人工衛星を利用した地球の調べ方

人工衛星利用の可能性

人類史初の人工衛星スプートニクが打ち上がってから60年。今や人工衛星は、天気予報や位置情報サービスなど、私たちの生活に必要不可欠のものになっている。民間からも独自の人工衛星の開発・運用が広がり、衛星データをビジネスに利用し始める企業も増えてきている。
人工衛星が使えるなら使ってみたいという企業はまだまだ増えるだろう。そこで、そもそも今運用されている人工衛星にはどのような種類があり、何をしているのか紹介していこう。

人工衛星の種類

人工衛星は名前の通り、人が作り地球や月などの天体の周りを飛んでいるものである。そういう意味であれば、使われなくなった人工衛星や、破損してバラバラになった部品なども人工衛星と言える。
運用されている人工衛星は役割によって何種類かに分けられる。

・新たな衛星技術の実証を行う「技術試験衛星」
将来必要となる衛星技術を実証するために開発される。

・地球外の天体の観測や宇宙環境での実験を行う「科学衛星」
宇宙の謎や生命の起源などを調べる。

・衛星放送や衛星通信を可能にしている「通信衛星」
山岳地帯や海上などどこでも通信を可能にすることは難しい。通信衛星を使うことでケーブルを引けない地域にも通信環境を提供できる。

・GPSに代表される位置情報を調べる「測位衛星」
アメリカのGPSのほか、ロシア、ヨーロッパ、中国、インドも独自の測位衛星システムを持ち、日本では準天頂衛星「みちびき」を独自に開発し、サービスの実証が進んでいる。

・地球の様々な情報を調べる「地球観測衛星」
地上からでは見渡せない広範囲を調べ、天気予報や地形情報など生活に役立つ情報に利用される。

地球観測衛星の仕組み

技術試験衛星は新たな技術を試験するもの、科学衛星は学術研究に使われるもの、通信・測位衛星は、継続して運用が必要なインフラとして確立されようとしている。
技術が整備され、今後はその技術を何に活かすかが鍵となる。例えば測位衛星によって可能になる位置情報サービスは多くのビジネスにも利用されることが期待されている。
※詳しくはこちらの記事をチェック 
測位衛星以外に今、ビジネスの参入が期待されているのが地球観測衛星のデータを使ったビジネスである。地球観測衛星の仕組みを理解し、衛星データを利用するヒントにしてほしい。

光の波長からみえるもの

地球観測衛星は単純に言ってしまえば、カメラを宇宙に飛ばしてそのデータを地球に送っている。カメラは何を捉えているかというと“光”である。
一般的なカメラは人間の目と同じ、可視光を捉えることができるセンサーを持っているため、カメラで撮影されたものは、人間の目と同じように見えるものを撮ることが出来る。
このカメラを宇宙に飛ばして地球を撮れば、当然のことながら可視光で見える地球の姿を観測できる。

可視光は、“光”の一部分でしかない。言い換えると、光には可視光で分かること以外にもいろいろな情報が実は含まれている。可視光以外の部分も見ることができれば、地球の多くの情報を見ることができる。

光の波長と波長による観測しやすい観測対象を表すグラフ
Image Credit:JAXA

図を見てほしい。光には波長帯によって特徴がある。人工衛星のカメラに、調べたいものにあう波長を捉えるセンサーを搭載すれば人の目にはわからないことも観測が可能である。
つまり、見たいものが雲なのか植物なのか海面なのかによって搭載するべきセンサーも変わってくる。

関連リンク:
光の波長と観測画像について(JAXA)
衛星による搭載センサーの違い(JAXA)

センサーの違い

センサーの違いは、光学と電波の二つに分けられる。

センサーの違い
Image Credit:宙畑

光学センサーを搭載している衛星は、光の反射をセンサーでとらえるものが多い。太陽光を地球が反射し、その光を衛星のセンサーがとらえる。反射した光を捉える必要があるため、夜には観測することができない。
雲や植物の分布などは、光学センサーで観測することが適している。

電波を使って観測する衛星は、受動型のセンサーと能動型センサーの衛星を紹介する。

受動型のセンサーは物質から発せられる弱い電磁波(マイクロ波)を観測する。物質自身が発しているため太陽光が当たっていない夜でも観測が可能。降水量や海面温度などを調べるのにマイクロ波放射計を搭載した衛星が活躍する。

能動センサーの衛星はSAR衛星とも呼ばれる。SAR(Synthetic Aperture Radar)は合成開口レーダーという技術で、電波を衛星が発信し、地表で跳ね返ってきた電波をセンサーがとらえる。衛星から電波を出しているため、これも夜でも観測が可能。
雲に覆われているときや夜などでも地形や森林の分布を観測することができる。光学より分解能は劣る。

関連リンク:
衛星データからわかること(JAXA) 

衛星データ提供と利用事例

地球観測衛星のデータは、ダウンロードすることが可能であり、利用が広がっている。どんな企業が何に利用しているかは、下記URLなどで確認することができる。
地球観測衛星が提供するデータは、地上で観測した細かなデータやほかの衛星が観測したデータなどと組み合わせることで今までわからなかったことがわかる可能性がある。何かを調べるのに何のデータが必要なのか、衛星データがあれば、わかることがあるかもしれない。

関連リンク:
衛星リモートセンシングベンチャー企業とビジネストレンド 2017
衛星データ(JAXA)
利用事例(JAXA)