NASAが2022年度の予算要求を発表。環境と科学プログラムの推進に意欲【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/5/24〜5/30】
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5月29日、NASAは2022年度の予算要求を発表しました。総額は2021年度予算を15億ドル以上超える、248億ドル(約2.7兆円)です。
2022年度の取り組みの柱となるのは、
①国内外の気候危機への対応
②米国の国際的地位の回復
③人種と経済格差の公平性追求
④経済成長の促進
の4項目です。
NASA長官のビル・ネルソン氏は、声明文の中で、4つの柱は米国政府の目標に沿ったものであることを説明したうえで、
「NASAのミッションが気候変動の研究と科学プログラムへの投資を増やし、NASAが次世代のプラットフォームを構築することを可能にします」
と環境分野と科学プログラムへの意欲を示しました。
科学プログラム全体の予算要求は、2021年度の予算実績と比較して、約6.3億ドル増加しています。中でも、月面や火星探査が含まれる惑星探査の予算は約5億ドル、気候変動観測が含まれる地球科学は約2.5億ドル増加しています。
また、深宇宙探査関連には、前年度比3.6億ドル増加にあたる約69億ドルが割当てられていますが、スケジュール後ろ倒しが懸念されているアルテミス計画の動向については明らかになっていません。
この流動的な状況は、企業の深宇宙探査関連分野への参入のハードルを上げてしまう恐れがあります。政権移行によって、プログラムに変動が起こりやすい米国においては、外部環境の変化に柔軟に対応できる体力や、並行して進められる事業など複数の分野に投資するなど工夫ができるか、企業の対応力が問われるかもしれません。
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参考
NASA Administrator Statement on President’s FY 2022 Funding Request