小型衛星向け「水エンジン」開発のPale Blueが資金調達10億円。生産拠点の立ち上げへ【宇宙ビジネスニュース】
【2023年10月9日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
10月5日、「水エンジン」を開発するPale BlueがシリーズBラウンド・ファーストクローズの資金調達を実施したことを発表しました。
出資したのはシードラウンドからの既存投資家である三井住友海上キャピタルとインキュベイトファンド。直近の銀行借入も含めた調達総額は約10億円に上るということです。
さらに、Pale Blueは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業」(DTSU事業)のDMPフェーズ(量産化実証)に「水を推進剤とする人工衛星用推進機の量産技術の確立」で採択されています。
宙畑メモ DTSU事業
ロボティクスやAI、クリーンテクノロジー、航空宇宙など経済産業省所轄の鉱工業技術の研究開発に取り組むディープテック・スタートアップを対象とした助成事業。Pale Blueが採択された「DMPフェーズ(量産化実証)」の助成金の額は25億円以内となっています。
参考:「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業」に係る公募について
Pale Blueは、2023年3月にソニーグループのSTAR SPHEREプロジェクトの超小型人工衛星「EYE」に搭載した水蒸気式エンジンの軌道上噴射に成功。これは同社が創業後に開発した推進機としては初めての作動成功でした。
ソニーのカメラ衛星の打ち上げが成功。Pale Blueの「水エンジン」搭載で長寿命化を目指す【宇宙ビジネスニュース】
この水蒸気式エンジンの軌道上噴射の成功やDTSU事業の採択を受けて、Pale Blueは小型人工衛星向けエンジンの価値向上や量産の研究開発を加速させつつ、生産拠点を立ち上げる計画です。
また、Pale Blueは文部科学省の中小企業イノベーション創出推進(SBIR)事業 大規模技術実証事業(フェーズ3事業)に「人工衛星の軌道離脱及び衝突回避のための超小型水イオンスラスタおよび水ホールスラスタの開発・実証」で採択されています。今回の調達に続くシリーズBラウンド・セカンドクローズは2023年秋頃を予定しているということです。