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大量の衛星画像で収穫量アップ:宇宙を通して精密農業を支えるには

全世界の人々が食べていくには、2050年までに食料生産率の70%増加を実現させなければならないようです。その解決策の一つに衛星データが期待されています

農地上で変化した場所を特定している画像データ Credit : Image courtesy of FarmShots

「全世界の人々が食べていくには、2050年までに食料生産率の70%増加を実現させなければならない。でも一体どうやって?」

コンピュータービジョン注1 を導入したソフトウェアで、農地のデータ分析を提供するFarmShots。画面一つで農地管理が出来る本システムには、Planetが撮影した衛星画像データが多く組み込まれている。毎日更新されるPlanetのデータカタログと農業の知見を基に、農地の異変検知と問題解決のスピード化を目指す。

FarmShots CEOのJoshua Miller氏は、「食料の性質そのものを改良するのは当たり前。農業の世界では長い間、いかなる環境でも安定した収穫量が得られるよう、品種改良が行われてきた。しかし今はそれに加え、食物を取り囲む環境をも見直す必要性がある。」と見解を述べる。

近年、FarmShotsは精密農法の第一線を走っている。農業者や農学者だけでなく、農業に携わるスカウト業者や投資家などに、管理下の農地の分析結果を提供している。何万エーカーという農地をデータ分析しているFarmShotsだが、そのデータの中にはPlanetが撮影した画像データも多く含まれている。Planetは所有している人工衛星で、地球上のあらゆる場所を撮影し、毎日更新していくことを目指している。ちょっとした環境の変化が農地を狂わすこともある農業には、Planetで提供する画像が大いに活躍している。FarmShotsは設立直後からPlanetのLee Smith氏と共にソフトウェアに磨きをかけ、現在は離れたところからでも携帯電話やパソコンから農地を管理できるような画期的なシステムまでに成長させた。本ソフトウェアは、農業機器のチェックなどをコンピュータービジョンを通して行う。また、定期的に撮影された画像データから、作物の病や腐敗なども予想できるという。

Miller氏曰く、生産率増加のためには画像データの取得がカギであり、Planetの「毎日、解像度の高い画像データを発信する」というビジョンは目的に合致するという。「毎日更新される画像データにより、高頻度な農地管理が可能となり、FarmShots利用者には今よりも3,4倍の経済効果をもたらすことになる。」とMiller氏は語る。

Planetで作成された画像カタログは、農地での問題検知を早めるだけではなく、問題解決も早めることになるだろう。そして、画像データを分析するソフトウェアの開発も追いつかなければならない。「従来の農業に関する経験や知識と、最新の画像データを利用したコンピュータービジョンのコラボにより、異変検知の自動化に一歩近付けるであろう。」とMiller氏は言う。

より持続性のある、クリーンな農業へ。最新の技術により発展する精密農法に、ますます期待が高まる。

注1: コンピュータによる視覚を実現する技術。主に、画像データから情報を抽出するために用いられる。

Farmshotsホームページ: http://farmshots.com/

今週の英語フレーズ

According to Miller, Planet’s goal of a daily, high-resolution picture of the Earth is a game-changer.

「Miller氏によると、Planetの目指す高頻度で高解像度な地球の画像データは、(農業において)革新的で、且つ重要な役割を担うという。」

2016/08/26, Planet Stories, Big Data, Big Yield: How Space is Powering Precision Agriculture,

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