地球観測衛星データの世界のトップランナー!Planetに聞く、次世代衛星データ構想と日本のポテンシャル【前編】
2010年設立以来、地球観測衛星データ市場のトップランナーとして走り続けているPlanet Labs社にビジネス状況や次世代衛星データ構想、日本のポテンシャルについて、日本カントリーマネージャーのSteveさんにお伺いしていきます。
2010年設立以来、地球観測衛星データ市場のトップランナーとして走り続けているPlanet Labs社(以下、Planet社)。先日も次世代衛星群”Pelican”やハイパースペクトル衛星”Tanager”の計画を発表し、大きなニュースとなりました。
また、近年では日本にカントリーマネージャーを設置するなど、アジアや日本への展開も注力している印象です。
本記事は前編として、ビジネス状況や次世代衛星データ構想、日本のポテンシャルについて、日本カントリーマネージャーのSteveさんにお伺いしていきます。
プロフィール
▼Steve Jenksさん/Planet Regional Sales Director, Japan and India
PlanetのAPJ地域のセールス・ディレクターとして、主に日本とインド市場を担当。IBM、Cisco、Landis & Gyr、GreyOrangeなどの企業でキャリアを積み、Lndis+Gyrのカントリーマネージャーとして、2700万のエンドポイントを持つ世界最大の東京電力のスマートグリッドネットワークの展開を担当した経験を持つ。
宙畑編集部(以下、宙畑)まずはPlanet社のビジネスの概況について教えていただけますか。
Steve Jenksさん(以下、Steve)本日(インタビュー当日)、ちょうど弊社の3QFY23の決算資料が公表されましたので、こちらの資料から説明させていただきます。
1. 数字から見るPlanet
売上高は直近5年右肩上がり
Steve 売上高は直近5年右肩上がりで、3Qは$50M(前期同Q比57%)となりました。YoY Revenue Growth(前年同期比 売上高成長率)、Recurring ACV(顧客年間契約額)、Non-GAAP Gross Margin(売上総利益率)など、重要な指標で数字が増加しており、良い状態を作れています。また、お客様の数も順調に増えており、今期は864社と多くのお客様とお取引をさせていただいております。
さらに、キャッシュ(現金)を$425M所有していることを強みに、新しい衛星シリーズの開発を進めるなど自由に活動を行うことができています。
強力なパートナリングで進める事例作り
Steve 最近のハイライトとしては、AccentureやAWSとも新たなパートナーシップを築いており、環境モニタリングベンチャーであるSalo Sciences社の買収契約も2023年1月に完了しました。Salo Sciences社は森林や炭素、山火事をモニタリングしている企業で、今後統合することで新たなサービスを展開していきたいと考えています。
宙畑メモ:Salo Sciences社とは
Salo Sciencesは2016年に設立された、アメリカ・サンフランシスコに拠点を置くベンチャー企業です。生態系科学と衛星画像、人工知能を組み合わせた分析ツールや特定の地域を分析するコンサルティングサービス、カスタムマッピングのための地図作成サービス、経年変化を分析するモニタリングサービスなどを提供しています。
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宙畑 非常に勢いを感じますね。ユースケースとしてはどのような事例があるのでしょうか?
Steve ユースケースの一つは地球の急速な気候変動のモニタリングです。
また、マイクロソフトとコラボして世界中の太陽光発電所と風力発電所のマッピングを行ったり、国境の監視を行ったりもしています。
その他ですと、干ばつ時に保険会社が農家へ迅速に保険を支払うことができるようになる取り組みや、NASAとウクライナの小麦収穫量を測定したり、ブラジルの環境犯罪を監視したりなど様々です。
Steve こちらはアメリカのコズウェイをハリケーン「イアン」が襲った時の画像です。道が分断されたことで、住民が孤立してしまったことが確認できると思います。
Steve また、こちらはクリミア半島とロシアを結ぶ唯一の橋で、大規模な爆発が起こった時の画像です。爆発の箇所や被害規模が確認できるかと思います。
このように災害把握や防災、防衛、農業、エネルギー、金融、保険など様々なケースで弊社の衛星データを利用いただいております。
2.次世代衛星”Pelican”と”Tanager”
宙畑 次にPlanet社が運用している衛星についてお話を伺っていきたいと思います。現在は”Planet Scope”と”Skysat”がありますね。
宙畑メモ:現在運用中の衛星”Planet Scope”と”Skysat”
”Planet Scope”は、2016年にPlanetから打ち上げられた高頻度地球観測衛星。現在、Planetの衛星シリーズで最も数の多い約200機の衛星からなるコンステレーションであり、常時地球全体を撮影しています。3.7mの分解能を有しており、1機あたりのサイズはわずか10cmx10cmx30cmで、重さ5kg程度の超小型衛星です。
”Skysat”は、2013年にSkybox Imaging社から打ち上げられ、現在Planetが21機運用する高分解能地球観測衛星。50cmの分解能を有しているため、より解像度高く撮影することができるのが特徴。サイズは60cmx60cmx95cm、重さ110kg程度の小型衛星です。
世界最高クラスの性能で30分起きに撮影する新シリーズ”Pelican”
宙畑 先日発表された新しい衛星シリーズ”pelican(ペリカン)”と”tanager(ターネジャー)”についてもお話伺っていきたいのですが、まずは”pelican”というのはどんな衛星なのでしょうか。
宙畑メモ:”Pelican”とは
現在軌道上にある21機の”Skysat”を補充およびアップグレードするPlanetの次世代衛星。
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Steve ”Pelican”は2023年に打ち上げを予定しています。合計32機の衛星コンステレーションを構築することで、いつでもどこでも一日30回(中緯度の場合)は同じ地点を撮影することができるようになります。衛星が30分毎に同じ地点に来ますので、よりタイムリーな画像の取得が可能となります。
現在の私達の高分解能衛星シリーズ”Skysat”の分解能は50cmですが、高度を低く飛ばすことで解像度を上げることが可能で、”Pelican”は商用世界最高レベルの30cm分解能となり、より細かい解像度で観測することができるようになります。
宙畑 分解能を50cmではなく、30cmにすることでどのようなメリットがありますか?
Steve 例えば、車の向きを知りたい場合、車が前後どちらを向いているのかは50cmだと分からないのですが、30cmだと分かるようになるんです。30cm分解能の衛星を有する企業は他にもありますが、私達は32機と多くの機数を打ち上げることを目指しています。
解像度の低い”Planet Scope”では特にリクエストを受け付けることはなく、毎日地球全域をスキャンするように撮影していますが、より解像度の高い”Skysat”とそれに続く今回の”Pelican”はお客様から依頼を受けて、指定のエリアをピンポイントで撮影することを想定しています。
宙畑 ”Planet Scope”と”Pelican”は、それぞれ別のお客様を想定しているのでしょうか?
Steve 両方使われるお客様もいらっしゃると思います。
毎日”Planet Scope”で観測して、より詳しい情報を得たい場合は、”Pelican”を使っていただいたり。異常を検知して自動的に撮影依頼をする事も可能です。
もちろん、どちらかしか必要がないケースもありますので、お客様のニーズに応じてご利用いただけます。解像度をそんなに求めない場合はコストを抑えられる”Planet Scope”を提案しています。
数分以内の迅速な撮影・配付を実現
Steve もう一つ、”Pelican”の特徴は、RAPID ORDER &DELIVERYと言って、数分でタスキング(撮像要求)して撮影し、お客様に迅速にデータを提供するサービスも予定しています。
宙畑 数分はすごいですね。どのような用途を想定しているのでしょうか。
Steve 防衛関係や防災関係でより迅速に情報が必要な場合に利用いただくことを想定しています。ただ、そんなに早く情報が必要ないケースもありますので、そこもニーズに応じてとなります。
宙畑 報道関係にも使えそうですね。
Steve そうですね。報道関係はやはり情報としてはほしいと思いますね。
宙畑 お話を伺っていると、”Planet Scope”は広い範囲でコストを抑えて撮影したい場合に適していて、”Pelican”はより解像度高く、タイムリーに撮影したい場合に適している印象で使い分けが大事そうですね。
Steve そうですね。何を見たいかで使い分けていく必要があるかと思います。
宙畑 今後、”Skysat”は”Pelican”に置き換わっていくのでしょうか。
Steve 既に打ち上げられている”Skysat”は古くなっていきますので、将来的には”Pelican”が主流になっていくかとは思いますが、しばらくは同時で運用していくことになるかと思います。
ハイパースペクトルセンサTanager
宙畑 もう一つの”Tanager”とはどのような衛星なのでしょうか?
宙畑メモ:”Tanager”とは
メタンガス検出を目的とするハイパースペクトル衛星。
中南米に生息するカラフルな鳥フウキンチョウ科の総称にちなんで名づけられた。
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Steve ”Tanager”はまずは2023年に2機打ち上げ予定です。30mの解像度で、400~2500nmの範囲の波長を5nm間隔で、波長を細かく観測することが可能となります。NASAのジェット推進研究所と一緒に開発しており、センサは飛行機に搭載されているものと一緒で高精度なものとなります。
宙畑メモ:ハイパースペクトルセンサとは
通常の光学センサ(マルチスペクトルセンサ)よりも、より細かく波長を見ることのできるセンサのこと。
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ユースケースとしては、
・農業:作物分類、生育状況の把握など
・エネルギー:企業のメタン検出、油流出の監視など
・防衛:テロリスト、犯罪組織の監視など
・鉱業:物質の識別、材料の違法な持ち出しの検出など
・政府:都市開発、山火事、水質監視、災害支援など
など様々な分野での利用を想定しています。
3.全て自社開発だから実現できるユーザーニーズに応える衛星システム開発
宙畑 ”Pelican”や”Tanager”など、新しい衛星シリーズを考えるときは、どのようなプロセスで決めていかれるのですか?
Steve 時間はかかりますが、まずはお客様の使用目的やビジネス状況から今何が求められているかを考えるところからスタートします。お客様がどう使われるのか、そもそもどんなニーズがあるかを一番大事にしています。
その後にコスト面やパフォーマンスを考え、どう運用していくのかを設計していきます。私達は人工衛星を自分達で開発・運用しており、地上局も自社で保有しています。打ち上げ以外のプロセスは自社内で完結できますので、ユーザーニーズに合った衛星を柔軟に開発することができます。
宙畑 ”Tanager”もお客様にヒアリングして、フィードバックから作られたのですか?
Steve そうですね。”Tanager”は自社完結というよりは、プロジェクトとしてCarbon Mapper Inc.やNASA のジェット推進研究所、カリフォルニア州などと一緒に検討してきました。
宙畑 なるほど。まずは2機ですが、お客さんからの反応次第で機数は増やす予定ですか?
Steve はい。自社で作れるので、必要であればすぐにでも増やしていくことが可能です。あとお気づきかもしれませんが、”Tanager”と”Pelican”は形が似ています。バス系(衛星の基本となる通信や電源などの部分)などは共通の設計になっています。共通の部品を用いることで、多くの機数を製造することが可能となっています。
また、私達はハードウェアから搭載するソフトウェアまで全てend-to-endで人工衛星を作って、運用までしています。地球観測の分野でこれだけの機数の衛星を運用している経験があるのは我々だけだと思います。衛星そのものだけでなく、衛星データを処理するパイプラインも構築してきたので、その知見があるのが強みですね。
宙畑メモ:end-to-endとは
既製品を組み合わせるのではなく、すべて自分達で設計すること。
宙畑 衛星はアジャイルで少しずつ仕様を変えながら開発されているのでしょうか?
Steve はい。実は今の”Planet Scope”はver.16か17ぐらいになっています。より性能が良いパーツと入れ替えるなど常にアップデートをしています。全て自社で作っていて、構造を把握している私達だからこそ、微妙にスペックの違う衛星でも同じ撮影を行うことができます。
4.Planetが構築を進めるデータピラミッド構想
10年分のアーカイブの蓄積が今、価値を持つ
宙畑 今はどれくらいの衛星を打ち上げているのでしょうか?
Steve 一番多いPlanet Scopeシリーズでは、これまでに500機以上の衛星を打ち上げ、今は200機以上が軌道上で稼動しており、、毎日2回は地球全体を撮影しています。今までに撮影したデータはWeb上で公開していますので、お客様が特段欲しいエリアの撮影をリクエストしなくても、必要な場所と時間の画像をすぐに入手することができます。
また、1日30TB以上のデータを取得しているのですが、全てのデータが機械学習にかけられるよう調整済みです。衛星画像は色むらがあるとうまく機械学習を行うことができないのですが、そうならないように全部色を揃えたり、衛星データ間の位置ずれを補正したりしています。
多くのデータを蓄積しているので、お客様からは「古いデータはどうするのですか」「捨てるのですか」と聞かれますが、そうではないです。全部大事なアーカイブなんです。
10年前の今日はこうだけど、1年前や5年前はどうだったか時系列でその時々の状況を提供できることに価値があると思っています。
宙畑メモ:アーカイブを残し続けているからこそできる事例
Planetの衛星データを用いて、2022年7月に起きたイタリアのマルモラーダ氷河の崩壊を観測した論文が発表されました。崩壊の予兆がない中で、11人の死傷者を出した痛ましい事故でしたが、崩壊前後の状況を衛星データから前後比較することで、氷河の崩壊範囲や崩壊量を検出することに成功した事例となります。
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/2150704X.2022.2152754?journalCode=trsl20
Steve Planetはもう10年、衛星を打ち上げてデータを収集しています。最初の10年は毎日世界中の撮影ができて、それを提供していく仕組みを整えてきました。次の10年はこれらの衛星データをどうやって誰でも使えるような形にしていくか、だと思っています。
一般のお客様が利用できる形に変換してデータを提供する
宙畑 今後の展望について教えていただけますか?
Steve 私達はone to manyのプラットフォームを目指しています。衛星データは1回データを取ったら、様々なところに同じデータが使えると思っています。
Steve こちらは具体的にそのプラットフォームで弊社が提供しようとしているデータピラミッドの図となります。データの処理レベルを表しています。
ピラミッドの最下層はセンサで取得したデータそのもので、ここまで説明してきた通り、高解像度のタスキングやハイパースペクトルセンサなどのデータを揃えていきます。
下から2段目はセンサから取得したデータを加工して、全て機械学習で解析可能なデータに整えていきます。
3段目のPLANETARY VARIABLESでは、これらのデータをさらに地球環境の変化を測定する変数となるように処理し、道路や建物、変化検出、バイオマス、土壌水分量、土地被覆状態、水の監視など、ユーザーが事業判断を行えるようなデータに変換して提供していきます。
このようにある程度加工されたデータをお客様に提供し、お客様は自分達のシステムを作っていきます。大事なことはお客様がゼロからシステムを作る必要はないということです。プラットフォームを作ることで、お客様にとってのTime to valueを短くしたい。必要な情報を簡単に、早く入手できる仕組みを提供したいと考えています。
今はPLANETARY VARIABLESの種類を増やし、ソリューションとして提供している段階ですが、最終的にはさらに4層目のINSIGHTS、5層目のINDICATORSまで提供し、例えばお客様が実施している活動は、本当に脱炭素につながっているのか、SDGsにつながっているのか、そういったことをお客様と一緒に見える状態を作っていきたいと考えています。
5.日本の衛星データ利活用の道筋
日本はリモセンの歴史が長いのが強み
宙畑 Planet社の中でのアジアや日本の位置づけはどのようになっているのでしょうか?
Steve 日本は未来がある市場だと考えています。弊社では4つの地域別(NAM、APJ、EMEA、LATAM*)に分けており、3QではAPJ(日本を含むアジア太平洋地域)全体として14%の売上がある領域です。APJの中で、日本、シンガポール、オーストラリア、インドにスタッフがおり、そこからAPJ全体を見ています。
*注記
NAM・・・カナダ、アメリカ、メキシコ
APJ・・・アジア太平洋、日本
EMEA・・・ヨーロッパ、中東、アフリカ
LATAM・・・ラテンアメリカ
宙畑 日本ならではの市場の特徴はありますか?
Steve 日本は古くから航空機のリモートセンシングに取り組んでいて、ナレッジが蓄積されていると思います。各自治体や大学、研究所が毎年航空機を飛ばして撮影していますよね。衛星でなくても、航空機のリモセンに詳しいと衛星データも触りやすいと思っています。
宙畑 日本ではPlanet社の衛星データをどのように広めていきたいと考えていますか?
Steve 注目されているDXで使っていきたい気持ちがあります。
ある日本のお客様と話していたら、その方の県でLIDARで何年もかけて、お金もかけてマッピングを行っている話を聞きました。その時々の状況が細かく把握できるのはLIDARの特徴ですが、全てのエリアが撮り終わる頃にはデータ自身が古くなってしまったり、時系列での変化を見られなかったりします。例えば、森林伐採前後の変化やいつ伐採が行われたかは、LIDARでは分からないんです。毎月、航空機を飛ばしたり、ドローンを飛ばしたりするのは難しいので、衛星データを使うのが一番だと思っています。
また、分解能は地表面の解像度だけではなくて、時間分解能という考え方があります。航空機は頻度高く撮影することはできないので、時間分解能がかなり粗いんです。しかし、我々のPlanet Scopeを使えば毎日撮影することが出来ますから、観測頻度が細かくなります。そういうポイントを伝えていかないといけないと思っています。
宙畑 日本ではどのように衛星データを提案しているのでしょうか?
Steve 初めに、今までどんなことをされていて、今の課題はどこにあるのかお客様に深く聞くようにしています。それをきちんと把握したうえで、最適な提案をしています。
例えば、国から森林の伐採状況を調査してほしいと依頼を受けたときに自治体担当者は何のソリューションが最適かがわからない。衛星でなくても、こんなソリューションでこんなふうにやれば課題が解決できるのでは、とストーリーを作って提案しています。
私達は社内にプロフェッショナルサービスチームがあり、例えばPoC(実証実験)をやる場合であれば、どのような内容でどういうシステム構成にしていくのか、ゼロから支援できる体制を整えています。
カスタマーサクセスに関しても、何かあったときに迅速にサポートできるように2名の日本人がおります。日本にも代理店やパートナーがおりますので、パートナー自身でサポート対応もできますが、私達が日本にカスタマーサクセス部隊をおくことは重要だと思っています。
宙畑 御社からお客様に直接提案されるのですか?
Steve 日本は代理店と直販の2タイプがあるので、ケースバイケースですね。代理店やパートナーと一緒にストーリーを考えて、お客様に提案にいくこともありますし、Planetのデータだけ欲しいという代理店もあります。また、あるところはOEMで衛星データを使った自社のソリューションを作り、BtoC向けに提案したいみたいなニーズもありますね。
日本での衛星データ浸透に大事なことは「分かりやすさ」
宙畑 日本では、自治体の担当者は約3年に1回ジョブローテーションで変わる制度があります。衛星データを継続的に自治体に導入していくのは難しいのではと感じる時もあるのですが、どのようにお考えですか。
Steve 大事なポイントだと思います。やはり、専門的な知識が必要となる時もありますので、深く知らないと分からないこともあるんですね。せっかく知識をつけた担当者が3年で変わってしまって、新しい担当者にまた1から説明すると考えるともったいないですよね。
ただ、それが日本の文化ですので、しょうがないとも思っています。自治体である場所を調査したいとなった時に、今まで航空機で撮影していたので、とりあえず今回も航空機で撮影しようみたいな前例主義はどこにでもあると思うんです。
だからこそ、私達は衛星データの価値をしっかり伝えて、もっと分かりやすくて、使いやすい、誰でも価値を理解することができるデータを提供していかないといけないと考えています。先ほどお話したデータピラミッドはまさにそういう理念に基づいています。
日本人はやると決めたら、そこからの行動が本当に早いです。まだまだこれからですが、日本ではもっと衛星データが広がると思っています。
宙畑 勇気の出る言葉をありがとうございます。一緒に衛星データの価値を伝えていけたらと思います。
まとめ
前編では、Planetの決算資料からビジネスの勢いを感じるとともに、衛星データが幅広い産業で使われていることを知ることができました。
次世代衛星の構想や衛星開発がどのようなプロセスで作られているのかを知り、まだまだポテンシャルのある日本で事例が増えていくことが楽しみです。
後編では、Planetの躍進の裏側にある思想や、データピラミッドの先にある今後の構想についてお話をお伺いしていきます。
地球観測衛星データの世界のトップランナー!Planetの躍進の裏側にあるPublic Benefit Corporationの思想【後編】
なお、本記事について質問等がありましたら、PlanetのAPJ(アジア太平洋)チームにお問い合わせください。