宙畑 Sorabatake

経営・資金調達

宇宙輸送を革新するImpulse Space、シリーズCで3億ドルを調達【宇宙ビジネスニュース】

SpaceXの創業メンバーで、ファルコン9でも使用されるMerlinエンジンの設計者・トム・ミューラー氏が創設した宇宙スタートアップImpulse Spaceが、シリーズCラウンドで3億ドル(約470億円)を調達したと発表。事業概要を紹介します。

2025年6月3日、SpaceXの創業メンバーで、ファルコン9でも使用されるMerlinエンジンの設計者・トム・ミューラー氏によって、2021年に設立された宇宙スタートアップImpulse Spaceが、シリーズCラウンドで3億ドル(約470億円)を調達したと発表しました。これにより、同社の累計調達額は5億2500万ドルに達しました。

Impulse Spaceはすでに30件以上の商業・政府系ミッション契約を獲得しており、その契約総額は約2億ドルにのぼります。

同社の主力製品であるMira(ミラ)は、強力なエンジンを搭載し、素早い方向転換や移動ができる宇宙機です。人工衛星などの軌道の変更や、宇宙への物資輸送に使われ、すでに2回の商業ミッションでの実績が残しています。

また、新たに開発中のHelios(ヘリオス)は、キックステージと呼ばれるタイプの宇宙機で、地球のまわりを回る低軌道から、より高い場所にある静止軌道や、さらに遠い深宇宙(月や火星など)へと物資を運ぶ、中継輸送車のような役割を担います。

Credit : 2025 Impulse Space, Inc.

Heliosは2026年の打ち上げが予定されており、より重くて遠くへ運ぶミッションに対応できるように設計されています。

さらに、Impulse Spaceは2027年に「GEOライドシェア・プログラム」の開始を予定しています。これは、複数の企業や団体が同じ宇宙機に物資を“相乗り”させて打ち上げる仕組みで、コストを抑えつつ、柔軟で効率的な宇宙輸送を可能にします。

今回の資金調達により、設計・製造・ミッション運用の各分野で、新たな人材を積極的に採用していく予定となっています。また、長期間の宇宙ミッションに対応するために、電気の力で少ない燃料でも効率良く宇宙機を動かす電気推進システムの開発、国家安全保障やNASA向けの特殊なミッションに対応する新型宇宙機の開発にも注力していく予定とのこと。

ミューラー氏は、

「私たちは、設計から打ち上げまでを短期間でやり遂げ、宇宙で実際に成果を出せることをすでに証明してきました。今回の調達により、増え続けている軌道間輸送のニーズに真っ向から応えるための、生産能力と技術力を拡大することができます。」

とコメントしています。

現在、宇宙における輸送ミッションへのニーズは、防衛や政府機関、商業分野のプロジェクトといった多岐に渡り、いずれも拡大しています。Impulse Spaceは、信頼性が高く、コスト効率に優れた迅速な輸送を提供する企業として、今後さらに注目を集めていくことでしょう。

【参考記事】
・Impulse Space Secures $300 Million Series C to Accelerate the Future of In-Space Mobility
Impulse Space Secures $300 Million Series C to Accelerate the Future of In-Space Mobility | Impulse Space
・Building the Future of the Space Economy(MiraやHeliosについて公式ブログで端的に説明されています)
Building the Future of the Space Economy | Impulse Space
・Impulse Space公式ホームページ
Impulse Space

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