P&GがNASAと協力して宇宙用洗剤を開発。2022年にISSへ【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/6/21〜6/27】
一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!
P&GがNASAと協力して宇宙用洗剤を開発
世界最大の一般消費財メーカーであるThe Procter & Gamble(以下:P&G)の洗剤ブランドTide®が、NASAと協力して宇宙での使用に特化した洗剤を開発したことを発表しました。
現在、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士は、衣類を数回着用した後、新しい衣類に交換しています。衣類はISSへの補給物資として運搬されますが、積載貨物の容量は限られているため、月や火星への深宇宙探査では衣類の補充作業は困難とされています。
そこで、宇宙空間で衣類の洗濯に焦点があたりますが、宇宙空間では水は大変貴重なため、洗濯に十分な水量を使用できないことや、洗濯水を飲料水にまで浄化する必要があるなど多くの課題がありました。今回P&Gが開発した洗剤は、上記の課題を解決し宇宙での使用に特化した完全分解性の洗剤です。
「Mission PGTide」(P&G Telescience Investigation of Detergent Experiments)と命名されたチームは、国の研究所である ISS National Laboratoryと民間企業のSEOPSの協力のもと、2022年に今回開発した新型洗剤をISSまで運搬し、微小重力環境下での洗浄成分の安定性などを検証する予定です。
P&G North America Fabric Careの事業部長のAga Orlik氏は、今回の発表にあたり以下のコメントを出しています。
This partnership was created to rethink cleaning solutions – forcing us to rethink innovations for resource-constrained and challenging environments like the ISS, deep space and even the future of our home planet.
(訳:このパートナーシップは、クリーニングソリューションを再考するために生まれました。つまり、ISSや深宇宙、さらには私たちの故郷である地球の未来のような、資源に制約のある厳しい環境のためのイノベーションを考える必要があります。)
P&Gは、今回のNASAとの共同開発の知見を、地球上での洗剤開発に活かし、より環境に優しい持続可能な洗剤開発につなげると発表しています。
地球上の暮らしで利用されている洗剤も、宇宙空間では同じように使用することはできません。
今後宇宙で人が暮らしていくようになった時に、どのように生活を可能にしていくのか、また、その知見を地球での暮らしに還元していくのか、様々な分野の企業がそれぞれの強みを宇宙で応用していくことが今後も広がっていくと思われます。