イギリス政府、衛星通信市場での競争力を高めるために、約57億円の新たな資金提供を発表【宇宙ビジネスニュース】
2026年3月4日、イギリス政府は衛星通信技術を開発する英国企業に対し、3,000万ポンド(約57億円)の新たな資金提供を行うと発表しました。今回の資金提供は高性能な衛星向けのコンポーネント、AIを活用した高速データ処理、衛星間通信技術などが対象です。
2026年3月4日、イギリス政府は衛星通信技術を開発する英国企業に対し、3,000万ポンド(約57億円)の新たな資金提供を行うと発表しました。今回の発表によると、世界の衛星通信市場は現在約400億ポンド(約8兆円)規模で、年間10%以上の成長が見込まれており、イギリスもこの分野への参入を強める方針です。
近年、数百キロメートル上空の低軌道に多数の衛星を配備して連携させる「衛星コンステレーション」が、世界の通信インフラを変えつつあります。これらのネットワークは、通信サービスを地球規模で提供できる点が特徴で、山間部などの遠隔地域、海上の船舶、飛行中の航空機など、従来通信が届きにくかった場所でも接続を可能にします。
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今回の支援は、イギリス宇宙庁(UK Space Agency)が実施するプログラム「Connectivity in Low Earth Orbit(C-LEO)」による2回目の資金提供です。
宙畑メモ:Connectivity in Low Earth Orbit(C-LEO)
イギリス政府が低軌道(LEO)衛星通信市場の拡大を背景に立ち上げた支援プログラム。急成長する衛星通信分野でイギリス企業が競争力を維持・強化できるよう、重要技術の研究開発と商業化を支援し、将来の大規模衛星ネットワークのサプライチェーンで存在感を高めることを狙う。
1回目の資金提供では、1,800万ポンド(約38億円)が3つのプロジェクトに投入され、8社が参加しました。例えば、Excelerate Technologyが開発する衛星通信ネットワーク向けの通信端末や、EnSilicaが開発する通信端末向けの半導体チップセットに投入されました。
2回目となる今回の資金は、次世代通信ネットワーク技術の開発に充てられます。具体的には、高性能な衛星向けのコンポーネント、AIを活用した高速データ処理、衛星間通信技術などが対象です。
これらの技術は通信サービスだけでなく、安全保障の面でも重要とされています。
宇宙担当大臣のリズ・ロイド氏は、以下のようにコメントしています。
「宇宙は今や、現代経済の基盤となっています。衛星コンステレーションは私たちの活動の仕組みを変え、産業のデジタル化を進め、物流を最適化し、世界中の隅々をつないできました。今回の新たな資金提供は、英国企業が衛星通信分野の最前線に立ち続けられるようにし、衛星通信分野の最前線にいるイギリス企業を支援し、経済成長を実現するとともに、英国の防衛力と国家安全保障を強化するという政府の取り組みの一環です。」
今回の発表で、イギリス政府は衛星通信への投資を通じ、競争力の高い宇宙産業国家としての地位を確立するビジョンを示しています。特に、C-LEOは技術の産業化・市場投入の加速を重視しており、政府が市場競争力の確保を強く意識していることが伺えます。衛星通信市場の成長が見込まれる中、イギリス企業がその技術基盤を担う存在となるかが注目されます。
参考記事
UK sets sights on £40 billion satellite communications market with fresh investment - GOV.UK
About the C-LEO Programme - GOV.UK
UK Space Agency Awards EnSilica £10.38m for Satellite Broadband Terminal Chips | Ensilica

