IHIエアロスペースが商業衛星の打ち上げを初受注。QPS研究所の衛星2機が搭載へ【宇宙ビジネスニュース】
【2022年4月25日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
4月19日、小型SAR衛星のコンステレーションの構築を進めるQPS研究所が、衛星3号機と4号機の打ち上げをIHIエアロスペースに委託したと発表しました。QPS研究所の衛星2機は、2022年度にJAXAの革新的衛星技術実証3号機とともにイプシロンロケット6号機で打ち上げられる予定です。
IHIエアロスペースにとって、商業衛星の打ち上げ受注は今回が初。QPS研究所の創業者の一人で、九州大学名誉教授の八坂哲雄氏は、IHIエアロスペースとの契約締結式で
「今回、初のイプシロンロケットでの商業衛星の打ち上げで、創業当初から考えていた、九州で製造した衛星を九州から打ち上げるという20年越しの想いが実現することは誠に感慨深く、そのような機会を頂けたIHIエアロスペース様に感謝申し上げたい」
と話しました。
また、翌日22日、JAXAはイプシロンロケット6号機にQPS研究所の衛星2機を搭載することに伴い、革新的衛星技術実証3号機の実証テーマに含まれていた金沢大学と東京工業大学、静岡大学の超小型衛星を別のロケットに搭載するよう打ち上げのスキームを変更することを発表しました。
JAXAによると、今回の変更はIHIエアロスペースよりQPS研究所の衛星2機を搭載することが提案され、文部科学省と連携して対応について検討、協議の結果、イプシロンロケット利用拡大等の観点から決定されたとのことです。
超小型衛星を搭載する予定だった金沢大学と東京工業大学、静岡大学には、JAXAから変更の協力を依頼し、合意が取れていて、2022年度内の打ち上げに向けてIHIエアロスペースがサービスの調達を実施予定です。
イプシロンロケットがコンステレーション向けの衛星群の商業受注拡大に向けた実績を積むことで、世界にも選ばれるロケットになることが期待されるのではないでしょうか。
宙畑編集部のおすすめ関連記事
累計調達額は82.5億円に。小型SAR衛星ベンチャーQPS研究所が10.5億円を追加調達【宇宙ビジネスニュース】
川崎重工のデブリ除去衛星を含む、革新的衛星技術実証2号機プロジェクト。10月にイプシロンロケットで打ち上げへ【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/8/16〜8/22】
今週の宇宙ニュース
米、ハリス副大統領が衛星攻撃兵器(ASAT)実験の禁止を表明。各国にも協力を呼びかけ【宇宙ビジネスニュース】
天地人が気象衛星ひまわりのデータと超解像技術を活用した高頻度の地表面温度プロダクトを発表【宇宙ビジネスニュース】
Planetが次世代衛星群Pelicanを発表。分解能30㎝で同地点1日最大12回の観測実現へ【宇宙ビジネスニュース】
OneWebがインド宇宙機関と打ち上げ契約を締結【宇宙ビジネスニュース】
参考
小型SAR衛星QPS-SAR 3、4号機の打ち上げに関して IHIエアロスペース社と契約を締結し、2022年度にイプシロンロケット6号機で打上げ予定です
イプシロンロケット6号機による民間小型SAR衛星の受託打上げおよび革新的衛星技術実証3号機打上げスキームの一部変更について