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元自衛官が創業したスカイゲートテクノロジズが宇宙事業者向けのサイバーセキュリティ支援を開始【宇宙ビジネスニュース】

【2022年1月14日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

1月4日、クラウド地上局プラットフォームの開発を手掛けるスカイゲートテクノロジズが小型衛星の開発や運用、リモートセンシング情報の利用を行う企業向けのサイバーセキュリティ支援サービスの提供を開始したと発表しました。

スカイゲートテクノロジズCEOの粟津昂規氏は、防衛省・自衛隊でサイバーセキュリティを担っていた経験があります。粟津氏が直轄するセキュリティチームの専門性を活かし、宇宙ビジネスのセキュアな衛星運用システム・ネットワークの設計・構築を支援していくとのことです。

宇宙事業における脆弱性とは、どのようなものがあるのでしょうか。

粟津氏によると、脆弱性はケースバイケースであるものの、小型衛星を例に挙げると周波数または電力的な事情で、衛星と地上との通信の暗号化が限定的もしくは十分な強度を確保できない場合があり、平文通信(非暗号化通信)が脆弱性となって、盗聴や改ざんのリスクがあるそうです。

特に、衛星・宇宙産業領域では、安全保障が絡み、国家やそれらに準ずる組織に支援されたサイバー攻撃集団がいるため、通常の産業セキュリティに比し、高度なサイバー攻撃が生じているといいます。

宇宙システム関連に対するサイバー攻撃年表 Credit : PwC Japan Source : https://www.pwc.com/jp/ja/services/digital-trust/cyber-security-consulting/space-cybersecurity-service.html

さらに、攻撃がサイバー空間にとどまらず、電子戦(無線の妨害や傍受)、高高度での物理的な攻撃など、準軍事的な実力と見られる領域にまで及ぶ場合があるのが特徴です。

そういった観点から、粟津氏は

「通常のサイバーセキュリティ体制より一歩踏み込んだ対策が必要な点で、宇宙産業の大きな課題ともいえます。」

とコメントしています。

宇宙サイバーセキュリティをめぐっては、アメリカ・ホワイトハウスがSPD-1と呼ばれる宇宙政策大統領令を2017年に打ち出し、2020年には、宇宙システムのサイバーセキュリティ強化を求める大統領令「Space Policy Directive 5(SPD-5)」を発表するなど、セキュリティ基準の策定の緊急性と重要性が高まっています。

日本においても、経済産業省が2021年度内に衛星開発に関わる事業者向けのサイバーセキュリティ指針の策定を予定していて、支援サービスの需要が高まっていくのではないかと見られます。

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参考

クラウド地上局サービスのスカイゲートテクノロジズ、宇宙事業者向けサイバーセキュリティ支援サービスの提供を開始

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