ロケット開発ベンチャー企業とビジネストレンド2017

宇宙開発は国家機関がやることだと思われがちですが、近年では民間ベンチャー企業が数多く起業し、宇宙ビジネスが盛んになってきています。特にアメリカでは、シリコンバレーを中心に宇宙ベンチャー企業が多く揃っています。

前回の記事ではアメリカを中心とした海外の注目宇宙ベンチャーを宙畑がピックアップ、概要を紹介しました。今回から3回に分けて、前回紹介しきれなかった企業について詳しく解説していきます。また、日本のベンチャー企業についても合わせて紹介します。

まとめ:宇宙ビジネスベンチャー企業一覧2017 アメリカ編
第一回:ロケット開発&打ち上げサービス事業のビジネスモデルと主要企業
第二回:衛星による通信サービスを提供するベンチャー企業
第三回:衛星によるリモートセンシングをサービスにするベンチャー企業

今回は第一回:ロケット開発&打ち上げサービス事業のビジネスモデルと主要企業を詳しく紹介します。

ロケット開発&打ち上げサービスのビジネスモデル

 ロケットは所定の場所まで、人工衛星を運ぶ役割を担います。人工衛星の需要の高まりと比例して、ロケットの打上げ機会も今後増えていくと予想されます。
 すでに政府機関向けに開発したロケットは成功率も高く、製造工程も整っていますが、価格が高いのが難点です。

 そこで、宇宙以外の分野で大きな資金を得た人たちが、巨額の資金を投入し、新しい安価なロケットの開発に挑戦しています。新しいロケットの開発により、ロケットの打ち上げ価格が安くなることで、人工衛星が打ち上げやすくなり、人工衛星を使った事業へのハードルを下げることができます。

価格を下げる方法は大きく分けて2通りあります。

1.ロケットを再利用可能にすることで価格を下げる

一度打ち上げたロケットを地球に再着陸させる技術や、繰り返し燃焼させたロケットのエンジンの保守点検をいかに適切に行うかが成功の鍵となります。

2.小型衛星向けの小さなロケットを作り価格を下げる

近年の小型衛星の盛り上がりを受けて投資が集まっている方法です。現在、小型衛星は大型衛星の打ち上げの余ったスペースに相乗りする形で打ち上げられているケースが多いです。

ただ、この場合だと小型衛星は打ち上げの時期や軌道を自由に選ぶことができずミッションに制約が生じます。小型衛星向けロケットはこの問題を解決することができます。

ロケット開発&打ち上げサービスを行う主要ベンチャー企業

それでは、実際にどのような企業があるか紹介します。

まずは、再利用ロケットを開発している2社です。

◆SpaceX

会社URL: http://www.spacex.com/
  再使用できるロケットを使用して従来の半分の価格で、ロケットの打ち上げを提供するアメリカの企業。2002年に現テスラモーターズCEOかつPayPalの創業者でもあるイーロン・マスクによって設立されました。

打ち上げ後、戻ってきて着陸するロケット”Falcon 9”
Image Credit: SpaceX

◆Blue Origin

会社URL: https://www.blueorigin.com/
Blue Originは、Amazon.com社長のJeff Bezos氏により2000年に設立された、米国ワシントンに拠点を置く会社。SpaceXと同様、ロケットを再利用することによって低価格を実現します。SpaceXは一部再利用であるのに対し、Blue Originはすべてを再利用可能にすることに挑戦しています。

打ち上げ後、戻ってきて着陸するロケット”New Shepard”
Image Credit: Blue Origin

小型衛星向けロケットとして、次の3社が有力です。

◆Virgin Galactic

会社URL:http://www.virgingalactic.com/
 Virgin Galacticが開発するのは、飛行機に乗せて地上1万mまで運び、空中発射するロケットLauncherOneです。ロケットが最もパワーを必要とするのは地上から発射する瞬間なので、その部分を飛行機で代替することで、余計な燃料のいらない小型・安価なロケットとなります。

飛行機の下に取り付けられ、空中で発射されるLauncherOne
Image Credit: Virgin Galactic

◆Rocket Lab

会社URL: https://www.rocketlabusa.com/
225kg以下の小型衛星の打ち上げに特化したロケットを開発しているベンチャー企業。炭素繊維強化プラスチックを用いたロケットボディや、3Dプリンターで製作するロケットエンジンなど技術的な革新要素を盛り込んでいます。

Rocket Labのロケット”Electron”
Image Credit: Rocket Lab

◆Vector Space Systems

会社URL:https://vectorspacesystems.com/
SpaceX創業時のメンバーが立ち上げた小型衛星専用ロケット開発会社です。価格や打ち上げ時間の柔軟さなどを強みに小型衛星用のロケット開発を行っています。ロケットは50kgと100kgの打ち上げ能力を持つロケットをラインナップし、Rocket Labと同様小型衛星の打ち上げを担います。

エンジン噴射実験時の様子
Image Credit: Vector Space Systems

ロケットは開発していませんが、打ち上げ機会の斡旋を行っているベンチャーもあります。

◆Spaceflight industries

会社URL: http://www.spaceflight.com/
超小型衛星向けに、(1) ロケット打ち上げ枠斡旋 (2) 地上局ネットワーク (3) 超小型衛星システムの3本柱を提供する会社。(1)の打ち上げ斡旋サービスでは、従来衛星を打ち上げたい人はそれぞれのロケット会社と契約を結ぶ必要がありましたが、Spaceflightではホテルのネット予約のように、様々なロケットの空き状況が一覧で確認・選択できます。

ロケットの空き状況がネットで確認できる (SpaceflightWEBサイトより)

世界の流れに追いつくべく、日本の会社も頑張っています。

◆インターステラテクノロジズ

会社URL:http://www.istellartech.com/
2013年創業。IT起業家のホリエモンこと堀江貴文氏がスポンサーであるということで話題にもなりました。宇宙に衛星を運ぶ、世界で最も小型の低コストな液体燃料ロケットを開発しています。簡単に宇宙にモノを運ぶことができるようになれば、衛星利用もより活発化しそうです。

インターステラテクノロジズの観測ロケット「モモ」
Image Credit: インターステラテクノロジズ

◆PDエアロスペース

会社URL:http://www.pdas.co.jp/
2007年創業。人やモノが宇宙と地球を簡単に行き来することができる未来を目指し、航空機型の再利用型宇宙輸送機を開発しています。再利用型にすることで環境に優しく、低コストに運用できるため、実現すれば衛星の打ち上げがもっと簡易になるでしょう。

PDエアロスペース社が開発を進める機体イメージ図
Image Credit: PDエアロスペース

ロケットビジネスのまとめと今後の展望

今回はアメリカを中心に行われているロケットビジネスの新たな動きについて見てきました。ロケットビジネスは、価格競争の時代に突入したということができます。新型のロケットはいずれも開発中であり、当初掲げた価格を達成するロケットが本当に完成するのか、既存のロケット会社はそれに対しどう対応するのか、注目です。

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宇宙×ベンチャー企業一覧日本編2017

※本記事は2017年5月5日時点での情報を元に作成しました。

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