宙畑 Sorabatake

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DATAFLUCTが3億円を調達。マルチモーダル機械学習プラットフォームの開発を推進し社会課題解決に貢献【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/4/19〜4/25】

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DATAFLUCTがシリーズAラウンドの資金調達で3億円を調達

データサイエンスベンチャーとして企業と社会の課題解決に取り組む株式会社DATAFLUCTが、株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)からシリーズAラウンドとして3億円を調達しました。

DATAFLUCTは今回調達した資金を、「マルチモーダル機械学習プラットフォーム」の開発に活用していく予定です。

宙畑メモ
マルチモーダル:画像、音声、テキストなど異なる様式のデータを統合的に処理すること。多面的な情報を統合して判断するため、より人間に近い問題処理能力を発揮できる特徴がある。

そこで、今回の資金調達にあたり、DATAFLUCTのCEOの久米村隼人様から「マルチモーダル機械学習プラットフォームに注目したきっかけは?」「調達資金の使い道は?」という2つの質問について、回答をいただきました。

DATAFLUCTのCEOの久米村隼人様 Credit : DATAFLUCT

―社会課題を解決するというビジョンの下、様々な業界を対象に数多くのソリューションの開発を経験された中で、マルチモーダル機械学習プラットフォームに着眼したきっかけは何だったのでしょうか?

DATAFLUCTは、もともとJAXA認定ベンチャーとしてスタートし、衛星データ(衛星画像、気象情報、位置情報など)を地上のデータを掛け合わせて社会課題を解決していくことを主軸に据えていました。これまでに10数本のサービスをローンチしており、衛星データをはじめとする外部データを活用し、ビジネスに意味がある未来を予測するサービスを開発してきました。

しかしながら、約1年前の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響が色濃くなったタイミングから、導入予定だった殆ど全ての事業が頓挫してしまいました。この時、農業や都市計画や物流など8つの事業を仕込んでいました。

そこでスタートアップ企業として生き残るために、これまで受けていなかった大企業向けの技術支援事業(DX支援)をスタートし、データ活用や機械学習などAI技術を事業に実装したことがない企業様向けに、技術提供していきました。弊社のDX支援が一般的な受託開発と異なるのは、既に様々な種類のアルゴリズムや業界のノウハウを保有していた点です。

案件ベースでさまざまな課題を解決していく中で、分析難易度の高い非構造データ(画像・音声・テキスト・IoTセンサーデータ)を活用した機械学習実装を高速に且つ安価に提供出来る点が、顧客がDATAFLUCTを選んでもらえる点であることが分かりました。

そういった受託開発を通じて、自分たちがやっていることをより簡単に使っていただくことが、会社のビジョンである”データを商いに。”が実現できると考え、主軸を”マルチモーダル機械学習プラットフォーム”に変えていきました。

マルチモーダルAIというと、人間の表情・音声・テキスト・体勢などから総合的に感情を読み解く、という事例もありますが、「地理空間上の非醸造データ」とビジネスの意思決定に活用する「データサイエンス」を融合したプラットフォームは世界のどこを見ても類を見ないと思っています。

マルチモーダル機械学習プラットフォームの一つとして展開する、『DATAFLUCT cloud terminal.』のレポート画面 Credit : DATAFLUCT Source : https://datafluct.com/lp/cloudterminal/

ー今回のラウンドによる調達資金を人材・技術面に投資するということですが、具体的に、どのような人材を今後獲得していく予定でしょうか。

DATAFLUCTの機能は大きく三つあり、「事業開発/DXコンサルタント」「AI/データサイエンス」「データエンジニアリング」です。

一般的なAIベンチャーのように研究者や技術者も活躍できますが、弊社の一番の特徴は、提案から開発・運用までを一気通貫で提供できる点です。

主役であるデータサイエンティストだけでなく、よりデータ活用をしたい事業開発人材、高度なアルゴリズムを動かすためのデータプラットフォーム開発人材(=データエンジニア、クラウドエンジニア、データベースエンジニア、MLOpsエンジニア)などを今後獲得していく予定です。

ー最後に、宙畑読者へのコメントもお願いします。

DATAFLUCTは、宇宙ベンチャーではなくデータサイエンスベンチャーであり、衛星データは扱うデータの一部と捉えています。

例えば、弊社の重点領域の一つに、スマートシティがあります。脱炭素社会・気候変動対策などの地球規模・国家規模の問題から、スマートグリッド・スマートモビリティ・コンパクトシティなどの自治体規模の問題もあります。ひいては、施設のDX化(データを活用してサスティナブルな運営ができるようにすること)もスマートシティのテーマです。

このようなテーマに衛星データ(画像・気象・位置情報・環境など)を活用できる、世界のリーディングカンパニーを目指しています。データサイエンスで未来の社会課題を解決していきたいという方はぜひご連絡ください。

DATAFLUCTは、社会課題を解決を切り口にすべての人・企業・社会を同時に幸せにする「全体最適」を目指しながら、ソリューションを多数展開しているのが特徴です。

また、2021年4月20日には、不動産ビッグデータ分析を支援する新サービス『DATAFLUCT real-estate.』を発表しています。本サービスでは、機械学習技術を活用し、用地取得に必要な一連の情報収集や・マーケティングプランの作成を僅か数時間で完成させ、業務効率化の実現を目指しているようです。

不動産ビッグデータ分析を支援する『DATAFLUCT real-estate.』のサービスの様子
Credit : DATAFLUCT Source : https://datafluct.com/lp/realestate/

一貫してデータサイエンスによる社会課題解決に取り組むDATAFLUCTの、今後の事業戦略にも注目です。

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