宙畑 Sorabatake

企業人インタビュー

「目指すのは宇宙産業の“接着剤”」欧州3カ国・フィンテック・車載ソフトウェア企業を経て、日本の宇宙業界に転職した越境者インタビュー

非宇宙業界から宇宙業界に転職をした人に焦点を当てたインタビュー連載「Why Space」、15人目のインタビュイーは株式会社Fusicの武田さんです。食品メーカーの法人営業から欧州3カ国を渡り歩いた越境者が、宇宙業界に見つけた「入り口」とは。

非宇宙業界から宇宙業界に転職をした人に焦点を当てたインタビュー連載「Why Space~なぜあなたは宇宙業界へ?なぜ宇宙業界はこうなってる?~」に登場いただく15人目は、国内の食品メーカーや外資シューズブランドの法人営業、そしてイギリス・ドイツ・ポーランドでの生活やフィンテック企業での就職、国内大手の自動車メーカーの車載ソフトウェア企業を経験し、現在は株式会社Fusicで宇宙事業に携わる武田 瑞穂さんです。

本連載「Why Space」では、非宇宙業界から宇宙業界に転職もしくは参入された方に「なぜ宇宙業界に転職したのか」「宇宙業界に転職してなぜ?と思ったこと」という2つの「なぜ」を問い、宇宙業界で働くリアルをお届けしてまいります。

(1)食品会社、シューズブランド、そしてイギリス、ドイツ、ポーランドへ。「子どもが手に取ったら、もう勝ち」

宙畑:最初に入社した会社と、そこからFusicに転職する前の会社までのご経歴を教えていただけますか?

武田:最初から話すと非常に長いですよ(笑)。

宙畑:ぜひ教えてください。

武田:最初は国内の食品メーカーへ入社し、北海道で法人営業として配属されました。業務内容は、地元のスーパーや大手の小売店向けに、商材を活用したお惣菜などを提案したりする営業です。

その企業は業界ではパイオニア的な存在でしたし、地方の小売でも名前が知られており、3年経過したところで、既存ルート営業以外の経験を積んでみたいという思いが芽生え始めました。一念発起し、東京にてご縁ありアメリカのシューズブランドにこちらも法人営業として転職し、レディースとキッズシューズを担当しました。

そのブランドの靴は、歩くと音が出たり光ったり、いわゆるアメリカのおもちゃっぽい要素が詰まっているデザインで、子どもはすごく好きになってくれるのですが、日本人の感覚だと親目線には刺さらない商品でした。

宙畑:それは、日本の売り場だとかなり浮きそうですね。どう売られたんですか。

武田:本国ではこのキッズシューズが非常に売れていたので、まずは現地を訪れ、どのように売っているのかを確認しました。そこで気づいたのは、商品をお店に並べてもらう際に、靴を子どもの目線に合わせてすべて低い位置に置いていました。

そのため、日本の売り場でも子どもの目線に合わせるよう、なるべく下に置いてくださいとお店の方にお願いしたり、POPなども色や形、すべて子どもが興味を持ち、見やすいサイズに合わせるように変更しました。

子どもがまず売り場に行った時に「何これ?ママこれがいい!」って手に取ったら、もう勝ちなんです。男性営業からは「女性的な視点がほしい」と言われてのキッズシューズ担当ではありましたが、ママに売るのではなくて、子どもに売る方法が最も効果的でした。

宙畑:海外への現地視察は、まさにご経験が生きた瞬間だったのではないかと思います。

武田:その後、ポーランド人の夫の仕事関係で、イギリスに移住しました。当時はまだ日本で入籍していない状態でフィアンセビザを取得し渡英、イギリス式で入籍し、配偶者ビザに切り替える必要がありました。

ただ、ちょうど時期がイギリスのEU離脱と重なってしまったのです。EU出身の主人でさえ将来的な長期滞在には在留資格が必要になる可能性など、イギリス国内の法の整備が追いついておらず情報が錯綜しており、私も申請してから8か月間、パスポートを預けたままイギリス国内では身動きが取れませんでした。

宙畑:なかなか聞けないレアなご経験をされていますね……8か月の間はどうされていたんですか?

武田:国外に旅行にも行けないですし、もちろん就労申請もできないので、何か現地でしかできないボランティアないかなと思って、ケンジントン・パレス(ロンドンにある英国王室の宮殿)のガイドをしてました(笑)。

ボランティアとはいえ誰でもできるわけではなく、国籍にかかわらずボランティア選抜の英語のテストがあったんですよ。ネイティブと同時に受験する英語のテストなんて初めてでした(笑)。

(2)フィンテック業界から自動車業界へ。「自動車のスマホ化は、衛星でも同じことが言えるはず」

宙畑:ドイツに移ってから、武田さんも欧州で働き始められたのでしょうか?

武田:ドイツで働こうと思ったのですが、私のバックグラウンドが営業だったこともあって、ドイツ語をある程度できないと難しいという壁がありました。

ベルリン居住だったので、日常生活こそ英語で問題ないのですが、採用面接では「ドイツ語のレベルを上げてから来てほしい」と言われることが少なくありませんでした。そこで、ほぼ毎日ドイツ語のクラスに通って猛勉強しました。

ドイツ語クラスのクラスメイトとの写真

武田:また、就職活動を行う際は、欧州ではほぼ現金を使わずに生活できる環境に感銘を受け、そこからフィンテック業界に興味を持ち、関連する仕事を探していました。その結果、世界的なフィンテックユニコーン企業に内定をいただきました。

ただ、オフィス所在地がポーランドだと。今度は私の転職に夫がついてくる形で、夫婦でポーランドに引っ越しました。

ポーランドは有名な作曲家であるフレデリック・ショパンの出身地。首都ワルシャワにある「ワジェンキ公園(王立ワジェンキ公園)」のショパン像を武田さんにご提供いただきました。ちなみに、宇宙業界最大級の学会である国際宇宙会議(IAC 2027)の開催地はポーランドです。

宙畑:武田さんは、日本、イギリス、ドイツ、ポーランドときて、現在は日本に戻ってこられています。日本にはどのようなきっかけで戻られたのでしょうか。

武田:フィンテック業界での経験を積む中で、アメリカ暗号資産関連の大手企業が日本支社を作るという話がありました。当時、決済処理やクレジットカード利用、AML(アンチマネーロンダリング)やKYC(アカウント作成時の本人確認フロー)など暗号資産交換業に共通するコンプライアンスなども日本顧客向けに策定などしていたこともあり、内定をいただきました。ただ、ちょうどコロナ禍のタイミングだったこともあり、海外からの入国制限が緩和されるのを待ってから日本に戻ることになりました。

宙畑:そこまで帰国を待ってくれたというのはどのような点が重要だったとご自身で振り返られますか?

武田:当時、クリプト(暗号資産やブロックチェーン技術を活用したデジタル資産の総称)はまだまだ怪しいものでした。クリプトをしっかりと理解して、実際に生業にしている人は少なく、「見えないお金が動いてる」という状態を知ってる人が求められていたのだと思います。

武田:実際に、日本法人初期のメンバーを振り返ると、私と同じように少しユニークなキャリアを歩んできた人が多かったなと思います。銀行や証券会社など、日本のガチガチの金融業界でキャリアを積んできたような人は思いの外、少なかったですね。

宙畑:そこから車載ソフトウェア企業に移られてから、Fusicへの転職ですね。ここまで来るのにおっしゃる通り、非常に波瀾万丈というか、かなり濃い経験をされていますね……。

自動車業界にもともと興味があったのでしょうか?

武田:FusicのHP(メンバー紹介ページ)にも書いているのですが、F1が趣味で、夜中のレースに向け就寝時間を調整するほど好きなんです(笑)。

そのうえで、前職では、いわゆる自動運転の実現に向けたプロジェクトに携わっていました。

宙畑:具体的にどのようなプロジェクトだったのか、差し支えのない範囲で教えていただけますか?

武田:今の車は、レーダーで物体を認知して安全に運転できますというシステム、カーナビなどのインフォテインメントシステムなど、さまざまなシステムが独立したドメインで動いています。

将来的には、それぞれのシステムを統合して、すっきりさせましょうというのが、今の自動車業界のトレンドです。

ただ、そのドメイン間の調整が非常に難しく、私はそれぞれのドメインの中での橋渡し役を担っていました。

自動車業界の中では「Software Defined Vehicle(SDV)」というのが、キーワードになっており、「自動車のスマホ化」と言われることもありましたね。

宙畑:宇宙業界でも最近は「Software Defined Satellite(SDS)」というキーワードが宇宙戦略基金をはじめ、さまざまな政府文書などでも見られるようになってきました。

武田:まさに、衛星も同じことができると考えています。

携帯電話も最初出てきた時は、大きい割に機能は通話するのがやっとで、テキストも長くは送れませんでした。それがガラケーになり、スマホになり、今ではスマホさえあれば何でもできるようになって……というように徐々に進化しています。

自動車業界は、量産できる体制があり、現実的にSDVが実現できると分かってきた状態です。そして、その流れが衛星でもできたら非常に面白いなと思っているのです。

宙畑:武田さんは、誰もが知る商品を持っている食品企業から、フィンテックやソフトウェアといった「表には見えないが現代において重要な役割を担う技術を持つ企業」にキャリアが変遷しているのが非常に面白いですね。

(3)「宇宙って、思ってるよりも何でもありなのかも」1時間半のレクチャーで壁が消えた

宙畑:では、「Software Defined Satellite(SDS)」の話も出てきましたが、宇宙業界を意識されるようになったきっかけは何だったのでしょうか。

武田:自動車業界で得た知見が活かせるような業界はないだろうかと探したときに、たまたま宇宙というキーワードが引っ掛かりました。

「宇宙で何をするのだろうか」と思いながらも、ソフトウェアで動くことには違いないだろうという思いもあり、宇宙業界に特化したエージェントに登録しました。

宙畑:もともと宇宙との接点はあったのでしょうか?

武田:実は、まったく興味がないわけではありませんでした。大学がリベラルアーツ教育だったこともあり学際的な視点が多く、その中で宇宙法を扱う機会もありました。

例えば、「月の土地売ります」というサービスがあるのですが、宇宙は誰のものでもないはずで「法律があるのだろうか?」と調べてみたら国際法の中に宇宙条約というものがあると知りました。

そのうえで、宇宙開発を進める国々を中心にルールづくりが進んでいる一方で、宇宙にアクセスする手段を持たない国からすると、「そのルールは本当に公平なのだろうか」と感じることもあるのではないか。つまり、先にルールをつくった側が有利になるようにも見えて、もやもやしていた記憶があります。

宙畑:実際に、宇宙業界のエージェントの方とお会いして、最初の印象はいかがでしたか。

武田:最初は、今の日本の宇宙産業の現状について、1時間半ほどじっくりと教えていただきました。その話が非常に面白かったことを覚えています。

宙畑:どのあたりが「面白い」と感じられたんでしょう。

武田:まず、何のために宇宙にロケットを飛ばしてるのか、デュアルユース(宇宙技術の安全保障利用と民間利用)など、私が深く知らないことが多かったですね。

宇宙産業というとロケットだとか有人宇宙みたいな、いわゆるキラキラした話に注目が集まりがちですが、それだけではない宇宙産業を教えていただきました。
また、これからの宇宙産業は、地に足をつけて進められる人が重要であり、日本の政策や補助金の話など、「華やかな宇宙産業に憧れる人だけでなく、地道に物事を進められる人が重要だ」という話を伺い、なるほどなと思いました。

とはいえ、宇宙産業は一見キラキラしていて、理系のトップオブトップのような頭脳派の人たちが多い閉じた産業というイメージがあり、一般の人がキャリアアップの選択肢として考えるような場所だとは思っていませんでした。

宙畑:Fusicはエージェントの方からのご紹介ですか?

武田:そうですね。私自身、宇宙産業のいろんな企業について調べていて、ispaceやアストロスケールなど、いわゆる「宇宙産業」の話をする際に名前が挙がる会社は確認していました。

そんな中、エージェントの方からおすすめですと言われたのが、Fusicです。

最初は「Fusicって宇宙企業なの?」という思いもありましたが、私が持っていた宇宙企業に対する考えは視野が狭かったのかもしれない、実は宇宙って思ったよりも何でもありなのかもしれないと思いました。

実際の面接でも、「宇宙はこれから注力したい領域だが、まだ分からないことも多く、一緒にさまざまなチャレンジをしたい」と言っていただき、非常に面白そうだと感じました。

宙畑:あらためて、Fusicではどのような役割を宇宙業界で担われているのでしょうか?

武田:Fusicは、20年以上にわたってソフトウェア・クラウド開発を行ってきました。その知見を宇宙業界でも活かし、宇宙業界のお客様にソフトウェア・クラウドの開発支援を行っています。

具体的には、QPS研究所様の小型SAR衛星の地上局システム構築や、JAXA様や電通様との衛星データ活用の共創事業への参画、AWS Space Accelerator: APJ 2025での日本の技術支援パートナーとしての国内スタートアップ支援など、宇宙分野で数々の実績を積んでいます。 2026年の7月にはシンガポールのNTUとMoU締結し、国際連携・産学連携などこれからFusicが携われるスコープが広がっている真っ最中です。

宙畑:ここ数年で、宙畑編集部としても、宇宙業界でソフトウェア開発に困ったらFusicに相談をしようというポジションを徐々に確立されている印象を持っています。

(4)転職の軸は「LearnとEarn」。報酬の大きい外資コンサルを断って、Fusicを選んだ理由

宙畑:宇宙業界以外の転職は考えていなかったのでしょうか?

武田:実は、外資系コンサルティングファームの内定もありました。

宙畑:報酬面では外資系コンサルファームの方が上だったのではないでしょうか?

武田:稼ぎだけで考えるとそうですね。ただ、私は、転職を考える時にLearn(学び)とEarn(稼ぎ)の2つの軸を持ち、四象限の中からどこを取るかを考えます。もちろん、Earnも大きくてLearnも多ければ、それが一番理想的です。
ただ、Learnが大きくてEarnがないとしても、ここからEarnを上げていく、自分で切り開いていこうというパッションがあれば、Earnも上がっていくので、Learnを得ながら、自分でEarnを高めていく道もあると思っています。
宇宙産業でオープンになっている求人を見ましたが、私が重視したのは、報酬だけでなく、これまでの経験をどう生かし、何を新しく学べるかでした。
宇宙産業にはまだ知らないことが多く、挑戦できる余地も大きい。その可能性に惹かれて、Fusicへの転職を選びました。

宙畑:入社時のジョブディスクリプションは、どのようなものでしたか?

武田:私はFusicの宇宙事業メンバーとしては3人目でした。そのため、最初は肩書がなく、「宇宙産業において、何でもやる人」でしたね。

宙畑:Fusicはソフトウェアの専門家として、主に宇宙業界で宇宙に詳しい方がお客様になると思います。フィンテック企業にいらっしゃった時は欧州で業界のことを把握したうえで、日本に広めるという役割だったことから、宇宙業界では逆に「詳しい人」に説明することになる。このギャップは大きかったのではないでしょうか?

武田:非常に大きいですね。そもそも、宇宙産業の現在地については、入社当初はエージェントの方から教えてもらった情報しかありませんでした。
そのため、入社直後は業界の方々との接点を増やすべく、3か月ほどは週2回以上のペースでセミナーやイベントに参加し続けました。
その甲斐あって、今では、「この人には、うちのエンジニアのこの人を連れていくと、こういう話ができるのかな」などが組み立てられるようになってきました。

宙畑:これまでの経験が生きているなと感じた瞬間はありますか?

武田:Fusicでは、宇宙分野のお客様からの課題を聞き、ソフトウェアやクラウドでどう力になれるかを一緒に考えています。最初の会話も、「何を作りましょうか」ではなく、「いま何に困っていますか」から始まることが多いんです。
そこから社内のエンジニアと一緒に考えて、「それなら、まずここからやってみましょう」と次のアクションを組み立てていく。相手の話を聞いて課題を整理し、前に進めるところに、これまで営業や異なる業界で培ってきた経験が生きていると思います。
ただ、まだまだ道半ばだと考えています。自分が提案したプロジェクトが「宇宙空間に行きました」とか、宇宙とのつながりが自分の案件で見えるようになったら、よりやりがいを感じるだろうと思います。

宙畑:本連載「Why Space」の第2回に登場いただいたインフォステラの井上さんは、自分が進めたプロジェクトが実るのに5年かかったとおっしゃっていました。

武田:それはそうだろうなと思います。宇宙のプロジェクトは息が長く、一朝一夕で作れるものではありません。だからこそ、5年かかったというのだけあって、2年でできるものと5年でできるものの差は全然違うと思います。そこは宇宙業界で働く楽しみのひとつでもありますね。

(5)「宇宙産業で感じた、競争と協業の距離感」宇宙業界に入って見えた、この業界ならではの文化

宙畑:宇宙業界に入って「なぜ?」と思われたことはありますか?

武田:宇宙の産業では、「産業の中で仲良くしましょう」という言葉をよく耳にしますが、それが非常に面白いなと思っています。

いわば競合とも言えるような、同じようなビジネスをしている人たちが懇親会とかで集まった時でも「どうやったら座組が組めるか」といった話が普通に行われており、「オープンにしていいんだ」「競合という概念がないのかな」と思うときがたまにあります。

もちろん、バッティングするところは多分にあると思うのですが、そこからどうやって切り分けて、この産業の中で生きていくかということを、各企業が見つけようとしてるのは、面白いなと思ってます。

宙畑:これまでのインタビューでも同じことを話す方がいらっしゃいましたね。

武田:ただ、これは一長一短だと思います。仲が良いと思う反面、バチバチした方がスピード感が出るのではないかとも思います。(笑)

宙畑:宇宙業界ならではの学びはありますか?

武田:政治との繋がりを意識することが増えたように思います。これまでは「このプロジェクトをもっとこうしたらユーザーが増える」といった、どのようにビジネスを拡大するかが重要でした。

ただ、宇宙産業は国家レベルの話になることが多く、政府の発言や世界情勢のトレンドにも敏感でなければなりません。

それは、国会での予算の話もそうですし、同盟国や国内で機密情報として扱うべき技術の話など、自動車業界よりもシビアで、特殊な業界だと思います。これは他のセグメントにはない大きな学びです。

また、 宇宙産業全体をどのように発展させるかを、関係各社が協働して考えているというのも、他の業界にはない面白いポイントだと思います。

(6)宇宙産業の“接着剤”になりたい?宇宙産業の外に期待すること

宙畑:宇宙業界に来たことで、武田さんの中に残るスキル、武田さんにとってのLearnは何だと思われますか。

武田:宇宙業界に存在する技術や注力しているものとかが、他の何と融合できるかみたいなのを常に考えなければならない意識は、他の業界では得難いものだと思います。

例えば、「自動車と家のスマートコントロールをつなぎます」「車とドローンで宅配ができます」はイメージがつく方も多いでしょう。

ただ、「宇宙の産業を、私たちが今、地上に持っているものとつなげましょう」と言うと、多くの方はあまりイメージできないのではないでしょうか。この想像力をどれだけ広げられるかは、宇宙産業に非常に求められるスキルで、伸びしろがある部分だと思います。

また、私は国内の宇宙産業だけでは伸びしろには限界があると考えています。そのため、海外との接点は必然的に必要になります。一方、日本には、衛星やロケットを作る・飛ばす・使うといった宇宙産業の一連の機能が国内にそろっているので、そうした環境がまだ十分に整っていない国とうまく連携することで、新たな可能性を広げていけるのではないかと思っています。

さらに、私がそうだったように、今まで閉じた産業だと思われていたものが、徐々に広がり始めています。そうすると、ますます多くの人が宇宙業界に入ってくるはずで、宇宙の中にいた人たちからは考えつかないような視点で、ちょっと突飛な宇宙の使い方が生まれると面白いなと思います。

宙畑:具体的に、どんな人が入ってくると面白いと思われますか。

武田:私が勝手に思ってるのは、ある日突然、デザイン会社の人が「よし、衛星をデザインしてみよう」と作り始めたら、もしかしたら私たちが考えないような、とんでもない衛星を作るかもしれないと妄想しています。

そして、「ソフトウェアの知見がないです、クラウドやAIも導入検討したいです」と言われた際に、「それならFusicのこのサービスが活用できますよ」と、提供できるようにしておきたいですね。

宙畑:武田さんご自身は今後、宇宙業界でどういうポジションになりたいと思われていますか。

武田:「宇宙産業の接着剤」、つまり、宇宙産業とそれ以外の産業をくっつける存在になりたいと思っています。

武田:橋渡し役にもなるし、Fusicのクラウドやソフトウェアに長けた技術力を軸に、どんどん宇宙業界を大きくしていくということが、私個人、そして、Fusicとしてもできたら、非常に面白いですね。

Fusicには、「こういうの面白いよね」と自分でどんどん進められるエンジニアが多く所属しています。興味があることに対して、会社としてもやる意味があれば、前向きに応援してくれる会社です。宇宙産業は会社としても大きくしていきたい領域ですし、私が興味ある分野でもあったので、非常に楽しく仕事できています。

(7)宇宙業界は「想像力」が必要な業界

宙畑:宇宙業界に向いている人、というのはあると思われますか。

武田:月並みですけど、想像力が必要な業界だと思ってます。他の産業に比べると、形のないものや、机上の空論のような、まだ実現していないものが語られることも少なくありません。それらを頭の中で動かせる想像力が試される気がします。

宙畑:たしかに、宇宙という地上からは見えない場所で衛星がどのように動いているのかも想像力が必要ですね。私も90分に1回地球観測衛星が回っているという状況を想像しながら理解するまでに時間がかかったことを思い出しました。

武田:具体的なエピソード例としては、最近公開された映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』について、社内で同僚と会話をした際に、「ここにはA装置があるから、この実験器具を置いておくのはきっとだめだな」と自身の経験をベースに仮説的な話をしていました。SF作品の中にも、実現できることと、それは難しいのではないかという視点を、想像力を働かせながら現実の世界に落とし込める人は、宇宙業界に向いているのではないかと思います。

宙畑:最後に、宇宙業界にこれから転職したいなと、ある程度興味を持たれているぐらいの方に対して、伝えられることがあればメッセージをいただけますか。

武田:宇宙産業というイメージを、あまり強く持ちすぎない方がいいかもしれないですね。「この会社のこういうところ、面白いな」と思う方がよいです。「衛星を作ってるから入りたい」ではなく、「その会社が作る衛星のこういうところが面白い」といったところまで考え、あまり宇宙という言葉にとらわれすぎない方が良いのではないかと思います。

すべての宇宙企業が、とりあえず宇宙をやっている会社ではありません。宇宙業界の中でも、何か技術を持っている会社だったりとか、何かサービスを持っている会社です。そのユニークなポイントに面白さを感じた方が、宇宙産業に入ってからの自分のプレーヤーイメージがつくと思っています。

(8)株式会社Fusicの求人情報

現在、Fusicではいくつかの職種で求人が募集されています。ぜひ採用サイトをのぞいてみてください。

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