Spireが75億円を調達。衛星間通信機能の導入に向けて前進【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/4/19〜4/25】
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4月22日、船舶の位置情報や気象情報サービスを提供する超小型衛星事業者のSpire Globalは、7,000万ドル(約75億円)を調達したと発表しました。出資したのは、テクノロジーを専門としているファンド・Francisco Partners。
Spireは2021年3月に、SPAC(特別買収目的会社)を活用して、ニューヨーク証券取引所に上場していて、累計の調達額は約310億円に上ります。
プレスリリースでSpireのCEOであるPeter Platzer(ペーター・プラッツエル)氏は、調達した資金の支途について、衛星間通信の実装を加速させ、遅延が小さいデータ提供を目指す方針だと説明しています。
衛星が取得したデータの受信(ダウンリンク)は、「地上局」で行われます。地上局が多ければ多いほど、衛星が地上局の上空を通過するタイミングを待たずにデータを受信できますが、地上局の拡充には限界があります。そこで有力視されているのが、衛星間通信です。地上局を通過するタイミングが近い衛星にデータを転送することで、より速く地上でデータを受信できるようになります。
同社は2020年9月に、軌道上にある90機を超える衛星コンステレーションについて、徐々に衛星間通信の機能を持たせた衛星に置き換えていく計画を発表していました。
Spireは2019年にも衛星の設計寿命を2年から3年に延長するアップデートを行うなど、野心的に技術の向上に取り組む企業です。
すでに顧客へのサービス提供が進んでいる同社だからこそ、どの観点での改善が衛星データビジネスの収支に大きな影響を与えるのか、ある程度絞り込めているものと思われます。今回の発表から、同社は「データのリアルタイム性」の追及がその答えの一つであると考えているようです。
この改善により、どれほど顧客への提供価値が増大するのか、今後、ほかの衛星データサービス事業者が「データのリアルタイム性」をどこまで追及してくるのかに注目です。
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参考
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