宙畑 Sorabatake

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国内初開催! 3日間宇宙を考え続ける 「Startup Weekend Tokyo Space」とは

2017年11月3日(金)〜5日(日)の3日間にかけて「宇宙ビジネス」をテーマにしたスタートアップ体験イベント「Startup Weekend Tokyo Space」がNPO法人Startup Weekend主催で開催される。

Credit : Startup Weekend

宇宙をテーマにした「Startup Weekend」、国内初開催!

2017年11月3日(金)〜5日(日)の3日間にかけて「宇宙ビジネス」をテーマにしたスタートアップ体験イベント「Startup Weekend Tokyo Space」がNPO法人Startup Weekend主催で開催される。

簡潔にルールを説明すると初日に各自持ち寄りの宇宙ビジネスアイデアを60秒間ずつ発表し、投票。選抜後のアイデアでチームを編成し、その道のプロであるメンターのアドバイスを受けながらアイデアをより具体的にし、最終日に発表するというもの。

「宇宙」をテーマとするStartup Weekendは日本初で、宙畑編集部としてもそこでどのようなアイデアが生まれるのか期待が高まる。

「Deep Space Biz Night」イベントレポート

「Startup Weekend Tokyo Space」に先立ち、2017年8月9日(水)、東京・表参道の事業構想大学院大学にて、「Startup Weekend Tokyo Space」のプレイベント「Deep Space Biz Night」が開催された。

参加者は45名を超え、宇宙×スタートアップをテーマに、本イベントを前にして様々なアイデアの交流が生まれる熱量の高い夜となった。

第一部:パネルディスカッション「ispace 中村氏」x「プロトスター 山口氏」

イベントの前半は、au × HAKUTO MOON CHALLENGEプロジェクトの中心で活躍する株式会社ispaceのCOO 中村 貴裕さんと、ベンチャー支援を幅広い段階で手がけるプロトスター株式会社のCOO 山口 豪志さんのお二人によるパネルディスカッション。

主にモデレーターの成松 美菜さんより投げかけられた3つの質問「宇宙に興味を持ったきっかけ」「宇宙ビジネスについて」「注目しているサービスや企業」を軸に会話が進んだ。

山口さんの注目する宇宙企業はアンテナのシェアリングサービスのスタートアップである株式会社インフォステラ、再使用型宇宙機開発のPDエアロスペース株式会社、人工流れ星を流す株式会社ALE。

中村さんの注目する宇宙企業はご自分がCOOを務めるispace以外にも、超小型人工衛星の設計開発を手がける株式会社アクセルスペース、デブリ除去の株式会社アストロスケール、北海道でのロケットの打ち上げをした話題のインターステラテクノロジズ株式会社。

また中村さんからは、日本の宇宙スタートアップは欧米に比べて数が少ないという現状も共有された。宇宙領域以外の注目のスタートアップとして、中村さんからミドリムシを活用するバイオテクノロジー企業である株式会社ユーグレナの名前も挙がった。

Credit : Startup Weekend

その後、山口さんから中村さんへ、「ispaceの立ち上げの経緯を知りたい」という問いが投げかけられた。
中村さん曰く、Google Lunar X Prizeへ参加する直接のきっかけは、友人の紹介だったとのこと。
「始まったプロジェクトをいかにモチベーションを保って、継続していくか?」という質問に対しては、何年も資金集めのために色々な企業を回ったが思うように集まらない、という苦労があったことが明らかにされた。
メンバーにも結婚や出産といったキャリアの転機がある中で、何年間もプロジェクトを続けられたのは、ispace 代表 袴田さんがひとり黙々とオフィスで進捗させていたことが大きかったという。

2011年に始まったプロジェクトは、2015年の中間賞の受賞を機に、飛躍の時を迎えた。賞金ももらえ、外部からの資金調達も可能になった、と中村さんは語る。しかしそこに至るまでは、参加メンバーが自分たちでお金を出し合い、喫茶店などを転々として会議を重ねてという日々があったとのこと。

また、順風満帆に見えたキャリアの中で、なぜispaceへの参画を決めたのかという深掘りの質問が重ねられた。
中村さんは当時リクルートにいて、社会課題の解決のプロジェクトに関わっていたが、ちょうどお子さんが生まれるタイミングでもあった。そこで、自分たちの世代よりさらに先の未来に繋がることに取り組みたかった、という思いが明かされた。

Credit : Startup Weekend

続いては、参加者から寄せられた質問に答えるセッションに移った。

「ispaceで月面で採掘しようと思っている水についてお聞きしたいです。具体的に、水ってどんな状態のどんなものであると推測しているのか?また、エネルギー以外の使い道の想定はどうなのでしょうか?」という質問を、中村さんに答えてもらった。

「水は固体で存在し、推定される量としては、喩えとしては猪苗代湖くらいの量がある」とのこと。また、水の使い道は「エネルギーとしてはロケットの燃料などにすること」が考えられていて、「エネルギー以外には、将来に月面開発を進める際のベースの建築素材としての活用がありえる」とのお話だった。

山口さんには「宇宙産業にかぎらず、イニシャルコストが高く一般的に VCがお金を投資しにくいセグメントのベンチャーを成⻑させるには、どのような事が必要だと思いますか?」という質問に答えてもらった。

「一番大事なものは『絶対にやめない』という起業家のメンタリティ」という答えがまず挙げられた。加えては、クラウドファンディングやGoogle Lunar X Prizeのような外的要因の波を掴むことも重要になるとのこと。

また、仲間を集める、巻き込むことが欠かせず、それを実現するためには、自分たちの取り組みを発信して興味を持ってもらう必要があると語った。宇宙を含めて応援される事業のテーマはたくさんあるはずで、諦めずに事業を続け、発信によって外部を巻き込んでほしい、とまとめた。

そしてパネル・ディスカッションも最後の質問になった。
「日本で今後宇宙スタートアップが広がっていくには、どんな事が必要だと思いますか?」という問いをお二人に答えてもらった。

山口さんは、ispaceをはじめとして、宇宙スタートアップとして今事業に取り組んでいる約20社が活躍することが、後続のスタートアップを巻き込んでいくことに繋がるという考えを語った。また、「今、宇宙に関心を持つ1人1人が発信していくことも、広がりを生む」という言葉で、参加者に対してアクションをすることのエールを送った。

中村さんは、まず自分たちが実績を出していきたい、と語った。また外部環境として、AIなどの技術の進展や、政策面での変化などを捉えることの重要と考えているとのこと。そして産業の課題として、人材の流動性を高めることの必要性にも触れた。現在ispaceには35名ほどの社員がいるが、その半数くらいが外国出身であるという。しかし、日本の大手メーカーからの人材はまだあまり多くないのが気になっており、そこの流動性が以前よりは高まりつつあることは感じているものの、もっと人が動いていく仕掛けが作れたらいいのでは、という考えを参加者に語った。

中村さんと山口さんは、お互い初対面ということであったが、そうとは思えないような話の噛み合いぶりで、会場は大いに盛り上がった。

 

第二部:座談会「宇宙に本気でわくわくする人を増やす方法!」

イベントの後半では、参加者がグループに分かれての座談会を行った。

「宇宙に本気でわくわくする人を増やす方法!」というトピックで、参加者同士がランダムに4〜5人のグループに分かれて、15分ほど自由に語り合ってもらった。最後には、話した事を各グループ1分間ずつという時間を区切って、全体に発表、共有する流れとなった。

具体的に出てきたアイデアの方向性としては 「教育投資」(小学生の時の教育で宇宙の話を組み込む等)や「コンテンツ育成」(漫画、ドラマ、映画等で身近に感じるようにする)、「成功例の展開」(小惑星探査機はやぶさなどの成功事案で注目を集める)といったものが代表的であった。

グループによってはトピックと関係ない方向で話が大いに盛り上がったという事情も明かされ、それに対して笑いが起こることも。自由闊達な雰囲気の中で、熱量の高い参加者が自分事として対話に臨んだ場が生まれていた。

Credit : Startup Weekend

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54時間で宇宙をテーマの起業にチャレンジするStartup Weekend Tokyo Spaceのイベントは、2017年11月3日(金)〜5日(日)にかけて、東京都が運営するスタートアップ支援拠点Startup Hub Tokyoを会場に開催される。

イベントの審査員として、大貫 美鈴さん(スペースアクセス株式会社代表取締役)や神武 直彦さん(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科准教授)など、宇宙とビジネスに精通したプロフェッショナルに協力いただけることが既に決定している。

現在申込ページがオープンしており、参加者募集中。参加費は、10月3日までの申込は早割価格となっており、学生6,000円、一般8,800円。

詳細は下記申込ページから確認できる。

Startup Weekend Tokyo Space @ Startup Hub Tokyo

日時:2017年11月3日(金)18:30 – 2017年11月5日(土)21:30
場所:Startup Hub Tokyo (東京都千代田区 丸の内2-1-1 明治安田生命ビル1F TOKYO創業ステーション内)

また、参加を検討する人のためのプレイベントも10月6日(金)に開催予定。

自分の思考パターンを打ち破れ!”新しい”アイディアの見つけ方。〜Startup Weekend Tokyo Space プレイベント 第2弾〜

日時:2017年10月6日(金)
場所:fabbit 大手町(東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル)

(イベントレポート文責: NPO法人Startup Weekend)