発することができる。低コストの小型衛星専用ロケットを目指すため、他社のロケットに比べ小型なのが特徴だ。以下の写真から、Space XやBlue Originのロケットとの大きさの違いが分かるだろう。

Vector Space Systems社ロケットプロトタイプ
Image Credit: Vector Space Systems

Vector Space Systemsの強み

Vector Space SystemsはSpace Xや他の小型ロケット開発会社からの差別化を狙っている。他のロケット会社では数年前に打ち上げの予約を行い、打ち上げ前に多くの実験や、衛星の輸送を行った後に、複数の小型衛星が専用の容器に入れられ、相乗りで打ち上げられる。例えるならば、様々な乗客が混在する宇宙行きへのバスと言えるだろう。

これに対してVector Space Systemsはそれぞれの乗客専用の宇宙行きタクシーになることを目指している。小型衛星専用にロケットを用意し、価格や打ち上げ時刻もフレキシブルに対応することができる。必要ならば1日おきにロケットを打ち上げることも可能だ。さらにVector Space Systemsのロケットでは、小型衛星を専用の容器に入れる必要もない。これは衛星の設計の自由度を増やす大きな利点である。

Vector Space Systemsの展望

Vector Space Systemsは世界中に多くあるロケット開発会社の一つでしかない。しかし、小型衛星打ち上げに特化したロケットを開発することで、他ロケット会社よりも小型衛星それぞれの要望に柔軟に対応できるよう目指している。そして最終的には、小型衛星打ち上げ環境を整えることで、さらなる宇宙開発の発展を支えるつもりだ。

Vector Space Systemsはこれからの活躍が見逃せない企業の一つだろう。

今週の英語フレーズ

Vector’s larger goal is a platform for Space App Developers allowing you to concentrate on developing your solutions and not worrying about procuring launches and satellites.

「Vectorの大きな野望は、宇宙開発者が打ち上げや衛星の調達に苦心することなく、目的とすることに集中することができるプラットフォームを提供することだ。」

出典元

2017/04/22, Vector Space Systems, https://vectorspacesystems.com
2017/04/22, Tech Crunch, Vector Space Systems aims to launch satellites by the hundreds, https://techcrunch.com/2016/04/26/vector-space-systems-aims-to-launch-satellites-by-the-hundreds

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