Open Cosmosが3億ユーロを調達。衛星の量産能力を拡大し、他国に頼らない観測・通信サービスの展開を加速【宇宙ビジネスニュース】
2026年9月14日、欧州の衛星メーカーOpen Cosmosが、3億ユーロ(約533億円)を調達したと発表しました。今回の調達資金は衛星の量産能力の拡大と、ConnectedCosmos、OpenConstellation、DataCosmosの展開加速に充てられます。
2026年9月14日、欧州の衛星メーカーOpen Cosmosが、3億ユーロ(約533億円)を調達したと発表しました。
Open Cosmosは、英国・スペイン・ポルトガル・ギリシャに拠点を置く企業です。衛星インフラ、通信、リアルタイムのインテリジェンス(意思決定に使える情報)を提供しています。
リリースによれば、同社は5年連続で黒字成長を続けています。顧客は欧州各国の政府や宇宙機関、大手のエネルギー・インフラ企業などです。また、欧州域内に4つの工場を保有しており、全体で1日1機の衛星を製造できる能力があるとのことです。
企業HPによると、Open Cosmosの主な事業は以下の4つです。
(1)OpenOrbit
ミッションの設計から製造・試験、打上げ手配、軌道上運用などを一貫して引き受けるエンドツーエンドのミッション管理サービス。同社がミッション全体を管理することで、顧客は成果の創出に集中できるとしています。
(2)OpenConstellation
複数の組織が衛星データを共有する相互利用型の衛星インフラ。同社は最近、OpenConstellationの次世代機を打上げています。
これにより、地球観測データを届けるまでの時間を最大48時間から最短30分に短縮し、衛星搭載のAIによるデータ処理と衛星間通信を可能にすることを目指しています。
(3)ConnectedCosmos
企業・政府向けに主権的(他国の企業やインフラに頼らず、自国で管理・運用できる)で安全な通信を提供する低軌道衛星コンステレーション。
光通信で衛星同士を直接つなぎ、海底ケーブルを迂回します。妨害電波やサイバー攻撃への耐性も備えるとしています。
(4)DataCosmos
OpenConstellationの地球観測データへ安全かつ拡張性高くアクセスできるクラウド基盤。撮影指示やデータのリアルタイム探索など、多様な機能を備えます。
同社はこれら4事業を組み合わせて、顧客にインテリジェンスを提供します。
例えば、OpenConstellationの衛星が、森林上空の異常な温度上昇を検知すると、搭載されているAIが山火事発生の可能性を考察します。その情報はConnectedCosmosを通じて、消防隊員や周辺の航空機などに直接中継されます。地上のインターネットが使えない場所でも中継が可能です。
また、追加の衛星に観測させたり、地上のIoTセンサーを活用することで、情報を補完することもできます。
地上の通信が途絶した場合も、ConnectedCosmosが緊急対応チームに耐障害性の高い5G接続を提供することもできます。
同社はセンシング、通信、AIを1つのシステムに統合しています。これにより、政府や企業は、地球上の出来事をほぼリアルタイムで把握し、対応できるとのことです。
そして、今回の調達資金は衛星の量産能力の拡大と、ConnectedCosmos、OpenConstellation、DataCosmosの展開加速に充てられます。英国、スペイン、ポルトガル、ギリシャの各地域で約400人の従業員を擁するOpen Cosmosのエンジニアリング、製造、ソフトウェアチームを拡大する見込みです。
背景にあるのは、宇宙システムを政府や企業が他国に頼らず自立して安全に活動するための基盤とみなす欧州の動きです。
リリースによれば、欧州各国政府は、宇宙システムを中核的なインフラとして位置づけています。そして、欧州域外のインフラへの依存を減らすため、主権的な通信・観測能力に投資しています。
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創業者兼CEOのラフェル・ジョルダ・シキエル氏は以下のようにコメントしています。
「政府や企業は、強靭なシステムを通じて提供される、安全な通信と運用データをますます必要としています。しかし、インフラだけでは十分ではありません。本当の価値は、地球で起きていることをリアルタイムに伝えるインテリジェンスと、それを届けるグローバルな通信にあります。衛星、安全な通信、AIを活用したデータサービスを組み合わせることで、私たちは軌道上からの情報を、政府や企業が行動に移せるものへと変えるシステムを作り上げています。今回の投資によって、そのビジョンを加速させることができます。政府や大企業から寄せられている、信頼性が高く高性能な当社衛星の製造注文に応え、世界が必要とする主権的なサービスを提供していきます。」
同社の特徴は、観測と通信の衛星コンステレーションを自社で運営し、製造から情報提供までを1つのシステムとして提供する構想です。また、観測側のOpenConstellationは、複数の組織で共有できる形で提供しています。
これらの工夫により、欧州各国が宇宙インフラをより導入しやすくなると考えられます。主権的な体制を整えやすくなり、国家と経済の安全保障の強化にもつながるでしょう。
今回の調達資金で量産能力がどこまで拡大し、観測・通信サービスがどのように展開されていくのか、今後に注目です。
参考記事
Open Cosmos raises €300 million to accelerate real-time intelligence and connectivity from space
Satellite Missions | End-to-End Space Solutions | Open Cosmos
OpenConstellation | Shared Satellite Infrastructure | Open Cosmos
ConnectedCosmos | Secure Space-Based Connectivity | Open Cosmos

