QPS研究所・創業者の八坂哲雄さんが、ジェフ・ベゾス氏、ジェフリー・マンバー氏とともに、国際宇宙航行連盟(IAF)の 「Hall of Fame(殿堂入り)」を受賞
2025年10月3日、QPS研究所の創業者であり九州大学名誉教授の八坂先生が、ジェフ・ベゾス氏、ジェフリー・マンバー氏とともに「Hall of Fame(殿堂入り)」を同時受賞。授賞式でのコメントも合わせてご紹介します。
2025年10月3日、QPS研究所の創業者であり九州大学名誉教授の八坂先生が、国際宇宙航行連盟(IAF)の「Hall of Fame(殿堂入り)」をAmazon、Blue Originの創業者であるジェフ・ベゾス氏、そしてNanoracks共同創業者ジェフリー・マンバー氏とともに同時受賞し、授賞式で表彰されました。
「Hall of Fame」とは、宇宙科学、宇宙技術、宇宙プロジェクトのマネジメント、 そして宇宙開発によって人類にもたらした恩恵において、 そのキャリアを通じて顕著な功績を残した人物を顕彰するもので、過去にはSpace Xのイーロンマスク氏も受賞しています。
授賞式は2025年9月29日から10月3日にかけて国際宇宙航行連盟(IAF)が主催する世界最大級の宇宙カンファレンスイベント「国際宇宙会議(IAC)」最終日のクロージングセレモニーの中で行われ、会場いっぱいの参加者から祝われる盛大なものでした。
八坂先生は宇宙工学の実践教育のための大学ネットワークを設立し、2002年にはUNISECへと発展させ、初代会長を務め、1990年に設立されたJSASS(宇宙デブリ研究会)のスペースデブリ研究会の創設メンバーでもあるなど、日本の宇宙産業の礎を作られたひとり。また、1999年から2001年にかけてはIAF技術委員会における材料および構造技術委員会の委員長を務め、日本の福岡で開催された2005年のIACでは、IAF国際プログラム委員会 (IPC) の共同委員長も務めたのち、2008年にグラスゴーで開催された国際宇宙会議でIAF副会長に選出されるなど、国際的な功績が認められての受賞となりました。
八坂先生の受賞について、こちらで実績がまとめられています。
また、授賞式では八坂先生とジェフリー氏が現地で登壇し、これからの時代を担う参加者一人ひとりに言葉が投げかけられました。
八坂先生は、1986年から新型コロナウイルスが流行する2020年まで毎年IACに参加し、八坂先生のアイデアを実現するのに非常に役立ったこと、そして、今年のIACでも新たな出会いがあったことに感謝を述べました。

一方で、昨今の国際情勢についての憂いと合わせて「ここにいる皆さんが、正しい道を示してくれることを信じています」とこれからの未来がより良い方向へ進むことを望むという期待の言葉が語られました。
また、ジェフリー氏は「IAFはキャリアの重要な節目で、同じ志を持つ仲間だけでなく、異なる政治的立場や組織を代表する方々とも出会う場を提供してくれました。1991年のモントリオールでは、スペースステーション計画に関わるロシアのチームと初めて会い、彼らは強い意志を持って西側に働きかけようとしていました。そこから9年間、私はロシアとともに、国際宇宙ステーションの創設に取り組むことになりました。さらに数十年後の2014年から2016年、トロントでは、アジア工科大学院と協力し、国際宇宙ステーション上で唯一の中国の商業プロジェクトを実施した中国チームと出会いました」と述べ、その上で「最近は意見が異なるかもしれない人々と会う機会が減っていることを憂慮している。今の世界情勢が私たちが共に会う場所で、異なる意見を持つ人たちとも交流する機会を奪わないようにしなければなりません」と現状への懸念が示されました。

一方で「(そのような機会を提供することは)人類の宇宙進出を推進し、地球をより良い場所にするために非常に重要なことです。最後に申し上げます。私は頑固者です。40年この道を歩んできましたが、まだまだ続けられます。ここで必要なのは頑固さと楽天的な姿勢の両方です。皆で力を合わせ、この栄誉をIAFがこれまでも、これからも、出会い、意見の相違を認め合える美しい場所であり続けるように働くモチベーションにしたいと思います」と、これからの未来がより良いものであるように願う期待のコメントで締められました。
今回、日本の宇宙関係者が「Hall of Fame」を受賞するのは八坂先生で3人目。一人目は2021年にJAXA宇宙科学研究所名誉教授の松尾弘毅先生が、二人目は2023年にJAXA名誉教授の上杉邦憲先生が受賞していました。
民間宇宙ベンチャーの創業に関わる日本の宇宙関係者としては八坂先生が初の受賞となります。また、イーロンマスク氏や、今回のジェフ・ベゾス氏、ジェフリー・マンバー氏のように、宇宙業界における民間企業の躍進は、このような由緒ある賞にも現れ始めています。
今後、より多くの日本の宇宙産業を加速させる起業家が受賞する日が楽しみになった授賞式でした。