宙畑 Sorabatake

宇宙旅行・有人飛行

岩谷技研がJAXA宇宙戦略基金に採択、​​三菱重工業・JALらと日本発の有人宇宙船開発へ【宇宙ビジネスニュース】

2026年3月5日、岩谷技研は、JAXA宇宙戦略基金(第二期)に採択されたことを発表、三菱重工やJALらと連携し、日本発の有人宇宙船開発を目指します。

2026年3月5日、岩谷技研は、JAXAが公募した「宇宙戦略基金事業(第二期)」の技術開発テーマ「有人宇宙輸送システムにおける安全確保の基盤技術」に採択されたことを発表しました。同社は、本テーマで自社考案の『有人宇宙船汎用与圧キャビンシステム』を提案しました。

宙畑メモ:宇宙戦略基金とは
政府がJAXAに設けた総額1兆円規模の基金のこと。宇宙産業の競争力を高め、民間企業や大学による最先端の技術開発、商業化を10年間にわたって支援する。

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岩谷技研は、高高度ガス気球と気密キャビンを用いた「宇宙遊覧フライト」の実現を目指すスタートアップです。「宇宙の民主化」を掲げ、2025年4月には商用第一号機の名称を「かざぶね」に決定。フライトに向けて準備を進めています。2024年7月には有人飛行試験で国内初(岩谷技研調べ)となる高度20,000m超えを達成するなど、着実に実績を積み上げてきました。

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宇宙戦略基金で採択された技術開発テーマでは岩谷技研を代表機関とし、日本航空(以下、JAL)、三菱重工業、新日本空調の3社と連携して開発を進めます。新日本空調は半導体や原子力向けの高い清浄度や環境制御技術が求められる分野で豊富な実績を持つ空調管理企業です。地上の技術が宇宙にどのように応用されるのか注目が集まります。

本プロジェクトの主な開発項目は以下の通りです。岩谷技研の与圧技術(真空環境でも船内の気圧を保つ)を主軸に、それぞれの強みを持つ3社が連携して開発を進めます。
・与圧キャビン構造:宇宙空間でも安全に過ごせる船室
・クルーシステム: 船内与圧服や耐衝撃シート、生体センサーなど乗員の命を守るシステム
・環境制御・生命維持機能(ECLSS): 船内の酸素供給や温度調節を行うシステム

宙畑メモ:ECLSS(環境制御・生命維持システム)とは
宇宙船や宇宙ステーションなどの閉鎖空間において、人間が生きていくために必要な装置やシステムのこと。酸素の供給、二酸化炭素の除去、温度・湿度の調整、水の再生などを行う。

岩谷技研は、これまでは気球による「成層圏遊覧」に特化して技術開発を行ってきましたが、本基金の活用により、将来の「有人宇宙往還機(サブオービタル機)」への搭載を想定した、より高度な基盤技術開発に参入することとなります。

宙畑メモ:サブオービタル機とは
宇宙空間(高度100km以上)には到達するが、地球を周回する軌道には乗らずに放物線を描いて地上に戻ってくる輸送機のこと。宇宙旅行や微小重力実験、将来の高速輸送手段としての活用が期待されている。

また、岩谷技研は本技術開発テーマの主導だけでなく、同テーマ内の他の2つの採択課題(異常検知や安全可視化に関する技術開発)にも連携機関として参画しています。

あらためて、今回の発表における注目のポイントは、宇宙遊覧を手がける岩谷技研が、JALや三菱重工業、新日本空調などの大手企業を巻き込んで「有人宇宙船」の開発にも取り組み始めた点でしょう。

これまで気球で培われた「人が安全・安心に過ごせる技術」は、宇宙船にも不可欠です。そして、長年ロケット開発を手がけ、航空宇宙分野に知見を持つ三菱重工業、航空機の運用・安全に知見があるJAL、空調技術の新日本空調との連携によるシナジーは計り知れません。

この共創を通じて、日本発の有人宇宙船の実現が近づくことが非常に楽しみです。

参考

​​岩谷技研が宇宙戦略基金事業「有人宇宙輸送システムにおける安全確保の基盤技術」に採択

有人宇宙輸送システムにおける安全確保の基盤技術の採択結果

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