宙畑 Sorabatake

衛星データ入門

商用最高級の衛星データなら桜の開花状況が分かる!? MAXARの衛星データでお花見してみた

解像度30cmという世界最高級の解像度を誇る衛星データで代々木公園の桜はどのように見える!? 宙畑編集部で確認してみました。

衛星データプラットフォーム「Tellus」で商用の衛星データが購入できるようになって早くも1年が経ちました。いつかは衛星データを購入してみたい!と考えていた宙畑ですが、ついにその願望が叶い、MAXARの衛星データを購入することに。

思い返せば宙畑の衛星データの利活用は、衛星データから桜が見えるのかという記事がはじまりでした。当時はTrue Colorのみで桜の場所を明確に把握することはできず、実際に代々木公園を訪れ、桜が咲いている場所が分かった状態で、RGB以外の波長を組み合わせて桜が検知できたというものでした。

しかしながら今回利用するのは何と言っても商用では最高の解像度(なんと30cm!)を誇る衛星データです。

この解像度であればきっと桜の開花状況もはっきりと分かるはず!

ということで、宙畑編集部が購入したのは2020年の桜の開花時期の衛星データです。商用最高級の衛星データが撮影した桜をご堪能ください。

(1)衛星データから桜の名所をチェック

今回、宙畑編集部が購入したのは桜の名所である代々木公園と新宿御苑の2箇所が写っている以下のシーンです。

Credit : [2023] Maxar Technologies

国立競技場や渋谷駅もシーンの中に入っていることが分かりますね。本データから桜以外の何が見えるか、何が分かるかについて編集部でディスカッション&利活用アイデア出しをした結果の記事も後日公開予定。ぜひ商用最高級の衛星の面白さを感じていただければと思います。

では、MAXARの衛星データで桜の開花状況を見てみましょう。

Credit : [2023] Maxar Technologies

こちらが代々木公園を撮影したMAXARの衛星データです。どこに桜があるのか分かりますか?

そうです、以下の赤い部分が桜になります。

Credit : [2023] Maxar Technologies

さすが商用最高級の衛星データ、桜の木の本数まで目視で確認できるほど鮮明に桜の場所が分かります。ただ、衛星データから見ると私たちが想像しているきれいな淡いピンク色ではなく、この画像を見ながら花見というのはよほど衛星データが好きな人でなければできないでしょう。

続いて、新宿御苑付近も見てみた結果がこちらです。

Credit : [2023] Maxar Technologies

代々木公園と比べると桜の木が分散していることが分かります。また、芝のエリアが広いことも一目瞭然ですね。

(2)無料の衛星データSentinel-2と比較してみる

では、無料で取得できる同時期の衛星データSentinel-2の画像も確認してみましょう。解像度10mの衛星データと30cmの衛星データとでは見えるモノにどの程度の差があるのでしょうか。

■代々木公園


出典:[2022] Maxar Technologies、European Space Agency

■新宿御苑


出典:[2022] Maxar Technologies、European Space Agency

True画像のみの比較でもMAXARの衛星データがいかに解像度が高く、鮮明に地上の状態が分かるのか、読者の皆様にもご理解いただけたのではないかと思います。

あらためて地上617kmからこれだけの情報を定期的に取得でき、それが民間企業でも個人でも購入できる世界になっているというのはすごいことですね。

また、ある程度MAXARの衛星データから桜の位置が分かれば、桜の本数までは分からないものの、sentinel-2の衛星データでも桜が見えるように思えます。つまり、機械学習でSentinel-2とMAXAR画像の桜の位置を学ばせられれば、Sentinel-2の衛星データだけでも桜の開花状況が分かるかもしれません。

(3)衛星データから桜の場所と開花状況が分かると誰が嬉しい?

では、衛星データから桜の場所と開花状況が分かるとどのような嬉しいことがあるでしょうか。

前に執筆した記事では「桜の開花状況を伝えるWEBサイトを作り、ビール会社の方から広告宣伝費をもらう、地方自治体の素晴らしい桜のスポットを衛星画像から探して観光地化する」と書いていました。

あれから5年経過した現在、桜ではありませんが、キャベツの収量予測を行い、キャベツの生産量が増えてキャベツの価格が下がりそうな時に回鍋肉のCMを流すといった衛星データ×広告の事例が生まれ始めています。桜の開花状況に合わせてビールやお花見関連の広告配信量を増やすといった可能性もゼロではないでしょう。

また、以前の記事に書いていなかった利用案としては、桜の木のデータと開花予測のデータが読み込まれたカーナビサービスが生まれるのも面白いかもしれません。実際にウェザーニューズ社が提供する花粉の飛散量予測データがメルセデスベンツ社のカーナビに導入されています。

目的地まで最短でたどり着くナビゲーションも便利ですが、おすすめの花見ドライブコースが提案されるのもなかなか粋です。春の観光シーズンにレンタカーを借りた観光客にとっては喜んでいただける機能のひとつになるのではないでしょうか?

(4)次回予告:MAXARの衛星データから何が分かる?

本記事では商用最高級の衛星データからならば桜の開花状況が分かるのではないかという仮説を検証した結果を紹介しました。ご覧いただいた通り、MAXARの衛星データを用いれば桜の開花状況が分かる上に、木の本数さえも数えられそうだと分かりました。

今回MAXARの衛星データは宙畑の記事で紹介することを目的に購入したもの。桜を見るだけではもったいない!ということで、編集部でMAXARの衛星データを眺めながら何が見えるか、何が分かるか、誰が喜びそうかをワークショップ形式でディスカッションしました。その内容を整理した記事を後日公開予定です。

また、今回、MAXARの衛星データの購入はTellusから行いました。そのやり方も別の記事で公開予定です。ぜひ衛星データを購入してみたいという方はTellusを訪れてみてください。

Tellusでの衛星データの購入はこちらからどうぞ!