宙畑 Sorabatake

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民間による打ち上げが続々と実施。SpaceX・ロケットラボ・IST、各社の展望は【週刊宇宙ビジネスニュース 6/8〜6/14】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

6月2週目は、SpaceXに続き、Rocket Lab、そしてインターステラテクノロジズと民間企業による打ち上げが続く一週間でした。各社のミッションやビジネスの動向を振り返りたいと思います。

SpaceX Starlinkとの初のライドシェアサービスの提供に成功

Credit : SpaceX

6月13日、SpaceXは、Falcon 9による、Starlinkとのライドシェア(相乗り)打ち上げに初めて成功しました。

ライドシェアプログラムは、2019年8月に発表されたもの。200kgの輸送費用は、100万ドルと破格のコスト設定になっています。

さらに、SSO(太陽同期軌道)は4カ月ごとに打ち上げがあり、万が一ペイロードの製造が遅延した場合でも、10%の手数料を支払うことで、次回以降のミッションへの振替も可能です。

(SpaceXのWebサイトで輸送費用を見積もれるようになっている) Source : https://www.spacex.com/rideshare/

今回搭載されたのは、Starlink 58機とPlanet LabsのSkySat 3機。さらに、Planet Labsは7月のStarlinkのライドシェアにも3機のSkySatを搭載する予定です。

宇宙への格安定期便とも言える本サービスは、小型衛星ビジネスの拡大に寄与するのではないでしょうか。

亡きチームメンバーへの想いを込めたミッション「Don’t Stop Me Now」

6月13日、小型衛星による輸送サービスを展開するベンチャー企業、Rocket Lab(ロケット・ラボ)が、衛星5機を搭載した、Electron(エレクトロン)の打ち上げと軌道投入に成功しました。

Credit : Rocket Lab

搭載された3機の衛星は、NRO(National Reconnaissance Office,アメリカ国家偵察局)のもので、ミッションや名前、サイズなどの情報は明らかになっていません。

そのほか2機はCubeSatで、それぞれ、ボストン大学の学生が地球の磁場を研究する目的で開発したものと、ニューサウスウェールズ大学がオーストラリア政府と共同で通信技術を研究する目的で開発したものです。

今回の打ち上げは3月下旬に予定されていましたが、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響を受けて延期し、およそ2カ月半遅れの実施となりました。

また、今回のミッション名「Don’t Stop Me Now」は、2020年初めに亡くなった同社の取締役員スコット・スミス氏に敬意を表して、彼が好きだったQueenの楽曲からとったものでした。

高い打ち上げ成功率を誇るRocket LabのElectronロケット。年内には、Capella SpaceやPlanet Labs、キヤノン電子、Synspectiveの衛星が打ち上げられる予定です。また、同社は第一段ブースターの再利用を目指しており、年末の打ち上げでは回収実験を行う計画です。

MOMO 5号機は緊急停止。求められる「宇宙品質」へのシフト

6月14日、小型ロケットによる打ち上げ輸送サービスの提供を目指す、インターステラテクノロジズ(以下、IST)が観測ロケットMOMO5号機を打ち上げました。

Credit : インターステラテクノロジズ

上昇中に不具合が発生したため緊急停止し、到達高度は目標であった100kmを大幅に下回る11.5kmとなりました。機体は安全に海面に落下したことが確認されています。

ISTの代表を務める稲川氏は会見で、空中でノズルが破損したことにより機体が傾いた、当日は基準内であるものの強い風が吹いており、無風であれば目標高度に到達できていたのではないかという見方を示しています。今後は、品質の向上に力を入れていく方針のようです。

オンライン記者会見の様子。左から代表の稲川氏、ファウンダーの堀江氏 Source : https://www.youtube.com/watch?v=evcDmxXxAgg&t=2508s

ISTのファウンダーである堀江氏は、連続した打ち上げの成功によって、顧客からの信頼度を獲得につながると説明したほか、人員を増大し、スピーディーに製造ができる体制が整っているとアピールしました。

MOMO5号機は当初予定していた、2019年12月29日から1月2日の期間中に打ち上げを予定していましたが、電子基板上の部品「オシレータ」の故障により、5月2日から6日に延期。その後、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による打ち上げ自粛要請を受けて再度延期し、今回に至ります。

「輸送サービス」としてのロケットの打ち上げの実現に向けて、ISTの今後の動きに引き続き注目していきたいと思います。

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参考

SpaceX launches 58 Starlink satellites, three Planet SkySats on Falcon 9

SMALLSAT RIDESHARE PROGRAM

SkySats 16-18 Successfully Launch Aboard The SpaceX Falcon 9

Launch Cost Analysis and Optimization Based on Analysis of Space System Characteristics

Don't stop them now: Rocket Lab launches 5 satellites to orbit

観測ロケット「えんとつ町のプペル MOMO5号機」打上げの結果について