「私たちの世代が宇宙技術を社会インフラにする」衛星データ・保険・スペースポート・コンサル、若手4人が語る宇宙産業で働く理由とキャリアの可能性
宇宙業界で働く人は何を思い、具体的にどのような仕事をしているのか。異なる立場から宇宙業界に関わる若手4名に、この業界に入った経緯、日々の仕事の中身、そしてこれから描くキャリアについてたっぷりとお話を伺いました。【PR】
今後ますます成長が期待される宇宙産業。近年、宇宙戦略基金に代表されるような積極的な政策により、技術開発と産業の拡大が加速しています。その一方で、積極的な政府支援の受け皿となる人材不足という課題が顕在化しはじめています。
高い専門性が必要だと思われがちで、これまで仕事の実態もあまり公にされてこなかった宇宙産業。そこでは一体どのような人が、どのような仕事をしているのでしょうか。
衛星開発と衛星から得られるデータを活用した事業、宇宙保険、スペースポートの企画・運営、コンサルティングという異なる立場から宇宙産業に関わる若手4名に、この業界に入った経緯、日々の仕事の中身、そしてこれから描くキャリアについてたっぷりとお話を伺いました。
なお、本特別対談は5大陸14カ国に宇宙産業のコンサルティングチームがあり、「宇宙分野の主要トレンドと課題」「月面市場調査」などの宇宙産業に関わる調査レポートを発刊するPwCコンサルティングのシニアアソシエイト、加納大地さんに進行いただきました。
(1)宇宙産業の成長を加速する四者四様の仕事内容
加納:まずは皆さんが日々どのようなお仕事をされているか教えてください。
本間:Marble Visionsで地球観測衛星の事業推進を担当しています。当社はNTTデータが2024年に設立した会社で、衛星の開発・運用からデータの利用までを一貫して手がけています。
私自身はNTTデータで全世界デジタル3D地図「AW3D」の立ち上げメンバーとして、何百、何千というプロジェクトに携わってきました。
そのなかで「既存の衛星では解像度や撮影頻度がもう一歩及ばない」という声をたくさん聞いてきたんです。ならば自分たちで衛星を作ろうというのがMarble Visionsの出発点です。
例えば、鉄道、電力、ガスなどのインフラ企業が保全活動に投入している人手を、衛星データソリューションで一部代替する取り組みなどを進めています。
大原:三井住友海上火災保険の宇宙開発グループで、宇宙保険の営業・推進と宇宙事業者向けのソリューション開発を担当しています。
以前、経済産業省の宇宙産業課に出向していた時期があり、宇宙戦略基金が立ち上がるなかで、国の立場から業界に関わりました。現在は、宇宙産業特有の契約慣行やリスク構造を新規参入者に伝える啓蒙活動も行っています。
原田:ASTRO GATEという会社でCEOを務めています。ロケットの打上げ施設、スペースポートの企画から運営までを世界各地で手がける会社です。
ロケットの打上げ回数が世界的に増えるなか、その発射拠点は不足しており、将来的な宇宙輸送の発展におけるボトルネックとなることが予想されます。この課題を解決するために、当社としては射場を整備し運営する事業を展開しています。
私の主な仕事は海外のスペースポートプロジェクトの開拓で、既存のスペースポートとの連携はもちろんのこと、宇宙開発の実績がまだない国の政府に対しても、政策策定段階から参加するかたちで関わり、その国の宇宙産業の仕組みをゼロから一緒に設計しています。
須田:PwCコンサルティングで宇宙分野の事業戦略コンサルティングを担当しています。国内の政府機関、民間企業、スタートアップに加え、海外クライアントの支援にも携わっており、市場調査や事業戦略の検討から実証支援まで幅広いテーマを扱っています。また、PwCには5大陸14カ国に宇宙チームがあり、フランスなどの海外法人と各国の市場動向や政策の情報を共有し、クライアントを支援することもあります。
実際に、モビリティ・通信・エネルギー・ハビテーション・水などの月面インフラにおける投資・収益機会を分析したレポート『月面経済圏創出につながるインフラ開発の市場機会 ― 月面市場調査 第2版 ―』が今年発刊されましたが、日本法人とフランス法人の共同プロジェクトとして週次でミーティングを重ねながら、時には現地出張も行い取り組みました。
(2)入りたかった宇宙業界、想定外の宇宙業界
加納:皆さんが宇宙業界に関わることは、もともと想定されていたのでしょうか。宇宙業界に関わるまでの経緯を教えてください。
本間:宇宙に関わることになるとはまったく想定していませんでした。NTTデータで地理空間情報システム(GIS)の営業をしていたのですが、産休を挟んで戻ってきたら「新しい事業があるからやってみないか」と声がかかったんです。それがAW3Dの立ち上げでした。地図データの基本知識はありましたが、衛星をメインに扱うのは一からの勉強でしたね。
原田:幼少期からプラネタリウムに通うほど宇宙が好きで、就活でも法学部に在籍しながらJAXAの選考を受けたりして、何とかして宇宙に関わる道を探っていました。しかし、インターンも本選考も落ちてしまって。
一方で、経営にも興味がありコンサルティング業界も見ていたのですが、とあるコンサル企業の採用イベントで、たまたま同席した先輩社員がまさに宇宙分野を担当しており、そこでコンサルティングから宇宙に関われる道があると初めて知ったんです。それをきっかけに入社して、部長やグループ長との掛け合いを経て、宇宙の仕事に携わるようになりました。
大原:もともとは法人向けの保険の営業をしており、一定の成果をあげていたのですが、保険のマーケットは成熟した寡占市場であり、私自身としてはこれから伸びる産業に関わりたいと考えていました。ちょうどその頃、社内で宇宙保険の専門チームが立ち上がり、そこに行きたいと手を挙げました。
ところが、同じ時期に経済産業省の宇宙産業室(現宇宙産業課)が宇宙産業の振興をより強化するために人を集めていて、そちらへ出向することになったんです。希望とは違いましたが、国の立場から業界全体を見渡せたのは大きな経験でしたね。
須田:新卒でPwCコンサルティングに入り、宇宙とは無関係の業界のコンサルティングを担当していたのですが、2年目に上司から「宇宙分野の仕事をやってみないか」と声をかけられました。宇宙に関する知識はゼロでしたが、学んでいくうちに関心が深まり、そこから現在まで宇宙関連の案件を一筋に担当しています。当時は同期200〜300人の中でも宇宙分野を担当していたのは自分だけでしたが、これから大きく成長していく領域だからこそ、若手のうちから関われることに大きなチャンスがあると感じ、飛び込みました。
(3)「熱量ある人が集まる業界で、国益に資するグローバルな仕事ができる」宇宙産業で働く面白さ
加納:宇宙産業で実際に働いてみて、どんなところに面白さを感じていますか。
原田:2つあります。ひとつは業界に関わる人々の熱量の高さです。私が関わり始めた2021年頃は、宇宙がビジネスの対象として大きく認知される前で、関わっている人は純粋に宇宙が好きで熱量のある人ばかりでした。最近はビジネスとして冷静に捉える人も増えてきましたが、根底にある熱量は変わらないと思います。
もうひとつは、グローバルに力を発揮できる業界だという点です。たとえば他の業界だと海外との会議の前に「英語は大丈夫ですか」と確認されることがありますが、宇宙業界ではそれがない。業界自体がグローバルに動いているので、自然と国際的な舞台で仕事ができます。
須田:「宇宙に国境はない」と言われる通り、宇宙分野は国際連携が非常に多く、海外機関や海外企業とのコミュニケーションも日常的に発生します。実際に、PwCの海外チームと一緒に案件を進める機会も多く、たとえばPwCフランスはESA(欧州宇宙機関)のお膝元ということもあって日本より歴史の長い宇宙チームがあり、若手でも宇宙分野のバックグラウンドを持つメンバーが多く在籍しています。パリに出張すると同年代のメンバーが迎えてくれて、一緒にランチをしたり、各国の動向を共有したりと、日本にいるだけでは得られない各国のリアルな情報や視点に触れられるのは非常に刺激的です。海外のチームと日常的に連携しながら仕事ができる環境は、コンサルティングのなかでも宇宙分野ならではの魅力だと思います。
大原:自分の仕事が国益につながっていくという実感を持てるのは、宇宙業界ならではだと思います。保険の営業をしていた頃にはなかった感覚です。経済産業省に出向していた際、宇宙産業課の官僚の方々も自ら希望して配属されている方が多いと知りました。官僚に限らず、宇宙業界には宇宙を通じて国の産業を前に進めようという意識を持った同世代が多く、大きな刺激を受けています。
本間:GISの業界にいた頃、宇宙業界は華やかでキラキラしたものに見えていました。最先端のことをどんどんやっている世界なのかなと。
しかし、実際に入ってみると、先人の方々が何十年もかけて積み上げてきた技術や思いの上に成り立っている業界でした。
その積み重ねを受け止めながら、さらに新しいものを生み出していかなければならない。過去と未来の両方に向き合うところに、この業界の面白さがあると感じています。
(4)「社会インフラになりきれていない壁を、私たちの世代で越えたい」キャリアと展望
加納:宇宙産業で働くなか、皆さん自身はこれから何を成し遂げたいのか、3年後、5年後のイメージも含めて教えてください。
本間:私は、自社、引いては、日本で独自に必要な衛星を持つことの意味を強く感じています。他国の衛星を利用する場合、撮影したいエリアがあっても、衛星を保有する国や企業の事情が優先され、必要なタイミングでデータが取れないということが少なくありません。
自社で衛星を持てば、インフラ企業のお客様に必要なデータを届けることも、国内で災害が起きたときにいち早く撮影に向かうことも、自分たちの判断でできます。Marble Visionsの衛星は2027年に打上げを予定しています。
これから衛星が上がり、実際に顧客にデータを届けてビジネスにしていく段階で中心を担うのは私たちの世代です。これまで宇宙産業を引っ張ってこられた上の世代から主役を引き受けていく、そうした意識を持ちながら取り組んでいます。
宇宙技術はまだまだ社会インフラになりきれていない。業界のなかでもまだそう感じている人のほうが多い。そこを変えていくのが、私たちの世代の役割だと思います。
大原:宇宙に関するさまざまな政策が縦割りで進んでいるなかで、それを横串で整理して業界全体に届ける役割が必要なのではないかと感じています。国が投じてきた資金をしっかり有効活用するための提言もしていきたいですし、志を持った仲間を集めてその役割を担っていけたらと考えています。
また、宇宙産業はルールが未整備であり、リスクが他のビジネスよりも捉えづらいことや、他の産業の感覚ではあまり聞かないような商慣習など、これから宇宙産業に参入するプレイヤーにとって必要な情報が体系的にまとまっていないと感じています。今はアナログに自治体のセミナーなどで伝えている段階ですが、新しく参入する方々が安心して挑戦できる基盤を作りたいと思っています。
たとえば、メーカーの方で宇宙産業への参入に興味はあっても「自社の部品に何かあったら、そんなに大きな責任は負えない」と躊躇してしまう方もいらっしゃいます。
しかし、宇宙業界にはクロス・ウェーバー(責任追及権の相互放棄)条項というものが契約書に置かれるのが一般的です。これは、衛星が原因でロケットの打上げが失敗しても、逆にロケットの打上げ失敗で衛星が消失しても、互いに責任を問わないという取り決めです。
この考え方はサプライチェーン全体にも及んでいて、たとえば衛星に部品を納入した会社がその部品の不具合で衛星に問題が起きても、他の産業であれば発生する賠償責任が問われないのが宇宙業界の常識になっています。
原田:ASTRO GATEとしては、世界中でスペースポートを展開し、宇宙輸送のグローバルな起点となることを目指しています。ロケット開発の会社だと、その会社が作るロケットにしか携わることができません。しかし、スペースポートを手がければ、世界のさまざまなロケットの打上げやその打上げ対象である人工衛星等にも関わることができます。
将来、高速二地点間輸送(P2P)と呼ばれるロケットによる都市間輸送が実現すれば、各国のスペースポートをつなぐ結節点になれます。
さらに宇宙との往来が日常化すれば、宇宙で生まれる人も出てくるはずです。私は平和的な宇宙活動を理想としており、仮に「宇宙生まれ」と「地球生まれ」という区別が生じたとしても、両者が平和に双方向の対話を持てる世界を作りたいと考えています。
その実現に向け、私自身が世界の宇宙産業の最前線に立ち、あらゆる壁を越えて人々をつなぐ「グローバルなハブ」のような存在でありたいと思っています。
須田:宇宙産業はロケットや衛星の製造といったアップストリームから衛星データの利活用などのダウンストリーム、さらには軌道上や月面まで領域が非常に広く、クライアントも官公庁から民間大手、スタートアップ、アカデミアまで多様です。だからこそ、どの領域・どのプレイヤーに対しても、PwCの支援を通じて「頼ってよかった」と言っていただけるような存在になりたいと思っています。技術も市場動向もものすごいスピードで変化するので大変な部分もありますが、その変化を楽しみながら学び続けたいですね。
5年後、10年後には、海外のPwCチームとの連携を生かして、日本の宇宙産業と海外をつなぐ橋渡し役を担いたいと考えています。PwCとしても、宇宙産業だけでなく産官学さまざまなプレイヤーをつなぎながら、宇宙産業全体の発展を後押しする役割を担っていきたいです。
(5)「今が宇宙産業に関わる一番いいタイミング」若手が宇宙産業に飛び込む意味と可能性
加納:ここまで皆さんのキャリアや展望を伺ってきましたが、これから宇宙産業で働いてみたいと考えている若手の方もいると思います。そうした方に向けて、どんな準備や心構えがあるとよいか、アドバイスをお願いします。
原田:キャリアの観点では、今が宇宙産業に関わる一番いいタイミングだと思っています。世界各国が宇宙領域を国家戦略に位置づけて予算を投じていて、産業としての成長を政策が後押ししている。
その一方で、業界の中心にいるのは国家主導でプロジェクトを進めてきた時代から携わってきた40代や50代以上の方々で、若手はまだ少ない。
つまり、成長市場なのに若手のポジションが空いているんです。自分自身も2021年頃に宇宙産業のカンファレンスに行って登壇者に若手が少ないという実情を目の当たりにしたので、そのポジションを取りに行こうと考えました。
また、民間主導の宇宙の商業利用(コマーシャルスペース)は国家プロジェクトとはやり方が大きく異なるため、他産業の経験を持った人材が求められています。
実際に、30代で自動車やIT、製造業などから転職してくる人が増えていて、他業界で培った経験をそのまま生かせるケースが多いです。
須田:最近は「○○×宇宙」というかたちで宇宙産業に関わる人が増えています。コンサルティング×宇宙、金融×宇宙、法律×宇宙などです。宇宙についてゼロから学ばなければと身構えるよりも、自分が今持っている専門性や強みをどう生かせるかを考えることが、宇宙産業に関わる第一歩になると思います。
大原:私は、他の産業やビジネスを知っている方こそ、宇宙産業に入っていただくことが重要だと考えています。
今、宇宙産業は国主導が当たり前だったものから民間主導に大きく変革しています。一方で、日本の宇宙産業は、宇宙政策をはじめ、関わる人の数や専門領域の多様性という点において、世界的な大きな動きと比較すると変化に乏しいと考えています。ぜひ、外の知見を、宇宙産業に持ち込み、日本の宇宙産業をより大きくするひとりとなっていただきたいです。
原田:また、宇宙産業のビジネス職領域では究極のジェネラリストも求められると思います。現在、AIによって一般的な知識は誰でも手に入れられるなかで、さまざまな業界に精通する、会計、経営、セールス、技術……幅広いビジネス知識と実務経験を兼ね備えた人は非常に重要です。若い方であれば、その強みは第一に体力だと思います。身体的にも精神的にも若手は体力がありますので、まずはそこを強みに知らない領域にチャレンジしたり、強烈なインプット負荷をかけていくことも重要だと思います。
ひとつだけ強調しておきたいのは、ビジネス職であれば英語は避けて通れないということです。宇宙ビジネスは国境がないとよく言われますが、実際に海外との仕事が日常になります。
私自身、留学経験もなく英語もできない状態からのスタートでした。そこで取り組んだのが、毎日最新の海外宇宙ニュースを一文ごと日本語で翻訳して書き下したり、SNSで海外の業界関係者にひたすらつながりリクエストを送って、返答があった人にオンラインでミーティングをお願いすること。
ニュースの書き下しに関しては、語彙力の醸成にも繋がりますし、宇宙業界の専門用語を覚えることができます。また、海外とのミーティングに関しては、まったく知らない外国人に、こちらからお願いしている立場で話さなければいけないという負荷のなかで経験を積んでいくことで、英語での会話に慣れてきて、使える語彙も増えていきました。
須田:私自身も、宇宙分野に入ってすぐ、PwCの海外チームや海外クライアントと連携する案件に携わりましたが、帰国子女ではないこともあり、相手の言っていることが理解できずに、本当に苦しかった時期があります。
それでも毎日やるしかない状況で、今も日々勉強中です。宇宙業界で仕事をする以上、英語から逃げることはできないと思っています。
(6)宇宙産業の未来
加納:最後に、宇宙産業はこれからどのように変化していくと思いますか。皆さんのお考えをお聞かせください。
原田:宇宙スタートアップが次々と立ち上がる時期は一段落したと思っています。これからは整理のフェーズです。開発コストが大きいロケットなどのヘビーアセット領域では、資金が続かず撤退する企業が出始めています。小型ロケット開発企業が破産手続きに入るケースも海外ではここ最近発生しています。
一方で、衛星データやサービスの領域では、事業成長につながるポジティブな再編も起き始めています。こうした動きは、今後さらに進んでいくのではないかと思います。
大原:私も原田さんと同じく、業界再編が加速すると思います。宇宙産業の中でも継続的にビジネスをやるうえで最もコストが厳しいのはロケットで、実際に衛星メーカーとロケットメーカーの買収、合併が世界的に起こり始めています。
また、本間さんが取り組まれているようにエンドユーザーに近く、ニーズを分かっている人たちが衛星開発に踏み出すような垂直統合も増えてくると考えています。
そのうえで、これまで宇宙での実績のない部品やコンポーネントが民生品から出てくることでロケットの打上げ価格や衛星開発にかかるコストが下がり、新規参入者も増える。その結果、エンドユーザーに提供する価格も下がり、社会のインフラとなる――そのような世界を目指したいと考えています。
本間:まさに、宇宙から届くデータやサービスが、気づかないうちに生活のインフラとして組み込まれている。そういう社会を作るのが、この世代の役割だと思います。日本の衛星やロケットが世界と戦える位置にきちんと存在していて、その成果が私たちの生活に返ってきている。そこを目指したいですね。
私たちは光学衛星の分野で事業を展開していますが、ロケットや他の衛星の会社とは競合ではなく、日本の宇宙産業全体の実力を持ち上げていこうという話をよくしています。
また、AIには大きな可能性を感じています。これまで何カ月もかかっていた解析やレポートの作成が数日で完了する可能性があるなど、AIと衛星データの親和性は高く、私たちもNTTデータ時代から活用を考えてきました。
ただ、この1〜2年の海外の動きは当社の技術者も驚くほど速い。海外の大手企業はAIを衛星データの処理に組み込み、利用者がすぐに使える仕組みをワンストップで作っています。ここで後れを取るとプラットフォームごと海外に取られてしまいますし、そこに追いつかなければなりません。日本国内で衛星データをきちんと使える状態を自分たちで作っていくことが、私たちの役割だと思っています。
須田:本間さんのお話とも関連するところですが、これまでは宇宙で取得したデータを地上に下ろして処理するのが一般的でした。
しかし近年は、軌道上にAI処理機能やエッジコンピューティング機能、さらにはデータセンターを搭載し、データ処理まで宇宙空間で完結させる取り組みが進みつつあります。さらにその先には、宇宙で取得したデータだけでなく、地上で発生したデータについても宇宙空間で処理する構想が見据えられています。
まさに米国の大手テック企業や宇宙企業がこうした方向性を見据え、実証や技術開発を進めていますし、AIの普及によって地上のデータセンターの電力需要がひっ迫するなか、データ処理の場として太陽光という無限のエネルギーを利用できる宇宙空間を活用する動きが具体化し始めています。
こうした動きが進むことで、地上インフラと宇宙インフラの融合が進み、将来的には自分が利用しているサービスが地上で処理されたものなのか、宇宙で処理されたものなのかを誰も意識することなく、宇宙が生活インフラの一部として当たり前に組み込まれる世界が訪れるのではないかと思っています。
この半年から1年で、宇宙に対する周囲の見方は大きく変わりました。以前は宇宙ビジネスというと、宇宙旅行などの夢やロマンのイメージで語られることが多かったですが、次世代通信インフラや宇宙データ活用、軌道上データセンターなど、地上産業と密接につながる領域での動きが活発化する中で、より現実的な産業インフラとして捉えられるようになってきています。宇宙業界に、夢やロマンを追い求めるだけでなく、本気でビジネスをやろうとする企業や人が参入し始めている。産業としてはそれが健全な姿ですし、実際にそうなりつつあると感じています。
(7)PwCコンサルティングからのお知らせ
PwCコンサルティングでは、2024年に宇宙分野の専門チームである「宇宙・空間産業推進室」を立ち上げ、官公庁、民間企業、スタートアップ、アカデミアなど多様なプレイヤーの皆さまに対して、市場調査や事業戦略策定、社会実装など幅広いテーマで支援を行っています。また、日本に加え、米国・欧州など5大陸14カ国に宇宙分野の専門チームを有しており、グローバルに連携しながら各国の知見やネットワークを活用した支援を提供しています。
現在、若手を含む宇宙人材の採用も強化しています。本対談記事を通じてPwCコンサルティングでの仕事や宇宙分野に関心を持っていただいた方、また事業に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
・採用に関するお問い合わせ
・宇宙事業に関するご相談


