住友林業とIHIの合弁会社が熱帯泥炭地管理のAIモデルを作成。衛星観測技術やドローン技術を活用【宇宙ビジネスニュース】
【2023年7月31日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
住友林業とIHIの合弁会社NeXT FORESTは、AIスタートアップRecursiveと協業し、熱帯泥炭地管理の初期AIモデルを構築したと発表しました。
熱帯泥炭地は、枯れた植物が土中に存在する微生物の分解を受けずに有機物の塊として堆積した土地です。この土地は大量の水と炭素を含んでおり、地下水位が下がりすぎると炭素を含む泥炭が分解・消失し、非常に燃えやすくなり、森林火災の原因となります。また地下水位が高くなりすぎると木の生育を妨げる原因にもなるため、地下水位の適切な調整が必要になります。
熱帯泥炭地が伐採や焼畑により破壊されると、地中の有機物が分解され、二酸化炭素が大量に大気中へ排出されます。さらに地下水が蒸発散をすることで大気中に返すという水の流れが失われ、干ばつや洪水などの原因につながると言われています。
森林のような非常に広大な土地を管理するためには、衛星による観測が必要です。住友林業とIHIは2021年に提携を開始し、住友林業が持つ熱帯泥炭地管理モデルとIHIの衛星観測技術を組み合わせ、事業を行っているということです。経済産業省も「衛星の観測情報の共有スキーム」を通じて、この取り組みを支援しています。
AI水理モデルの構築には、住友林業がインドネシアで10年以上蓄積したデータが活用されています。
土地の標高などの地形データや降水量といった情報をAIモデルにインプットさせ、地下水位データを教師データとして、AIによる機械学習と物理モデルを複合したAI水理モデルが地下水位を予想します。そして、AIが予測した数日後の地下水位が火災危険性のある地下水位まで達した場合に時、アラートが出る仕組みとなっています。