トランプ氏の進める宇宙軍の創設 第31回「今週のSPACE ENGLISH」
英語が苦手で最新の宇宙ビジネス情報をキャッチするのに四苦八苦。そんな宙畑編集部員T.N.と一緒に、宇宙ビジネスで使用される英単語を学ぶ本連載。
英語が苦手で最新の宇宙ビジネス情報をキャッチするのに四苦八苦。そんな宙畑編集部員T.N.と一緒に、宇宙ビジネスで使用される英単語を学ぶ本連載。
今週は10/22~10 /29の7日間で『SpaceNews』内で最も頻繁に出現した英単語(※これまでに同連載でご紹介した英単語を除く)を10個ご紹介します。
それではさっそく、Let’s 今週のSPACE ENGLISH!!
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集計対象記事:『SpaceNews』で該当期間に公開された記事のすべて
集計期間:2018/10/22~2018/10/29
※()内の数字は該当期間の登場回数です
1.flat(107)
平らな
こちらがランクインしたのはアンテナの話題です。
アンテナ製造者たちの間で、フラットパネルアンテナを一般消費者向けの市場にも出荷できるまでコストダウンできるかどうかで意見が分かれています。
フラットパネルアンテナは今までのアンテナに比べ場所を取らず、より多くの衛星を追跡することができる高度な技術が用いられています。
衛星を追跡するプロセスに機械的な要素を含まず全てが電気的に行われ、アンテナで電波が送受信できる範囲の調整にも電子が利用されているため、任意の方向に瞬時にビームを向けることができます。したがって、空中のあらゆる衛星を素早く追跡する事ができるのです。このような技術が使われているためフラットパネルアンテナの値段は高く、今までは軍での使用が主でした。
値段を安くするためには材料のコストダウンだけで解決できそうにありません。アンテナ自体を小さくしても最低でも74㎝が必要で、大幅なコストダウンにはつながらないようです。
そんな中、数十の会社が独自の技術を利用して、低コストでのアンテナの製造に取り組んでいるようですが、順調とは言えず10年以内での達成には遠いようです。
2.trump(27)
アメリカの大統領、トランプ氏のことです。
彼が宇宙関連のニュースにて話題に上がったのは宇宙軍創設に関して言及したからです。
トランプ氏はホワイトハウスにて行われた、国家宇宙評議会にて宇宙軍の創設に対する強い意志を表明しました。
今後の具体的な動きについては説明されていません。しかし、この背景としては中国やロシアが衛星破壊兵器を開発していることがあげられます。そのような中、トランプ氏は宇宙でアメリカは脆弱であると思われることに危機感を示しています。
トランプ氏は2020年までに宇宙軍の創設を目指していますが、米軍の一部門として宇宙軍を創設するには議会での承認が必要で、今後どのように展開していくのか注目していく必要がありそうです。
3.branch(22)
枝。部門。
今回は部門という単語でランクインしました。先述したように、トランプ氏の進める宇宙軍の創設について、陸軍、海軍、空軍と同等な形での創設を要求しています。
しかし、アメリカ国防省はSPD-4(Space Policy Directive-4)という宇宙軍創設に対する提案を提出する予定です。これには、宇宙軍を今までの陸軍や空軍のような部門とは同列にならない部門として設立することを提案しています。
今週月曜日に行われた国際宇宙会議でも、この草案の受け入れついてトランプ氏は言及を避けています。
4.thales(22)
正式名はThales Group、フランスに本社を持つ会社の名前です。交通システム、民間航空、宇宙、防衛、サイバーセキュリティにおいてサービスを提供しています。
今回ランクインしたのは、タレスが宇宙部門への歳入を増加させたことが話題になっているからです。
10月18日、地球衛星航法システムであるガリレオの新たな地上設備とセキュリティーシステムの開発のため欧州宇宙機関(ESA)から日本円で約422億円の契約を結んだことを明らかにしました。ガリレオは、全地球規模で、位置や時刻の情報を利用できるサービスを提供するものです。
この背景としては、世界的に不振である民間の通信衛星の受注の落ち込みを埋め合わせるために
政府がタレスのために宇宙産業の回復を要請したことがあげられます。
タレスグループに関しては8番でも登場しています。
5.progress(18)
進歩
こちらは第29回で紹介したハッブル宇宙望遠鏡についての話題です。
ハッブル宇宙望遠鏡は1999年に打ち上げられて以来、19年間、問題なく運営されていました。
ハッブル宇宙望遠鏡には6個のジャイロが取り付けられていますが、そのうち3つが主に用いられ、残りの3つは予備として用意されています。
しかし、先月メインのジャイロ3つのうち3番目のジャイロ(ジャイロ3)に欠陥があることが判明しました。
このうち3つ目のジャイロについて、NASAはその後調査を続け、再び正常に機能する目途が立ったことを発表しました。
ジャイロ3の欠陥は主にジャイロ3に高いバイアス(誤差)が入るためだと分かりました。
NASAは試験運転を行い、ジャイロ3の制御を変化させ大幅にバイアスを減らすことに成功しました。
現在は、正常に稼働しているようです。
6.draft(17)
草案
今週の英語フレーズ
The draft says it is “imperative that the United States adapt its organization, policies, doctrine and capabilities to protect our interests” in space..
草案ではアメリカの宇宙における利益を守るためには組織、政策、方策そして能力を適応させることが不可欠だと述べている。
7 legislative(17)
立法の
今週の英語フレーズ
The Defense Department is expected to submit a legislative proposal to the White House Office of Management and Budget by Dec. 1 recommending that a Space Force be formed as a separate branch of the armed forces..
2月1日までにホワイトハウスの管理予算庁に国防省が宇宙軍は現在ある軍組織と異なる部署として創設すること求める立法案を提出する予定です。
8.geostationary(15)
geostationary satellitesで、静止衛星を意味します。
静止衛星は、地球の自転速度の同じ速度で周回するため、地球から見ると静止しているように見える衛星のことです。
常に地球の決まった地点と通信が行えたり、気象衛星のように24時間同じ地点を観測できるという利点があります。
今回ランクインしたのは、タレスグループと アルテカアレーシアが合併して誕生した人工衛星開発事業を行う会社が2021年の静止軌道衛星を打ち上げるための資金を募集しているという話題でした。
9.grazier(15)
Dan Grazier。
元アメリカの海兵隊で現在は有識者として、防衛に関して様々な分野で活躍している人物です。
今回のトランプ氏の打ち出す宇宙軍創設のついてもコメントしています。
“宇宙軍を軍の新な部署として設立するとなると、陸軍や空軍も協力しなければならない状態になる。空軍は衛星を購入しなければならないし、陸軍は通信するのに必要な地上設備を利用しなければならなくなる可能性がある。”
しかし、それらを使いこなせる人材は現在いないとし、独立したサービスとして軍からは引き離す必要があると彼は考えていることを明らかにしました。
10.transportation(14)
輸送。
商業宇宙輸送という単語での登場が多くみられました。宇宙輸送とは、必要な時に、衛星を打ち上げるシステムの事です。現在各国でこれを、民間企業などに委託し、商業的なものとすることが進められています。
トランプ氏は米国が宇宙ビジネスのリーダーシップを取ることを推進する意向を示しました。
そのため、アメリカ政府は商業輸送に関する規定をより明確なものにするよう改訂することを明らかにしました。
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以上、第31回「今週のSPACE ENGLISH」いかがでしたでしょうか。
次回の「今週のSPACE ENGLISH」は11/11(日)に10/29(日)~10/5(土)に公開された「SpaceNews」記事の最頻出英単語TOP10(これまでに紹介した英単語は除外)をご紹介します。
これまで英語が苦手でなかなか海外の宇宙ニュースを敬遠していたという方も、「今週のSPACE ENGLISH」で少しずつ宇宙英単語を学んで海外の宇宙ニュースにチャレンジしてみましょう!
執筆者:ラディッシュ担当M.S.
※これまでの「今週のSPACEENGLISH」はこちら