次世代ISS??第27回「今週のSPACE ENGLISH」

英語が苦手で最新の宇宙ビジネス情報をキャッチするのに四苦八苦。そんな宙畑編集部員T.N.と一緒に、宇宙ビジネスで使用される英単語を学ぶ本連載。

今週は9/23~9/29の7日間で『SpaceNews』内で最も頻繁に出現した英単語(※これまでに同連載でご紹介した英単語を除く)を10個ご紹介します。

それではさっそく、Let’s 今週のSPACE ENGLISH!!
   
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集計対象記事:『SpaceNews』で該当期間に公開された記事のすべて
集計期間:2018/9/23~2018/9/29
※()内の数字は該当期間の登場回数です

1.gateway(37)

出入口、玄関口。

この「Gateway」は、「Lunar Orbital Platform-Gateway(LOP-G)」を指す単語として使用されており、日本語では「月軌道プラットフォームゲートウェイ」と呼ばれています。NASAが進める深宇宙探査における月周回軌道有人宇宙ステーションです。

アメリカ現地時間9月24日、NASAは将来的な有人宇宙探査のロードマップを発表し、その中でこのLOP-Gについて言及しました。2024年をもって運用終了が予定されているISSに次ぐ宇宙探査プラットフォームとして、主に月と火星への有人宇宙探査の拠点として利用される見通しです。このNASAの発表に対し各国宇宙機関が反応しコメントを発表したため、今週の記事中に多く登場しました。

なお、このNASAの有人宇宙飛行の計画は当初のオバマ政権時代の計画より既に大幅に遅れており、今回の発表でも詳細な計画が盛り込まれていなかったことから批判を受けています。

NASAが発表した今後の有人宇宙開発計画
Image Credit: NASA
LOP-G完成予定図
Image Credit: NASA

2.ESA(31)

欧州宇宙機関。

ヨーロッパ21ヵ国にカナダを加えた22ヵ国により運営されています。2018年度予算の国別拠出割合では、フランスが24.2%、ドイツが23.1%、イタリアが11.8%、イギリスが8.4%を占めており、この上位4カ国でESAの予算の半分を拠出しています。

今年7月、ESAは現職の局長の任期を2年間延長すると発表しました。その局長へのインタビュー記事*1がSpaceNewsに投稿されたため、今回のランクインとなりました。

ESA局長のヤン・ヴェルナー氏は、本インタビューの中でこの2年間の任期延長について、
6つの有人宇宙飛行ミッションをはじめ自らの任期中に成し遂げたことに立脚し、今後2年間のESAの宇宙開発のビジョンを見据える期間にしたいと述べました。
また具体的な今後のミッションについて、第一に科学探査や安全保障などを通じた宇宙利用により私たちの日常生活をよりよいものにすること、第二にこの惑星の将来に貢献していくことの2つであるとしています。

●源泉記事:
ESA’s leader gets extra time for his vision of European space
          

3.Wilson(29)

アメリカ空軍第24代空軍長官ウィルソン氏(Heather Wilson)。

ウィルソン氏は、今年7月のアメリカのトランプ大統領による宇宙軍創設の発表を受け、宇宙軍は5年間で約130億ドル(約1兆4,700億円)の費用がかかるとの試算を発表しました。

具体的な宇宙軍創設の方法については、ウィルソン氏を中心に、国防総省、ロッキードマーティンをはじめとする軍事衛星市場の民間企業などで議論がなされています。

      

4.PPE(28)

Power and Propulsion Elementの略。電力・推進装置。

本記事の1つ目の単語に関連し、LOP-Gに使用される予定の電源・推進装置の略称です。ステーションと、高度維持のための推進器であるイオンエンジンへの電力供給が主な目的。

LOP-Gのモジュールは、そのほかにもCislunar Habitation Module(居住区画)、Gateway Logistics Module(実験物流区画)やGateway Airlock Module(エアロック)などの開発が計画されています。

LOP-Gコンポーネント開発予定表_1
Image Credit: Nerds Inc.
LOP-Gコンポーネント開発予定表_2
Image Credit: Nerds Inc.

5.Luxembourg(20)

ルクセンブルク大公国、通称ルクセンブルク。

ルクセンブルクは、いま宇宙開発で高い注目を集めています。ルクセンブルク政府は現地時間9月27日、米国スタートアップの「CubeRover」社、「Hydrosat」社、「Made In Space」社が同国に本社機能を移す予定だと発表しました。大学研究機関や現地企業との共同研究などが目的であり、ロボットアームやローバーの開発が含まれるとされています。

ルクセンブルクの人口は58万人足らずですが、国⺠1⼈当たりの購買⼒平価ベースのGDPでは世界2位であり、各国民ベースでは非常に裕福な国といえます。ですが、その金融政策や法制度から事実上のタックスヘイブンと見なされ、非難を浴びてきました。

もとは金融業で存在感を示していた同国ですが、1980年代には既に宇宙開発に参入しています。地元衛星事業者であったSES社に対し財政支援や法改正を行った結果、売上高ベースで世界第2位の情報通信衛星運用者にまで拡大しました。

また、近年注目を集めている小惑星採掘においても、法整備により積極的に企業誘致を行っており、アメリカのスタートアップ、Planetary Resources社とDeep Space Industries社がルクセンブルクに本社を構えています。また、HAKUTOプロジェクトで注目を集めた日本のスタートアップのiSpace社も、同国に欧州拠点を置いています。今後、ルクセンブルクが宇宙産業で保持する影響力は大きく拡大しそうです。
         

6.spaceflight(20)

宇宙飛行。また、米国Spaceflight社。

Spaceflight、で一続きの単語です。宇宙飛行という意味の言葉ですが、最近の記事ではアメリカのスタートアップ、Spaceflight社を指す場合が多いです。同社は衛星打ち上げ、また相乗りでの打ち上げサービスを提供しており、同サービスでは衛星を静止軌道まで運ぶことが可能です。

      

7.gilmour(20)

Gilmour Space社の社名の一部。

シンガポールのスタートアップ、Gilmour Space社は1,400万ドル(約16億円)の資金調達を行いました。同社はオーストラリアにて小型ロケットを開発しており、2019年の第一四半期に最初の打ち上げを予定しています。

低軌道への打ち上げの場合、イプシロンロケットは約1,200kg、H-IIAロケットは約10,000kgの打ち上げ能力があるのに対し、同社のARiELロケットは100kg級、ERiSは400kg級と、非常に低く抑えられた打ち上げ能力です。

目標価格は、ARiELが約9,000ドル、ERiSが25,000~38,000ドルと、破格の打ち上げ費用を実現。同社によると、3Dプリンターで製造する燃料により、打ち上げ費用を数分の1程度に低減することに成功したとしています。

また、高度は150kmと非常に低く、独特な特徴を擁したロケットです。

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インターステラテクノロジズの小型ロケットMOMOの先にあるもの

8.agreement(19)

協定、契約、同意。

宇宙開発には、諸外国や民間企業との調整や合意が必要不可欠です。新たなプロジェクトが発足した際、多くの取り決めがなされ、協定や契約が結ばれます。
      

9.amos(19)

Amos衛星のこと。

イスラエルが保有する通信衛星で、現在開発中のAmos-8を含め8台が製造されました。
   

10.spacecom(18)

イスラエルのSpacecom社。

上のAmos衛星を運営している会社。Amos-8の製造企業はSpace Systems Loral社(SSL社)です。

Spacecom社は現地時間9月24日、本衛星製造者のSSL社と打ち上げを予定していたSpaceX社との間に3月に締結した契約を打ち切ったと発表しました。イスラエル政府は9月3日、本衛星は今後イスラエル国内で開発されることになると発表していました。

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以上、第27回「今週のSPACE ENGLISH」いかがだったでしょうか。

次回の「今週のSPACE ENGLISH」は10/14(日)に9/30(日)~10/6(土)に公開された「SpaceNews」記事の最頻出英単語TOP10(これまでに紹介した英単語は除外)をご紹介します。

これまで英語が苦手でなかなか海外の宇宙ニュースを敬遠していたという方も、「今週のSPACE ENGLISH」で少しずつ宇宙英単語を学んで海外の宇宙ニュースにチャレンジしてみましょう!
   
執筆者:トマト担当K.O.
※これまでの「今週のSPACEENGLISH」はこちら
   
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