Rocket Labと米空軍と提携、中型再利用可能ロケット「Neutron」で高速2地点間輸送の実証
2025年5月8日、RocketLabは、米空軍研究所(AFRL)との提携し、中型再利用可能ロケット「Neutron(ニュートロン)」による地点間貨物輸送実証ミッションを2026年に実証すると発表。その概要と展望についてまとめました。
2025年5月8日、宇宙関連サービスを手がけるRocketLabは、米空軍研究所(AFRL)との提携し、中型再利用可能ロケット「Neutron(ニュートロン)」による地点間貨物輸送実証ミッションを2026年に実証すると発表しました。

ニュートロンは、Rocket Labがすでに60回を超える成功打ち上げ実績を持つ小型ロケットElectron(エレクトロン)の技術基盤を受け継ぎつつ、より大きな市場に向けた、RocketLlabの新しいロケットです。
このプロジェクトは、ロケットによる地球上の“点から点への物資輸送”を目指すもので、高速2地点間輸送(P2P:Point to Point)と呼ばれることも。
打ち上げは早ければ2026年に実施予定で、アメリカ国防総省が進める「REGAL(Rocket Experimentation for Global Agile Logistics)」計画の一環として、ニュートロンの技術的可能性を検証します。
もし成功すれば、東京からアメリカやヨーロッパまで1時間で物を運べるなど、グローバルな物流や軍事輸送のあり方を大きく変える可能性を秘めています。科学技術の進歩が、まるでSF映画のような輸送手段を現実のものにしようとしています。
ニュートロンは、地球低軌道(LEO)に最大13トンのペイロードを運搬できる中型再利用可能ロケットです。また、フェアリングシステムと第一段ブースターは統合された状態で再利用可能な設計となっており、高頻度・低コストな打ち上げを実現します。今回のような安全保障用途だけでなく、商業、科学探査、その他新しいミッションの展開など、幅広いニーズに対応できる設計となっています。
今回の提携について、Rocket Lab創業者でCEOのピーター・ベック氏は、以下のようにコメントしています。
「Neutronは、性能、信頼性、コストのすべてで新たなスタンダードを築くロケットです。米空軍との連携は、我々の技術に対する高い信頼を示すもの。Neutronの初打ち上げが待ちきれませんし、このミッションを通じて宇宙物流の未来を世界にお見せできるのが楽しみです」
バージニア州ウォロップス島にあるニュートロン専用発射場(Launch Complex 3)の整備も順調に進んでいて、数週間以内の完成が見込まれています。搭載されるアルキメデスエンジンや主要構造部の試験も各地の施設で進行中。今回の契約における実証の前に、ニュートロン初号機の打ち上げは、2025年後半に予定されています。
近年は自社衛星の展開や宇宙からのサービス提供も事業のポートフォリオに組み入れており、打ち上げから運用まで一貫して行う“宇宙の総合商社”へと進化を続けています。
「物資がロケットで“地球内”を飛んで届く日が来る」なんて、かつてはフィクションの話でしたが、こうした取り組みによって現実になりつつあります。ニュートロンの初飛行、そして本ミッションの成果が今から楽しみですね。