準天頂衛星「みちびき」を利用した実証事業の公募開始。測位サービスの実用化を後押し
2018年にサービスが開始され、みちびきを利用した衛星測位サービスが利用できる環境は徐々に整っています。さらに測位サービスの実用化を進めるため、2022年度の利用実証の公募が開始されました。
2022年度みちびきの実証公募開始
2022年4月1日、内閣府と準天頂衛星システムサービス株式会社は、準天頂衛星システム「みちびき」を利用した衛星測位システムにおける利用実証を実施する企業および研究機関の募集を開始しました。
応募期間は2022年5月20日(金)17:00まで。日本国内の企業、または企業から委託を受けている研究機関および高等専門学校、大学、大学院、複数の企業や研究機関、高専、大学、大学院による応募も可能とのことです。
準天頂衛星システム「みちびき」とは
衛星測位システムとは、衛星から電波によって位置情報を求めるシステムであり、米国のGPSや欧州のGalileo、中国のBeiDouなど世界各国で整備が進んでいます。日本が独自に進めている衛星測位システムが準天頂衛星システム「みちびき」です。
山間部が多く、都心では高層ビルが衛星からの電波をさえぎってしまうという日本の地形による課題を、準天頂軌道という軌道を利用することによって、日本の地形でも高精度の測位サービスを提供することが可能です。
「みちびき」とは~GPS精度を向上させる準天頂衛星の仕組み~
日本版GPS「みちびき」の今!世界初・センチメートル級の高精度測位サービスの可能性
事業実証公募の概要
測位サービスは、カーナビをはじめ、車の自動運転や防災利用、観光事業やスポーツ分野への利用など様々な分野で利用が進んでいます。みちびきを利用した高精度の測位サービスによって、さらなる利用の可能性が注目されています。
みちびきは主に以下のようなサービスを提供することが可能です。
・サブメータ級測位補強サービス(SLAS)
・センチメータ級測位補強サービス(CLAS)
・災害・危機管理通報サービス
・衛星安否確認サービス
・みちびきからの時刻情報
これらのサービスを用いて、みちびきの実用化を目指す今回の実証事業の審査のポイントは、以下のような項目があげられています。
・要件との整合性
・新規性・先進性
・実証事業の実現性・具体性
・事業化の実現性
・将来性・経済波及効果
これまで採択された事業は以下のようなものがあります。
<流通>
みちびき+LTEのダブル高精度測位によるドローン物流/システムイームズロボティクス株式会社
みちびきとLTE(Long Term Evolution)の高精度測位システムを両方搭載し、補完し合い高精度な飛行を実現する実証事業
<農業>
みちびきを利用した農業現場で利用できるクローラ型自律走行車両の開発と実証/カワサキ機工株式会社
高精度測位情報を利用しクローラ型車両による圃場内自立走行を実証する事業
<海洋>
みちびき受信機と機械学習を活用した浮体式波高計測システムの実証実験/株式会社環境シミュレーション研究所
ブイや船舶にみちびきの受信機を搭載し、波の高さを高精度に観測するシステムを試作する実証事業
<福祉>
「みちびき」を利⽤した視覚障がい者のスポーツ介助⽀援システム/株式会社ニュージャパンナレッジ
障がい者が散歩やジョギングをする際の介助サポートして位置情報を介助者と障がい者へ情報を共有するシステムを開発する実証事業
このほか過去に採択された事業も以下より確認することができます。
みちびきを利用した実証事業
詳しい応募要項は「[募集] 2022年度 みちびきを利用した実証事業公募」のサイトから確認できます。
5月20日(金)17:00までに、必要書類を用意し、事務局までメールで応募が必要になります。
ぜひ興味があればご応募してみてはいかがでしょうか。