ニュース 2020/8/10

Virgin Galactic 大躍進のQ2の大トリは超音速旅客機のコンセプト発表【週刊宇宙ビジネスニュース 8/3〜8/9】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新！

超音速旅客機のコンセプトを発表。エンジン開発はロールス・ロイス

8月3日、Virgin Galactic（ヴァージン・ギャラクティック）は、マッハ3で飛行が可能な超音速旅客機のコンセプトを発表しました。

Virgin Galacticによると、旅客機は9〜19人の乗客が搭乗でき、ファーストクラスやビジネスクラスの座席の提供も想定されているとのことです。上空1万8000メートル以上を飛行予定で、最先端のバイオ燃料を用いるなど資源の持続可能性に配慮した技術を採用していることも明らかになっています。

同社は2020年5月に、NASAと地球上で2点間の移動が可能な高速機の開発に向けて、契約を締結したことを発表していました。連邦航空局（FAA）やNASAによるミッションコンセプトレビュー（MCR）をすでに完了しているとのことです。

また、エンジン開発については、4大ジェットエンジンメーカーに数えられるRolls-Royce（ロールス・ロイス）と覚書（MOU）を締結しているようです。

Virgin Galacticの最高宇宙責任者であるGeorge Whitesides（ジョージ・ホワイトサイド）氏は「ロールス・ロイスという革新的なチームと協力できることを嬉しく思います」「高速飛行の新たなフロンティアを切り開くことを楽しみにしています」とコメントしています。

さらにVirgin Galacticは同日に2020年第二四半期の決算を発表しました。COVID-19のパンデミックによる影響を受けながらも飛行試験や機体の製造は順調に進んでいることや、宇宙旅行に先行予約できる「One Small Step」プログラムには700人以上が申し込んでいることなどが説明されています。

SpaceShipTwoの船内イメージ Credit : Virgin Galactic

SpaceShipTwoの船内イメージ初披露のYoutube配信や船内の設備をより詳しく知れるARを用いたスマートフォン向けアプリのリリースなど、一般消費者からも注目が集まっているVirgin Galacticに引き続き期待したいと思います。

ソニー・東大・JAXA　技術実証実験を目的に衛星を共同開発

8月5日、ソニー、東京大学、JAXAは「宇宙感動体験事業」の創出に向けて、ソニーのカメラを搭載した衛星の共同開発を開始することを発表しました。

搭載するカメラは、地上から自由にリアルタイムで遠隔操作できる想定で、宇宙空間の映像を宇宙飛行士さながらの視点で地上に届けることを目指しているとのことです。

ソニーは、衛星で撮影した映像を用いて新たなコンテンツや体験など、新たなエンタテイメントの創出をさまざまなクリエイターやパートナーと探索していく考えです。

ロシアのGK Launch Servicesが月へのライドシェアを提供

8月5日、ロシアでソユーズの打ち上げ輸送サービスを提供するGK Launch Servicesは、2021年10月に打ち上げ予定の月探査ミッションに合わせてライドシェアの機会を提供予定であることが報じられました。

GK Launch Servicesは、商用打ち上げサービスの推進や国際市場へのアプローチ、打ち上げサービスプロバイダーとしてのロシアの地位の強化を目的に2017年4月に設立されました。同社は、Roscosmosの子会社であり30年以上国際宇宙ミッションに携わっているGLAVKOSMOS（グラフコスモス）とロシアとウクライナ、カザフスタンによる合弁企業International Space Company Kosmotras（通称、ISCコスモトラス）の合弁企業にあたります。

日本においても、超小型衛星の設計開発を行うアクセルスペースが2020年4月以降にGRUS衛星4機の打ち上げ契約を発表しているほか、スペースデブリ問題に取り組むアストロスケールが2020年後半に大型デブリ除去実証衛星「ELSA-d（エルサディー）」　の打ち上げ契約を締結しています。

小型衛星のライドシェアプログラムの販売や月への貨物輸送サービス提供を計画しているSpaceXに対して、GK Launch Servicesのセールスディレクターを務めるEvgeny Solodovnikov（エフゲニー・ソロドフニコフ）氏は「（私たちはSpaceXと）互換性があり、競争力があります」とコメントしました。

GK Launch Servicesの月へのライドシェアの価格は明らかになっていませんが、新たなプロバイダーの登場により、顧客の選択の幅が広がりつつあると言えます。