宇宙利用ベンチャーは大手衛星メーカーと組んで衛星を60機を製造

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BlackSkyが開発した初号機Pathfinder1。2016年に打ち上げられた。
Image Credit:BlackSky

シアトルに拠点をおく宇宙ベンチャーBlackSkyが、ヨーロッパ最大の衛星メーカーであるThales Aleniaとジョイントベンチャーを設立し、60機の衛星群を製造すると発表した。

統合された衛星画像プラットフォームを目指すBlackSky

BlackSkyは、Spaceflight Industriesの一部で、AI分析プラットフォームを開発中だ。このプラットフォームには、自らの衛星の撮影した画像だけでなく、他社の衛星画像も読み込まれる。ソーシャルメディアやグローバルニュースから情報を自動的に読み取り、顧客が興味のある地域を決定、予想される画像リクエストに即座に答える。

CEOで創設者のJason Andrewsは「我々のビジネスモデルは他の企業のどれとも異なる」という。BlackSkyからすれば他の衛星画像に関するベンチャーは、衛星画像の供給者とみなされる。BlackSkyでは、それらのデータ全てを用いて今何が起きているのか全体像を描き出し、顧客に提供する。

欧州大手衛星メーカーのThales Aleniaは、超小型衛星の製造業者の座を狙う

Thales AleniaのCEOであるJean-Loïc Galleは「この協業はThales AleniaのNew Space への変革戦略を反映している。」と語った。
”New Space”とは、近年の新しい宇宙業界の動きを示しており、今まで政府機関の宇宙開発を担ってきた大企業とは異なる、新しいベンチャーが次々と出てきている。

Thales Aleniaは30年以上に渡りフランスの国防に関する衛星の製造を行ってきた大手企業だが、そんな大手企業もNew Spaceへの対応を迫られているというわけだ。

New Spaceの動きに、既存の宇宙企業の対応は・・・

とはいえ、変革戦略を取っているのはThales Aleniaだけではない。同じく欧州の大手衛星製造メーカーAirbusは、数千機の通信衛星の打上げを計画しているOneWebの衛星製造を受注し、専用の製造ラインを用意、アメリカの大手衛星メーカーSpace Systems Loral(SSL)もNew Spaceの代表格であるTerra Bella(現在はPlanetに買収された)の衛星の製造を請け負い、専用の施設を準備している。

欧米の大手衛星メーカーが、大きな投資資金を持って新規参入してくる宇宙ベンチャーの製造業というポジションを確保しようとしている構図だ。
技術が進歩したとはいえ、人工衛星の製造はまだまだハードルが高い分野だ。厳しい宇宙環境の中で確実に動作する製品を数百~数千機製造するためには、大手メーカーの生産技術や品質保証などのノウハウが欠かせない。

老舗企業の技術力と新規ベンチャーの発想力を組み合わせて、宇宙ビジネスの変革は本格化し始めている。

今週の英語フレーズ

“Our business model is slightly different than everybody up here,”

我々のビジネスモデルは、今までのどの衛星画像提供サービス企業とも少し異なる。

出典元

2017/09/15, SPACENEWS, BlackSky taps Thales Alenia to build constellation of 60 fast-revisit EO satellites,
http://spacenews.com/blacksky-taps-thales-alenia-to-build-constellation-of-60-fast-revisit-eo-satellites/

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