ニュース 2020/8/24

インドの地球観測衛星スタートアップが資金調達。背景には宇宙特化のアクセラレータ【週刊宇宙ビジネスニュース 8/17〜8/24】

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インドの地球観測衛星スタートアップが創業2年で5.3億円を調達

学生が企業したPixxel、2020年後半に初号機打ち上げへ

8月19日、インドのバンガロールを拠点とするスタートアップ企業のPixxelは、シードラウンドで5.3億円を調達したことを発表しました。

出資を主導したのは、インドのベンチャーキャピタルであるLightspeed India Partners(ライトスピード・インディア・パートナーズ)とBlume Ventures（ブルーム・ベンチャーズ）、growX ventures（グローX ベンチャーズ）です。

同社は、Awais Ahmed（アワイス・アーメド）氏とKshitij Khandelwal（シュディチ・カンデルワル）氏が大学在学中の2018年に創業し、2人はそれぞれCEOとCTOを務めています。30機の小型衛星コンステレーションの構築を目指し、2020年後半にはソユーズロケットに相乗りという形での打ち上げを目指していて、成功すれば、インドの民間企業としては初の地球観測衛星となります。

Pixxelを飛躍させたのは宇宙特化のアクセラレータプログラム

Pixxelは2019年にもプレシードラウンドとして、アクセラレータのTechstars（テックスターズ）から約7,400万円を調達しています。Techstarsは2006年に、米国の連続起業家のDavid Cohen（ダビット・コーヘン）氏が設立し、出資を受けた企業は2,000社以上です。

Pixxel は、2019年にロサンゼルスでTechstarsが開催したアクセラレータプログラム「Starburst Space Accelerator（スターバースト・スペース・アクセラレータ）」の参加企業の一社。2019年の参加企業は10社で、ほかに軌道上で衛星の燃料を塡充する“宇宙のガソリンスタンド計画”の実施を目指すOrbit fabや熱赤外線衛星画像の分析を得意とするHydrosatが参加していました。

同プログラムには、NASAのジェット推進研究所（JPL）やLockheed Martin（ロッキードマーティン）、Maxar Technologies（マクサーテクノロジー）などの宇宙関連機関・企業がスポンサーやメンターとして参画していて、技術面からもビジネスを伸せるものになっています。

Pixxelには、同プログラムのメンターで、Virgin GalacticやMoon ExpressでCFOを務めていた経歴を持つKen Sunshine（ケン・サンシャイン）氏が2019年よりアドバイザーとして参画しています。

今年のStarburst Space Acceleratorは、2020年3月まで募集され、6月より3カ月間にわたるプログラムが開始、そして9月9日にデモが予定されています。
今年の参加企業は、Bifrost、Holos、Infinite Composites Technologies、Lux Semiconductors、Natural Intelligence Systems、Prewitt Ridge、SATIM Inc.、Urban Sky、vRotors、WeavAirの10社です。

宇宙スタートアップのビジネス加速を支援するStarburst Space Acceleratorと参加企業の動向に注目していきたいと思います。

Bharti EnterprisesがISROとOneWebの連携を模索

2020年3月に連邦倒産法第11条（Chapter11）を申請し、再建に向けての動向が注目されていた衛星通信企業のOneWeb（ワンウェブ）は、7月に英国主導のコンソーシアムに買収入札されたことを発表しました。

コンソーシアムに出資し株式の45%を所持する、インドの大手通信企業Bharti Global（ブハルティ・グローバル）のCEOを務めるSunil Mittal（スニル・ミッタル）氏は、8月20日に開催されたインド宇宙研究機関（以下、ISRO）主催のウェビナーに登壇し、インドの地方を含め全都市へのブロードバンド通信提供に協力するようISROに要請したことが報道されました。

インドを代表する有名起業家であるMittal氏がISROへ働きかけることで、OneWebとの連携の可能性が高まるのではないでしょうか。