AISにみる宇宙ビジネスの可能性
30機以上の衛星打ち上げ経験を有するSpireがサプライチェーン監視のプラットフォームを運営するArmadaとの提携を発表。AISとは?からその内容を紹介します
世界の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部が、易しく解説!
先月末、すでに軌道上に30機以上の衛星打ち上げ経験を有するSpireがサプライチェーン監視のプラットフォームを運営するArmadaとの提携を発表した。
Spireはサプライチェーンに対し、衛星のどのようなサービスを提供するのか、人工衛星を使ったビジネスの可能性について、紹介したい。
Armadaのサプライチェーン監視ビジネス
Armadaは、Armada tileと呼ばれる機器を追跡したい貨物に載せることで、WiFiを通して位置情報と環境情報(温度など)を送信するサービスを提供している。貨物が遅れそうな場合や、激しい環境に置かれそうな場合は前もってアラートを受け取ることができる。ユーザーは、リアルタイムな情報を入手することで、サプライチェーンに関してより堅実な判断を行うことができるのだ。
人工衛星でできること:船舶監視システム(AIS)
今回、SpireがArmadaと提携すると発表したのは、衛星AISという分野だ。AISとはAutomatic Identification Systemの略で、日本語では船舶自動識別システムと呼ばれる。
海上を航行する船は、衝突防止などの観点から、常に決められた電波を発信し、周囲に自身の位置情報や速度情報を知らせることが義務付けられている。この電波を衛星で追跡することで、自分の貨物が海上のどこにいるかを把握することができるというわけだ。
Spireの衛星AISは衛星の機数が多く、所定の船の上を通る回数が多いため、高い頻度で船が今どこにいるかを確認することができる。この点がArmadaに評価されたという。
AISが示唆する人工衛星の可能性
AISは衛星だけでなく、港湾の設備(灯台など)でも行われているが、地上の設備では監視できる範囲が限られている。衛星であれば絶えず地球を周回しているので、沿岸部に限らず太平洋の真ん中でも船を追跡することができる。
今回の提携が示唆するのは、地上の設備ではカバーしきれないエリアに衛星が役立つ可能性がある、ということである。電波の届かない山の中や、海上を飛行する飛行機など、現在はきちんと監視できていない分野でも、衛星を用いることで監視することができ、これが新たなビジネスにつながる可能性があるとして注目されている。
あなたの分野でもまだインターネットにつながっていない領域はないだろうか。日本だけでなく、世界を舞台にして考えてみてほしい。そこにはきっと、宇宙ビジネスの新しい可能性を秘めている。
今週の英語フレーズ
The company’s analytics rely on Spire Sense’s fast revisit time over the open ocean to help make their predictive analytics possible.
Armadaの分析は、海上でのSpireの高い再訪頻度に基づいており、予測分析を可能にする手助けをしている。
出典元
2017/06/27, Spire, Cutting Edge Supply Chain Intelligence with Spire Sense: Armada Chooses Spire,
https://spire.com/company/insights/news/cutting-edge-supply-chain-intelligence-spire-sense/
Armada
http://armada.ai/
AISの仕組み,FURUNO
https://www.furuno.co.jp/technology/about/ais1.html