商用宇宙ステーションにも関わるVoyager、地上インフラをアップデートする光通信向け結晶材料を宇宙で製造する特許を取得【宇宙ビジネスニュース】
Voyager Technologiesは、微小重力環境を活用した、光通信向け結晶材料の製造方法に関する特許を取得したと発表しました。この技術は、データセンターやAIを支える地上の光通信ネットワークといった地上の重要なインフラをアップデートする可能性を秘めています。
2026年1月14日、Voyager Technologies(以下、Voyager)は、微小重力環境を活用した、光通信向け結晶材料の製造方法に関する特許を取得したと発表しました。
Voyagerは2019年にアメリカで設立された、宇宙と防衛の技術を専門とする企業です。最近では大きな資金調達を達成したり、量子技術の宇宙利用に向けた提携を行うなど、新興ながら宇宙ビジネス分野で活躍しています。また、VoyagerとAirbus Defence and Spaceは合弁会社Starlab Spaceを設立し、商業宇宙ステーション「Starlab(スターラボ)」を開発しており、三菱商事と戦略的パートナーシップを締結しています。
関連記事
VoyagerとInfleqtion、宇宙における量子時代の幕開けに向けて提携【宇宙ビジネスニュース】
宇宙・防衛テクノロジー企業Voyager Technologiesが米国IPOで3億8280万ドルを調達
三菱商事、商業宇宙ステーション「Starlab」の開発企業と戦略的パートナーシップを締結【宇宙ビジネスニュース】
今回の特許技術は、将来の宇宙通信システムを視野に入れていますが、データセンターやAIを支える地上の光通信ネットワークといった、地上の生活インフラをアップデートする上でも非常に注目の技術となっています。
光通信では、信号を正確かつ高速に伝えるため、高純度な結晶材料が必要です。しかし地上では重力の影響により、結晶が成長する過程で偏りが生じやすいという課題がありました。Voyagerはこの問題に対し、微小重力環境を利用することで、地上では不可能なレベルの高純度な結晶を製造できる方法を考案しました。
今回の特許技術の特徴は、特定の波長に適合する結晶を育てられる点にあります。これにより不要な波長を含まず、伝えたい信号のみを生成できます。そのため通信の安定性が向上し、エラーの低減につながります。これは、AIやクラウドサービスなど、膨大なデータを高速に処理・伝送するシステムにとって大きな利点になります。
Voyagerは2026年春、ISS(国際宇宙ステーション)にサンプルを輸送し、この製造手法を実証する予定です。2005年NASA認可法により設立された米国政府資金による国立研究所であるISS National Laboratoryの助成を受けて実施され、ニュージャージー工科大学やニューヨーク大学などの研究者もパートナーとして参画しています。
同社CEOのDylan Taylor氏は、「この特許は、微小重力を活用して地上および宇宙の双方に有効な価値をもたらそうとする当社の姿勢を示すものです。超高純度で波長設計された結晶は、地上のデータセンターであれ、軌道上のネットワークであれ、より高速で安定性の高い光通信の基盤となります。」とコメントしています。
微小重力を活用した製造事例は、今回の光通信向け結晶材料以外でも、医薬品・人工網膜などで存在しています。
関連記事
宇宙での医薬品開発のための新会社SpaceMDをRedwireが設立。対象疾患は関節リウマチ、多発性骨髄腫、糖尿病、歯周病、結核など【宇宙ビジネスニュース】
LambdaVision、宇宙での製造技術を活用した失明治療の革新に向けて、700万ドルのシード資金を調達【宇宙ビジネスニュース】
2030年にISSが運用終了となる計画の裏側では商用宇宙ステーションの活用アイデアが求められており、今回のリリースのように商用宇宙ステーションを活用した地上に還元されるビジネスのアイデアがどんどん生まれ始めています。今後もどのような宇宙利用の事例が生まれるのか、注目です。

