トランプ政権下での宇宙探査の行方
アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏の当選からおよそ1週間、未だ引き継ぎのための政権移行チームがNASAに派遣されていないという発表がありました。
世界の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部が、易しく解説!
(本記事は2016年11月時点で作成しています。)
宇宙開発におけるトランプ政権の意向は不明
アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏の当選からおよそ1週間11月14日の時点では、未だ引き継ぎのための政権移行チームがNASAに派遣されていないと発表された。大統領選前の準備上の都合により、通常であれば当選後数日以内に政権移行チームが派遣されるはずの他機関も未だ顔合わせができていないという。
宇宙開発においてトランプ政権の意向は不明だが、新行政と新議会からは引き続き、「有人火星探査」への支援を希望すると、HEO*1理事会副長官のグレッグ・ウィリアムズ氏は語った。
歳出委員会の説得がカギとなる
2017年度の予算案次第で、NASAの小惑星軌道変更作戦*2(ARM=Asteroid Redirect Mission)の行方が決まると考えられている。
現在、下院はNASAによるARMへの投資に反対しており、「小惑星へのロボットまたは有人ミッションは、火星への到達に大きくは貢献しない」と述べている。ウィリアムズ氏はこれに対し、「歳出委員会*3 は、どのようにしてARMが有人火星探査に貢献するか、どうしてお金をかける価値があるのか、私たちからの説明を待っていた」と語った。
彼は、歳出委員会との「建設的な話し合い」を行い、ARMの重要性を伝えることが出来たと確信している。「歳出委員会はARMの重要性と私達(NASA)が目指すものを理解し、本プロジェクトの可能性が見えてきているはずだ。」とウィリアムズ氏は前向きだ。
今週の英語フレーズ
NASA hopes a final 2017 appropriations bill will not include a prohibition on funding the Asteroid Redirect Mission featured in a House bill.
「NASAは、2017年度の予算決定案にて下院が提案するARM(小惑星軌道変更作戦)の予算打ち切りが回避されることを望んでいる。」
用語解説
*1 HEO:宇宙ステーションや通信の管理等、NASAの有人ミッション全般の管理を行う理事会
*2 ARM(小惑星軌道変更作戦):サンプル採集のために小惑星を月軌道にのせるという作戦
*3 歳出委員会: 政府の支出案の作成、提案を行う委員会。上院と下院のそれぞれに設置されている。
出典元
2016/11/14, SPACE NEWS, NASA awaits Trump transition team, budget details,