IHIがKuva Spaceと提携。日本の主権的なハイパースペクトル衛星コンステレーションを構築へ【宇宙ビジネスニュース】
2026年7月21日、株式会社IHIはKuva Space Oyと覚書 (MoU) を締結したと発表しました。今回の覚書の目的は2つ。ひとつは日本の国家安全保障・経済安全保障市場に向けたハイパースペクトル衛星コンステレーションの構築です。もうひとつは衛星データのデュアルユース活用方法の探求です。
2026年7月21日、株式会社IHI(以下、IHI)はKuva Space Oy(以下、Kuva Space)と覚書 (MoU) を締結したと発表しました。
IHIは、ジェットエンジンやエネルギー・産業プラントなど幅広く手掛ける重工業メーカーです。宇宙分野においてはロケットやISS(国際宇宙ステーション)関連機器の開発・製造で長年の実績を持ちます。
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Kuva Spaceは2016年にフィンランド・エスポーで設立されたスタートアップです。ハイパースペクトル衛星コンステレーションを構築しています。
取得した衛星画像とAIを組み合わせることで、意思決定を支援する情報を提供しています。これは安全保障や農業などの分野で活用されています。2024年にハイパースペクトル衛星の初号機を打ち上げ、現在2基を運用中です。
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今回の覚書の目的は2つ。ひとつは日本の国家安全保障・経済安全保障市場に向けたハイパースペクトル衛星コンステレーションの構築です。もうひとつは衛星データのデュアルユース活用方法(民間および軍事用途の双方に活用する方法)の探求です。
宙畑メモ:ハイパースペクトル衛星
従来の光学衛星より幅広く細かい波長帯域で情報を取得できるセンサを搭載した衛星。物体の識別能力の高さや、用途の広さなどが強みです。
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IHIは昨年度からKuva Spaceの技術の試用・検証を進めてきましたが、今回の覚書に基づき、両社はデュアルユース活用方法を検討し、コンステレーションの要件を定義します。また、国内での整備や衛星製造を見据えた事業スキームも検討するとのこと。
今回の覚書の背景には、2025年6月に日本とフィンランドの両首脳が「将来における協力強化に関する共同声明」を発表し、防衛・経済安保分野での協力強化が示されたこと、また、2026年2月には「日本・フィンランド間のデュアルユース・先端技術分野の協力強化に関する共同声明」も署名されたことなどが挙げられます。
Kuva Spaceは、日本および周辺の国・海域を1日1回観測するうえで、約2,000万km²をカバーする必要があると見積もっています。これは、同社が2027年から打ち上げ予定の次世代衛星「Hyperfield-2」約20基分の能力でまかなえるとしています。
IHIはハイパースペクトル衛星、SAR衛星 に加え、光学衛星、VDES(次世代自動船舶識別システム)衛星、電波収集(RF)衛星、赤外線(IR)衛星なども将来的に追加する構想です。
多様な衛星を活用することで、陸上・海上の目標の検出と追跡が可能になります。これにより、日本の国家安全保障および経済安全保障への貢献が期待できます。
IHIの代表取締役 副社長執行役員 航空・宇宙・防衛事業領域長である佐藤 篤氏は、以下のようにコメントしています。
「日本の国家安全保障にとって、宇宙からの情報収集能力の獲得は、ますます重要性を増しています。今回のKuva SpaceとのMoUは、信頼できるパートナーとの協力を通じて、日本のハイパースペクトル衛星データによるインテリジェンス能力を強化する重要な一歩です。」
Kuva SpaceのCEOであるジャルッコ・アンティラ氏は、以下のようにコメントしています。
「日本はこれまでの地球観測衛星コンステレーションとは異なり、主権能力のある新しい衛星コンステレーションの構築に取り組んでいます。今回の協力を通して、複数種類の衛星から構成される衛星コンステレーションを構築するというIHIの戦略とKuva Spaceが目指すハイパースペクトル衛星のコンステレーション構想を一体化することにより、ハイパースペクトル衛星データを活用したインテリジェンスを実現していきます。」
今回のニュースで重要なのは、日本の「主権的」なコンステレーションという考え方です。海外製衛星を買うだけでなく、国内製造・運用まで含めて検討することは、安全保障上で重要な姿勢です。
有事の際など、衛星データが最も必要になる場面で他国の判断に左右されないことが、この構想の狙いの一つと考えられます。欧州でも同様に、主権的な衛星インテリジェンス基盤を構築する構想が発表されています。
両社のハイパースペクトル衛星コンステレーションの構築と、新しく生み出されるデュアルユース活用方法に、今後も注目です。
参考記事
ハイパースペクトル衛星コンステレーションの構築でフィンランドのKuva Spaceと協力 | 2026年度 | ニュース | 株式会社IHI

