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SpaceXの新型宇宙船Starshipが150mの飛行試験に成功し新たなステージへ【週刊宇宙ビジネスニュース 8/3〜8/9】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

8月1週目は、ロケット会社のニュースが多い1週間でした。各社のミッションや戦略を振り返りたいと思います。

Starshipが、150mの飛行試験に成功

SpaceXが現在開発中の新型宇宙船のプロトタイプStarship SN5の飛行試験に8月5日に挑み、見事成功しました。

今回の飛行試験はテキサス州ボカチカの打ち上げ場で行われ、Starship SN5は高度150mまで上昇しました。その後エンジン付近に格納されていた6本の着陸脚を展開し、離床の約45秒後、見事に着陸しました。

今回のStarship SN5はプロトタイプですが、推進剤タンクは実機と同じサイズのものが搭載されています。Starship SN5に搭載されている新型のエンジンRaptorは今回1基のみですが、最終的には6基のRaptorが搭載される予定です。

SpaceXのCEOのElon Musk氏は昨年の時点で、Starshipが軌道投入を果たすまでにプロトタイプでの試験を20回程度行う必要があると語っており、今後の試験スケジュールにも注目です。

  1. SpaceXのドローンが撮影したStarship SN5の飛行試験の様子

また8月7日にはFalcon9で、10回目のStarlink衛星の軌道投入及び、同社の相乗りプログラムを活用してSpaceflight Industriesの子会社であるBlackskyの衛星2基の軌道投入に成功しました。今回の打ち上げで、軌道上のStarlinkの総数は595基となりました。

有人宇宙開発、新型宇宙船、小型通信衛星と事業を拡大させるSpaceXから目が離せません。

Starship SN5の着陸の際の様子 Credit : SpaceX

ABL Space Systemsが官民合計で90億円規模の資金調達に成功

新興ロケットベンチャーであるABL Space Systemsが、米空軍と民間事業者合わせて90億円規模の資金を獲得したことを8月3日に発表しました。

SpaceXでエンジニアとしてFalcon9第1段の再着陸システムの開発に携わっていたHarry O’Hanley氏が、2017年にカリフォルニア州エル・セグンドで立ち上げたABL Space Systemsは、2021年の小型ロケットの打ち上げを目指して開発に取り組んでいます。

同社の開発する小型ロケットRS1は最大1350kgを地球低軌道に軌道投入可能で、打ち上げ価格は1,200万ドルと発表しています。

今回同社は米空軍から2件の契約を獲得し、契約の総額は4450万ドルです。契約の1つは米空軍が手がけるアクセラレータープログラムであるAFWERXとの契約で、内容は小型ロケット打ち上げの技術検証です。もう1つは宇宙ミサイルシステムセンターとの契約で、内容は地上インフラの検証です。

米空軍との契約と共に、VenrockのEthan Batraski氏をリードインベスターとして、合計4900万ドルの資金を調達しました。今回の資金調達ラウンド名は明示されていませんが、同社としては2回目の資金調達となります。今回の資金調達には、他にNew Science Ventures・Lynett Capital・Lockheed Martin Venturesも参加しています。

カリフォルニアのエドワーズ空軍基地でRS1ロケットの試験を行う様子 Credit : ABL Space Systems

ABL Space Systemsの1番の特徴は、”responsive launch”と呼ばれる複数の射場から可能な打ち上げシステムにあります。この打ち上げシステムは、小型ロケットの一部や打ち上げコントロールルームをGS0と呼ばれる移動式コンテナに格納し、トラックやタンカーで輸送が可能な設計となっています。

ABL Space Systemsはこの移動式インフラによって、大規模な射場を新たに建設することなく、バンデンバーグ空軍基地のSLC-8発射台とケープカナベラル空軍基地のLC-46発射台から商業打ち上げを実施する計画です。

プレイヤーが増加する小型ロケット界で新たな打ち上げシステムに挑むABL Space Systemsに引き続き注目です。

ABL Space Systemsが開発する移動式コンテナGS0の様子 Credit : ABL Space Systems

Rocket Labがエンジンの能力増強を発表

小型ロケットベンチャーのRocket Labは8月4日に、同社の小型ロケットElectronのメインエンジンRutherfordの大幅な性能向上に成功したことを発表しました。

今回の性能向上は、電動ポンプサイクルを採用したロケットエンジンであるRutherfordのバッテリーの改良により達成したとのことです。これまでのElectronは、高度500kmの太陽同期軌道(SSO)に150kg、地球低軌道(LEO)に225kgといった打ち上げ能力でした。今回の性能向上により、高度500kmのSSOに最大200kg、LEOに最大300kgの打ち上げが可能となりました。

Rocket Labは、Electronの第1段の回収にも取り組んでおり、最後の落下テストに成功したことを8月6日に発表しています。具体的なスケジュールは明かされていませんが、17回目のElectronの打ち上げの際に実機での第1段回収に挑む予定です。

小型ロケット界のリーディングプレイヤーであるRocket Labに引き続き注目です。

Rocket Labの第1段回収ブースターの様子 Credit : Rocket Lab

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