宙畑 Sorabatake

地上局

「テンポの良い地上局展開と実用できる衛星コンステレーションの構築を」インフォステラとSSC Spaceが提携し、セーレンの小型衛星「FUSION-1」向けに地上局サービスを提供【宇宙ビジネスニュース】

インフォステラ、SSC Space(スウェーデン宇宙公社)、セーレンの3社は、セーレンの小型衛星ミッション「FUSION-1」向けに衛星通信サービスの提供を開始したことを発表しました。記者会見で語られた両社の提携に関する期待と今後の展望を紹介します。

2026年7月7日、インフォステラ、SSC Space(スウェーデン宇宙公社)、セーレンの3社は、セーレンの小型衛星ミッション「FUSION-1」向けに衛星通信サービスの提供を開始したことについて、虎ノ門で開催された国際的な宇宙ビジネスカンファレンスSPACETIDEにて記者会見が開かれました。

左からセーレン株式会社 宇宙システム事業部 事業部長 中村 博一さん、株式会社インフォステラ 代表取締役 CEO 倉原 直美さん、SSC Space 日本法人Country Manager 金澤 誠さん

インフォステラは、周回衛星向けGSaaSプロバイダーです。地上局ネットワークを仮想化するクラウドプラットフォーム「StellarStation」を提供しています。また、無線局免許の取得や周波数調整など、地上セグメント側の業務サポートも手がけています。

宙畑メモ:GSaaSとは
Ground Segment as a Serviceの略。衛星事業者が自前で地上局を建設・保有する代わりに、世界各地の地上局ネットワークを共有サービスとして利用する事業モデルです。地上セグメント構築の難易度が下がり、衛星ビジネスへの参入障壁を低くする効果があります。

セーレンは、1889年創業の総合繊維メーカーです。近年は宇宙・衛星関連事業を次世代の重要領域と位置づけており、決算説明資料の中でも人工衛星が売上を牽引していることを明記しています。

Credit : セーレン

また、今回のサービスを利用するFUSION-1を推進するFUSIONプロジェクトでは、福井県の「宇宙ビジネス持続発展支援事業補助金」を活用しています。福井大学やアークエッジ・スペースなどとの産学官連携で、衛星運用や地上局ネットワーク活用の実証を進めています。

そして、SSC Space(スウェーデン宇宙公社)は、1972年に設立されたスウェーデンの宇宙インフラ企業です。地上局ネットワークサービスや衛星運用支援、ロケット打上げ・地上試験サービスなどを世界中の政府機関・研究機関・民間企業に提供するなど宇宙産業の中でも多様なサービスを展開しており、2026年1月に日本法人を設立しました。

今回のリリースでは、StellarStationを通じて、SSC Spaceの小型衛星向けグローバル地上局サービス「SSC Space Go」を利用します。これにより、FUSION-1の衛星運用に必要な通信機会を提供します。

SSC Space Goは同社が新たに開始したサービスで、セーレンが本サービスの利用事業者第1号となり、同サービスの重要なマイルストーンになるとしています。
また、このネットワークの接続により、インフォステラにとってはStellarStation利用者の地上局の選択肢が広がることとなり、インフォステラの既存顧客である衛星事業者にとっても心強い提携となったことでしょう。

また、記者会見で「今回のパートナーシップやサービス利用の発表をきっかけに、日本全体がどのように盛り上がることを期待するか」と質問をしたところ、インフォステラの倉原さん、セーレンの中村さんからそれぞれ以下のように回答をいただきました。

株式会社インフォステラ 代表取締役 CEO 倉原 直美さん
「海外の動きを見ていると、製造能力、つまり大量に衛星を製造する能力の強化に、欧米各国でも力を入れていると思っております。日本においてはセーレン様が先駆けてそのあたりを始めていらっしゃるので、ここはすごく注目すべきところと考えています。

インフォステラとしては、地上局サービスは、衛星をたくさん運用する際に必要になるところですが、設計の段階から、適合性の確認や、どういったところに地上局が必要かといった検討に参画させていただけるようなコラボレーションが今後できてくると、衛星事業者さんの計画に先駆けて、地上局の事業者側でも初期投資をしていくことができます。その結果として、衛星事業者さんのテンポの良い事業展開に貢献できると思っております」

セーレン株式会社 宇宙システム事業部 事業部長 中村 博一さん
「倉原さんからおっしゃっていただいたように、衛星自体は今、日本のいろいろな補助事業や予算がついてきているので、増えていくと思います。ただ、それをオペレーションするところには、これから一定の課題が出てくると思っています。

ですから、それを先に見据えて、インフォステラ様やSSC Space様のように、グローバルで堅実に衛星運用されている、先を見据えてきちんと準備・計画をされているところと、これから課題が見えてくる衛星メーカーがしっかりコラボレーションすることで、加速的に、実用に足る観測コンステレーションが確立していく考えています」

なお、本提携について、リリースで各社は以下のようにコメントをしていました。

株式会社インフォステラ 代表取締役 CEO 倉原 直美さん
「世界最大の地上局サービス事業者の一社であるSSC Space様と協力し、セーレン様のFUSION-1ミッションをご支援できることを光栄に思います。「SSC Space Go」は小型衛星コンステレーションに最適な地上局サービスとして設計されており、このネットワークがインフォステラが提供するクラウドプラットフォームStellarStationに接続されたことで、StellarStationプラットフォームユーザー様により幅広い選択肢のサービスを提供できるようになりました。今後もSSC Space様と協力して、高い信頼性の地上局を、簡単に、迅速に提供してまいります。」

SSC Space 日本法人Country Manager 金澤 誠さん
「日本の小型衛星開発をリードするセーレン様、そして日本発の宇宙インフラスタートアップであるインフォステラ様と、このような取り組みを実現できたことを大変嬉しく思います。本案件は、SSC Spaceが新たに開始した小型衛星向けサービス「SSC Space Go」において、重要なマイルストーンとなります。また、SSC Spaceは2026年に日本法人を設立し、日本の宇宙産業の更なる発展へのコミットメントを強化しています。SSC Spaceは世界各地に展開する地上局ネットワークを活用し、日本の衛星事業者に対して柔軟で信頼性の高い通信インフラを提供しています。本案件は、日本の宇宙エコシステムとの連携を深める重要な一歩であり、今後も日本の宇宙事業者様に対して、世界水準の宇宙インフラサービスを提供してまいります」

セーレン株式会社 代表取締役 社長執行役員 山田 英幸さん
「セーレンは小型人工衛星の量産化サービスを既に本格的に提供しており、さらにFUSION-1ミッションを通して衛星運用も含めたサービス領域の拡大を進めています。この度、世界規模の地上局ネットワークを有するSSC Space様と、地上局ネットワークと衛星運用をつなぐプラットフォームを提供するインフォステラ様との連携により、海外地上局ネットワークを活用できる環境が整ったことで、セーレンとして衛星運用のさらなる高度化を図ることが可能となりました。運用機会やデータ取得機会の拡大を通じて、衛星を活用したサービスの価値向上を目指し、その実現に向けた取り組みを進めてまいります。また、今回の取組みにより、日本国内における衛星コンステレーション事業の拡大につながる新たな契機が生まれたことを大変喜ばしく思います」

現在、日本国内での小型衛星コンステレーション構築が加速し、衛星データ活用の需要も拡大すると期待されています。そのうえで、衛星運用の高度化に伴い、国内外の地上局ネットワークを柔軟に使える環境整備も重要な日本成長の勝ち筋とひとつと考えられています。

Credit : 内閣府

その点、今回の記者会見は、日本企業の衛星に海外の新しい地上局網を活用する運用体制がさらに整備され、今後も日本の宇宙企業が活躍するための基盤が強くなることに期待が高まる時間となりました。

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