宙畑 Sorabatake

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韓国が航空宇宙庁(KASA)を設立。宇宙開発を全面支援、宇宙関連企業1000社の育成目指す【宇宙ビジネスニュース】

【2024年6月3日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

5月27日、韓国の航空宇宙庁(Korea AeroSpace Administration、通称KASA)が新たに発足しました。

2022年5月に就任した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、大統領選挙の公約のひとつにKASAの設立を掲げていました。

宙畑メモ
韓国では、未来創造科学部(Ministry of Science,ICT and Future Planning)傘下の韓国航空宇宙研究院(Korea Aerospace Research Institute、通称KARI)が航空宇宙分野の研究開発を主導してきました。

韓国政府は2022年11月に、火星に韓国の宇宙船を着陸させる計画や月への到達が可能な独自のロケットを5年以内に開発し、2032年に資源採掘を実施する計画などを盛り込んだ「宇宙経済ロードマップ」を発表しました。KASAはこのロードマップを遂行するべく、科学技術情報通信部所属の中央行政機関として、宇宙航空政策、研究開発、産業育成、民間・軍の協力、国際協力などを担います。

なお、2022年12月に発表された新政権の経済政策方針を踏まえた「新成長4.0戦略」においてもKASAの設立や月面軟着陸などが盛り込まれました。

2023年4月にKASA設立に関連する法案が国会に提出され、2024年1月に国会を通過、そしてKASAの設立に至りました。

30日には慶尚南道泗川(サチョン)市の臨時庁舎で発足式と第1回国家宇宙委員会が開催されました。韓国政府は発足式について「世界5大宇宙強国になるという韓国のビジョンを実現し、新しい宇宙時代を切り開くという韓国の決意を強調するものです」と説明しています。

尹大統領は、関連予算を2027年までに1兆5千億ウォン以上に拡大し、2045年までに約100兆ウォンの投資を誘致するなど、宇宙開発を全面的に支援すること、さらに宇宙関連企業1000社を育成し、そのうち10社を世界的企業に育てると説明しました。特に、KASAの拠点都市である泗川市を先端宇宙科学技術の中心地、「世界中の優秀な人材が集まるアジアのトゥールーズにする」と述べたということです。

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参考

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