【衛星データ×保険】OroraTechとOpterrixが提携。リアルタイムの山火事情報を保険会社へ提供【宇宙ビジネスニュース】
熱赤外線センサを搭載した独自の衛星のコンステレーションを構築するOroraTechと、保険業界向けのリスクインテリジェンスプラットフォームを提供するOpterrixとのパートナーシップが発表されたことについて、その概要をまとめました。
2025年7月30日、衛星データを利用した森林火災や山火事の検出サービスを提供するOroraTech USA(以下、OroraTech)は、保険業界向けのリスクインテリジェンスプラットフォームを提供するOpterrixと戦略的パートナーシップを締結したことを発表しました。

OroraTechは熱赤外線センサを搭載した独自の衛星のコンステレーションから得られる高解像度の熱赤外画像を活用し、火災の発生を数分以内に検知する技術や、地形や植生、風向きなどをもとに、将来的な延焼範囲を高精度でシミュレーションする、火災拡大予測技術を持っています。
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また、Opterrixは、気象学、データサイエンス、AI、クラウドなどの最新技術を活用して、契約審査の精度向上、保険金請求管理の効率化など、保険業務全体に関わるサービスを提供する企業です。
今回の提携により、OroraTechの熱画像分析と火災拡大モデルが、Opterrixの機能に加わります。これにより、保険会社は山火事が発生する前、もしくは発生中に個々の契約者の火災リスクを把握し、早期警告の発信や優先的な保険金請求対応が可能になります。
OroraTechのCEOであるThomas Gruebler氏は
「山火事はもはや季節的な災害ではなく、保険会社と契約者の双方にとって常時存在する脅威になっています。私たちのデータをOpterrixプラットフォームに統合することで、リアルタイムのリスク評価と的確な意思決定が可能になります。この統合は、アメリカの保険業界における山火事インテリジェンスの強化にもつながります。」
とコメントしています。
OpterrixのCEOであるBen Zimmerman氏は
「私たちの使命は、保険会社が損害の発生前にリスクを特定し、管理できるよう支援することです。山火事は頻度も損失規模も増大しており、OroraTechの低軌道衛星コンステレーションは、現在入手可能な中で最もタイムリーで実用的なインテリジェンスを提供してくれます。両社の協業により、保険会社は重要な局面でこれまでにないレベルのリスク評価と状況把握を実現できるようになります。」
とコメントしています。
この新機能はまず一部の保険会社向けに展開され、年内にはさらに多くの保険会社への拡大を目指しています。
衛星データの解析結果を損害保険に利用する事例は豪雨による浸水被害の推定などがありました。今回、山火事被害にも保険会社が活用できるとなって提携したように、地球観測衛星の種類や機数が増えることで、同様の事例がさらに生まれることが予想されます。
【参考記事】
・OroraTech USA and Opterrix Partner to Integrate Real-Time Wildfire Intelligence Into Insurance Risk Platform – Blogs – OroraTech
・Opterrix Teams Up with OroraTech for Next-Gen Wildfire Intelligence