【事例付き】ビッグデータ時代に持つべき”データ活用に必要な視点”とは オープンデータ伝道師インタビュー
オープンデータはどのように活用ができ、どのような可能性を秘めているのか。「新型コロナウイルス対策ダッシュボード」の開発者でもあるオープンデータ伝道師の福野さんにお話を伺いました。
新型コロナの蔓延状況が47都道府県毎に一目で分かる、上記のダッシュボードを見たという方は少なくないでしょう。
ダッシュボードの元となっているデータはすべて行政が把握し、誰でも無料で確認できる状態で公開されているものです。これらの無料で誰でも利用できるように配布されているデータは「オープンデータ」と呼ばれ、新しいビジネスが生まれる土壌として注目されています。
では、実際にオープンデータはどのように活用ができ、どのような可能性を秘めているのか。オープンデータ伝道師として活動しながら、上記の「新型コロナウイルス対策ダッシュボード」を作り話題となったこの方に宙畑の中村がお話を伺いました。
福野 泰介
株式会社jig.jp創業者&会長/Code for Sabae代表/IchigoJam 発明者/オープンデータ伝道師/総務省 地域情報化アドバイザー/福井高専 未来戦略アドバイザー
(1)福野さんのオープンデータ活用事例3選
中村:福野さん、本日はよろしくお願いします!
福野:よろしくお願いします。
中村: まずは福野さんがこれまでに作ったオープンデータ活用事例をお伺いしたいなと。記事では事例を3つ紹介したいなと思っていて、一つ目は「新型コロナ対策ダッシュボード」について、残りの2つは福野さんが面白いと思う活用事例を教えてください。
①新型コロナウイルス対策ダッシュボード
中村:さっそくですが、公開してからすぐに話題となった「新型コロナ対策ダッシュボード」はなぜ作ろうと思われたのでしょうか?
福野:そもそも日本の主要メディアは首都圏に本社があるので、基本的には首都圏の情報が全国ネットで広まります。しかしながら、各地方の状況はいまいち分かりませんでした(福野さんは現在福井県にお住まいです)。そこで、県ごとの状況というのを把握したいなと思ったことがきっかけです。
また、各地方でそれぞれのサイトが独立して立ちあがってはいたのですが、全体としてどうなんだということが知りたかったので作りました。
中村:たしかに、新型コロナの話題は東京がどうかというよりは、住んでいる場所に限らず地元は大丈夫なのかなど、地方の状況も気にされている方が多かったように思います。
たとえば、私は熊本出身で家族は熊本にいるので、ダッシュボードを見て、熊本の病床数は他の都道府県と比較して多いんだなと思ったことを覚えています。普段病床数など気にしていなかったので、こういったデータも行政ではオープンにしているのだなと驚きました。
福野:実は、病床数って新型コロナが発生するまでは減らそうとしていたんですよね。
中村:そうなんですか……!
福野:新型コロナの発生は、良い面を取り上げると、オープンデータの必要性が認識される潮目となった出来事とも考えています。
中村:たしかに、オープンになっていらからこそスピード感をもって福野さんがダッシュボードを世間に公開され、重宝されていますものね。
では、あと2つ、福野さんのおすすめ事例を教えていただけますか?
②消火栓の場所をオープンデータでマッピング
福野:よく紹介しているのは消火栓のオープンデータです。雪国ではないとピンとこないかもしれませんが、消火栓は雪に埋まってしまうと、火災が起きたときに大変なことになります。
実際に鯖江市でそういった事例があって、大雪で雪に埋まっている中で火事が起きたときに、消火栓を移した時の手違いで標識を移し忘れたらしく、掘り起こしてみたら消火栓がなかったと。
中村:それは一刻を争う状況においては大きな問題ですね……。
福野:その一件からそもそも雪で消火栓が埋まっているのって問題だよねということで、みんなで掘り起こそう運動をFacebookでやったんですけど、いざスコップを抱えて消火栓を探すとどこにあるかわからないんですよ。
ということで、消火栓オープンデータありますか?と聞いたところ、鯖江市役所が市内3,400カ所ぐらいのオープンデータを出してくれて、次のシーズンで大雪が降ったときに、高校生が消火栓の場所が分かるアプリを使って消火栓を宝探しのように探してくれていました。
一方で、いまだに消防の人が金属探知機を使って探して掘り起こすみたいなことをやっている地域もあって、データを作っておけば良かったのに……ということもあります。
データがあってアプリがあれば、消防の人が人件費をかけて掘り起こすんじゃなくて、子供たちが遊びのようにやってくれるということで、コスト的にもメリットがあるということです。
中村:子供たちにとっての遊びが街を守っているというのは面白いですね。
③橋梁データの可視化
福野:2つ目は、鯖江市にある橋梁オープンデータを使った事例があります。川にかかっている橋が鯖江市内だけで400ぐらいあるんですね。これは当然市のものなので維持管理していく必要があります。橋の名前とか製造年とか、製造工法というものがオープンデータ化されていました。
それを使って市内でマッピングして、それと同時にどれだけ古いかというのを並べたリストを発表しました。中には90年以上前の橋とかあるんですよ。コンクリートの寿命が40年とか50年とか言われる中で90年前って大丈夫なのかなと。
中村:それは渡りたくなくない……。
福野:そうですよね。80%以上が本当に耐用年数切れじゃないかという状況が明らかになって、なかなか大変だなと思って公表したんですけど、実際に鯖江市民の反応はノーリアクションでした。
中村:下手すれば炎上しそうな発表だったけれど、意外とそうでもなかったということですね。
福野:実際、こういうインフラに対する補修予算というのは年々厳しくなっていて、今後耐用年数はどんどん切れていくので、新しい橋を架けるという形になれないと思うんですよね。
その場合どの橋を落としていくかということを判断しなきゃいけないときが自然と来るわけですけど、そのときになって「いや、そこ困るよ」と言ったって遅いみたいな。そういうことは考えていかなきゃいけないと思うのにな、と思いながら、みんな関心がないんだなということがわかったということで、オープンデータの活用事例として興味深い出来事でした。
中村:ありがとうございます。反応が無かったというのは課題があるように思いますが、未来を考えるうえで必要なデータ活用事例であることは間違いないですね。
おまけ:Local Data for Better Health
福野:あと、私が作ったというよりは海外の事例なのですが、アメリカの事例で「Local Data for Better Health」と言って、500都市の病気の発生状況が全部オープンデータ化されて比較できるようになっているものがあります。これを見れば、この街に行ったらこういう病気になりやすいのかなということを比較検討できるようになっています。
日本版を作って、「日本ってすごくいいじゃん」とか、そのデータを各国ごとに比較できたりもすると、日本がまた別の意味で見直されることになっていいんじゃないのかなと思っています。
中村:それはたしかに見てみたいですね、ぜひ福野さんに作っていただきたい……! 日本でも地域によって特有の病気だったり、あとは虫が発生したりがあるようなので、引っ越しをする際の街選びの参考にもなりそうです。
では、オープンデータの活用事例についてイメージができたところで、オープンデータの生まれた背景から今後の展望、可能性を伺えればと思います!
(2)オープンデータが生まれた背景
中村:まず、オープンデータという概念はどのように生まれたのでしょうか?
福野:私がオープンデータと出会ったのは2010年なんですけど、2009年にイギリスとアメリカでオープンデータというものが政府のデータを使って公開されたというのが初めてです。
ただ、その大もとは2001年のSemantic Webです。World Wide Webを発明したTim Berners-Leeがあえて最初にWebを公開するときに落とした仕様。それがSemantic、要するに意味付けしたリンクだったんですね。この意味付けしたリンクというものを流行らせようとXMLの推進などをしながら、Semantic化を進めていましたが、結局あまり使われず……そこで、アメリカ、イギリスが持っている膨大なデータをとりあえずオープンデータという形で開放しよう、オープンなライセンスをまず付けて公開するところから始めて、ゆくゆくはSemantic Webの実現につなげるという、そういう作戦がオープンデータの背景にあります。
つまり、Semantic Webを易しい言葉で言い換えたもの、それがオープンデータです。
インタビュアー:もともとオープンデータは、どういった活用方法を期待されて議論が進められていたのでしょうか。
福野:簡単に言うと、データの整理です。Googleのミッションが世界中の情報を整理して、世界中で使いやすく届けると掲げられていますが、Semanticはまさにそのためにある技術です。
例えば、「今この瞬間、歩いて10分で食べに行けるラーメン屋さん、開いているところどこでしょう」という場合、これは検索してもなかなかわかりません。まずはそもそも、ラーメン屋が近所に何軒あるのかということ。そして今開いているかどうかということ。そのデータがきちんと整理されていないと、この質問には答えられないというのが現状のWebの限界です。
中村:たしかに、今は飲食店であればGoogle Mapのデータがかなり充実してきている印象ですが、それまでは検索して路頭に迷っていました。これが飲食店に限らず、様々なデータが整理され、より効率よく欲しい情報にアクセスできるようになるということですね。
あとは、データをオープンにすることで、誰かが自分の持っている情報を整理してくれるかもしれないというのもオープンデータの魅力ですよね。
福野:まずはオープンなライセンスで公開さえすれば、民間の人たちがデータを整理して再公開することも含めて、オープンなライセンスで許されているので、そういう使い方も可能になっています。
このオープンなライセンスというところがオープンデータの肝で、例えば、高速道路は有料ですけど、一般道は無料ですよね。誰もが自由に無料で使える。つまりインフラとしてデータが根付くかどうかというのは、自由に使えるかどうかの流通性にかかっています。そこで、まずはデータにオープンなライセンスを付けてオープンデータと呼ぶ。これを「5つ星オープンデータ」で言う「1つ星」というふうに名付けたのは、流通させるうえでなかなかナイスな作戦だなと思っています。
中村:すごく簡単にできるところから星がつくと、まずはデータを公開することに価値があるように感じられますし、利用者の立場としても「お、使ってみようかな」となりそうですね!
(3)各自治体で進むオープンデータの公開、日本では人口カバー率は約80%
中村:では、現時点で国や地方自治体が出しているオープンデータはどの程度充実しているのでしょうか?
福野:日本では、市町村レベルの小さい自治体だと40%ほどオープンデータ化が進んでいます。40%というと少なく感じるかもしれませんが、人口のカバー率という言い方をすると80%弱はあります。
中村:ありがとうございます。つまり、人口カバー率という視点で見れば使えるオープンデータの取り揃えはビジネスに利用できるほどあるとも言えるのでしょうか。
福野:それは少し難しいところで、例えば石川・富山・福井、北陸三県は全部、県内市町すべてオープンデータをやっているとか、京都・岐阜・島根も100%で、東京も72%とか、オープンデータの取り組み自体は進んでいるのですが、オープンデータの種類が全部そろっているかと言うと、そうではないんですね。欲しいデータがどれだけ揃っているかと言うと、まだまだ非常に少ない割合になってしまうというのが現状です。
中村:なるほど。データのテーブル自体もカラム名が違っていたりもありそうですね。
福野:ありますね。それを整理しようとしているのが推奨データセットとか、IMI(Infrastructure for Multilayer Interoperability:情報共有基盤)という、もともと経産省で作って、今はimi.go.jpで公開しているボキャブラリーで、データの項目名をそろえましょうというプロジェクトがあります。それらが十分使われるようになっていけば、その問題は解決に向かっていくはずです。
中村:データを扱う人からするとぜひ解決して日本全国の綺麗なデータがオープンになってくると良いですね。
普及状況について、日本と海外とでオープンデータの取り組みに差はありますか?
福野:細かい自治体でもオープンデータ化が進み始めているというところは、他の国ではあまり見ない事例なんじゃないかなという気はしますね。
ほとんどの国が国レベルでオープンデータに取り組んでいるのですが、小さい市町村レベルで取り組みが起こっているのは日本の特徴なんじゃないかと思っています。
中村:小さいからこそユニークなデータも増えていきそうですね。
福野:そうですね。よりきめ細かい、生活に密着したオープンデータが生まれやすいので、例えば鯖江市だと子育てに関するイベント情報がオープンデータ化されているので、それを使ったアプリが公開するという形も聞いていますし、子育て世代向けのイベント情報を集約してメディア化している「いこーよ」というサイトではオープンデータを積極的に取り込んで提供するなど、民間企業も欲しい情報をオープンデータで無料で効率よく入手することで、うまくWin-Winの関係ができている事例も出てきています。
(4)良いオープンデータ・あと一歩なオープンデータ
中村:では、福野さんの目線でオープンデータを扱うときに「このオープンデータ良いな」と思うのと、「このオープンデータあともう少し」と思うところって、どういった違いがありますか?
福野:そうですね、あと一歩というところだと、飲食店情報や施設の情報はオープンデータ化されているケースはけっこう多いんですが、緯度経度が入っていないとか、そもそもその施設の公式サイトのリンクがないとか……ちょっと見たい情報が足りない。
あと、理想を言うと本当に欲しいのは各施設ごとの写真情報とかがすごく欲しいですね。
「ここなら行ってみたいな」と思うようなものになっていないことが多くて、データはあるんだけど、ちょっとこれだけだと取り込んでもコンテンツ不足というのは良く感じます。
中村:サービスにするうえで、今あるオープンデータだけでは誰かが使いたいと思うまでのものにはなりにくいということですね。
ちなみに、緯度経度情報があるとどのような良い事があるのでしょうか。
福野:住所情報はよくあるんですけど、住所から緯度経度を算出するジオコーディングというのは、これまで完璧なものって存在しなかったんですよね。新しい住所がついた場合、それは自治体しか管理していなくて、実際正確なマッピングはデータがないと不可能なんです。
なので、地図アプリに連携して案内したくても、ジオコーディングに任せちゃうと全く違う場所に出てしまって、使う人にも、そのお店をやっている人にも両方に迷惑がかかりそうだなということから、なかなかサービス化しづらいという問題にあります。
中村:利点の前に、サービス運用するうえでの信頼性が損なわれてしまうということですね。
福野:あとは、食品営業許可施設、飲食店などを開業する場合は許可が必要なので、福井県の場合は県に届けられますし、政令市の場合は政令市自体が管理していて、その一覧のオープンデータ化というのはまあまあ進んでいるんですが、会社の社食とかも許可案件になっているので、一般の人が入れない施設もオープンデータとしては公開されちゃうんですね。
そのため、新規店舗という形でサービスで取り込んだ場合、いやそこは入れないじゃんみたいな場所があります。とはいえ、許可する側としては食べ物を提供する中でOKかどうかだけを見ているので、オープンデータ化する際に一般の方が入れるか入れないかは二の次になってしまいます。
でも、もうひと手間かけて、「一般の人が入れますよ」というチェックが1個あれば、全然違う形で活用できるのになという、使う人目線というものがまだまだ少ないというのが、現状のオープンデータの問題として言えるところかなと思います。
中村:海外だと飲食店のオープンデータはうまく利用されているのでしょうか?
福野:海外だと、国が飲食店の衛生環境を見回って強化しているんですね。その評価データがオープンデータとして出ていて、日本でもご存知の方が多いと思いますが、Rettyが「ここは最近の検査で評価何点でしたよ」という形でオープンデータを取り込み、安心できるお店として選べるといった活用がされていたりします。
中村:国のやらなきゃとユーザーの知りたいがうまくマッチしている事例ですね!
(5)民間オープンデータ参入の可能性は? まずはコンビニのデータ!?
中村:これまで行政が持っているオープンデータについてメインでお話していただきましたが、今後民間企業からオープンデータが公開されていくこと、また、そこから恩恵を受けられる可能性はありますか?
福野:おおいにあると思いますし、早くやってほしいと思っています。
中村:どういった業界がオープンデータに参入すると嬉しいですか?
福野:今、一番公開して欲しいなと思っているのはコンビニ業界ですね。
東京の人にとってはピンとこないかもしれないんですけど、鯖江市だと住民票の発行の機械は昔あったやつをどんどん撤去して、全部コンビニで発行するように切り替えているんです。ただ、コンビニはコンビニで営業時間を縮小するかとか、そもそも閉店するというのもまあまああって……。
中村:近所のインフラと思っていたものが急に無くなったりするのですね……。
福野:行ってみたら閉店していたとかって困りますよね。そうやって準行政施設として使われていくのであれば、コンビニはきちんとオープンデータ化して、いつやっているのかとか、どういうものに対応しているのか、というものが綺麗に整理して、各業界がデータの形式としてそろえれば、非常に有益なデータになるはずです。
他にも、トイレが使えるよというのが分かると、何か買わなきゃとなりはするものの、それが分かるだけで、助かる人がいるかもしれない。そういう意味でも、非常に便利なものが詰まっているコンビニのオープンデータは非常に切望しています。
中村:たしかに、トイレの一般利用の可・不可、イートインの有無、宅配サービスの扱いとかは東京でも知りたいですね。
福野:道路サイド沿いとかだと、男女別にトイレがなっているかとか、障害者用にトイレが対応しているかどうかとか、ウォシュレットあるかどうかとか、アピールの仕方次第で、コンビニの来客数も変わってくると思うので、そこは出しても損はないのではと思っています。
中村:民間企業にとってはそういったなんてことのない情報ですら、一般の市民の方にとってはすごく有益なオープンデータになりうる、また、そのデータを使って便利なアプリを作り、自社の売上が上がるかもしれないというのは民間企業にとっても良いお話ですね。
(6)オープンデータは「大人が次世代に託せる財産」であり「子供にとっての遊具」
中村:最後に、今後オープンデータ活用はどのように拡がっていくのかということをお伺いしたいと思います。オープンデータ伝道師として福野さんは幅広い世代の方にオープンデータについてお話をされていると思いますが、子供向けと大人向けで話されている内容は変えていますか?
福野:学生には「オープンデータは遊具です」「公園みたいなものです」と話しています。自由に使っても誰からも怒られないし、誰に許可を取る必要もないオモチャとして使ってもらいたい。いくら真面目なデータでも、それを遊びに使ってOKなので、是非データを使って遊びましょうという話をしています。
理想は子供たちが近所のデータを遊具として使いながら、自分たちのオモチャを自分たちで作るという世界ですね。
中村:大人向けだとどのようにお話されていますか?
福野:大人であればSDGsの文脈と合わせて、大人が頑張っていろんな問題について考えて解決してきたけど、それでも問題が山積みですよねと。これを我々は解決できなかったので、ちゃんとそのデータを次世代に向けてちゃんと整理して出しましょうという話をしています。
中村:大人向けにはワクワクするものを使ってみようというよりは、大人がデータを持っていてそれを使ってもらう必要性を話されているということですね。
福野:大人は行政でも民間でもデータホルダーであって、そのデータを大事に抱えていたところで何も起きません。それをオープンデータ化して誰かに託すことで新しい変化、オープンイノベーションが起こる。自分たちがきっかけになれる可能性があるということを知ってもらいたいなと思ってお話をしています。
中村:データをまずは出してみようよと。
福野:今あるものでとりあえず作れば良いと思います。例えば、新型コロナのダッシュボードも、オープンデータとしてはキレイにそろっていたとは言い難かったんですけど、とりあえずPDFがあるからなんとかするっていうところから入っているので。
何かを出せばその分何かが返ってくる可能性がありますし、それを大事に抱えていたところで、別に損も得もないということであれば、積極的にオープンデータ化していくというのが、Web時代の新しい生き残り方なんじゃないかなと思います。
中村:様々なものがデータとして残せるようになったことで、次世代に引き継げる量は圧倒的に増えているはずですものね。
あらためて、オープンデータは「次世代に託せる財産」であり「遊具」でもあるというのはビッグデータ時代の今だからこそ常に意識しておきたいと思いました。
今後、どのようなオープンデータが公開され、また、どのような活用事例が生まれるのか、宙畑でも注目していきたいと思います。福野さん、ありがとうございました!
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(7)編集後記:衛星データというオープンデータについて考える
福野さんのオープンデータ活用事例から使われるデータとはどのようなものか、また、今後どのような展開があり得るのかについてお伺いしました。
今、オープンデータのひとつとして衛星データも大量のデータが公開されており、宙畑ではその概要や活用方法について紹介しています。しかしながら、実際に多くの方が衛星データをどんどん使い始めているかと言えばまだまだ。
福野さんの消火栓の事例が、データを整理することでこれまで消火栓とは縁の無かった学生が雪に埋まった消火栓を探すようになったように、特定の課題について、新しいヒト・モノ・コトがつながるような衛星データの利活用事例アイデアが今求められています。
衛星データは今後もどんどんデータ量が増え、また、解像度や頻度も上がることで、分かることも増えていくことが期待されているデータです。
宙畑として、衛星データというオープンデータの活用事例を自ら生み出していきたいと思います。