有人月面探査車の開発に日産の北米拠点が参画。Teledyne Brown・Sierra Spaceと共同【宇宙ビジネスニュース】
【2022年4月11日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
世界最大級の宇宙産業に特化したカンファレンスイベント「Space Symposium」で、Teledyne Brown Engineering(テレダイン・ブラウン・エンジニアリング)は、Sierra Spaceと日産自動車の北米拠点と共同で有人月面探査車の開発に取り組むことを発表しました。
Teledyne Brown Engineeringは、約70年にわたって宇宙用のハードウェアの設計や開発を行っているアメリカの老舗企業です。NASAの火星探査車であるキュリオシティとパーサヴィアランスに電源システムを提供していることでも知られています。
Sierra Spaceは、航空宇宙大手企業Sierra Nevada Corporationから2021年4月に独立した宇宙ベンチャー企業です。ISSへの輸送が可能な宇宙往還機の開発や、ISSの後継として期待されている民間宇宙ステーションの開発にBlue Originらと取り組んでいます。
調達額は宇宙分野で史上2番目。Blue Originらと宇宙ステーションを構築予定のSierra SpaceがシリーズAで1,600億円増資【宇宙ビジネスニュース】
日産は、月面の砂地などの過酷な環境下であってもローバが走行できる駆動力制御に関する研究を2021年1月からJAXAと共同で進めていました。
今回発表された有人月面探査車の開発では、Teledyne Brown Engineeringがプロジェクトをリードし、製造や統合、運用、電力システムの提供など、Sierra Spaceが飛行ソフトウェアや通信、ナビゲーションなど、日産は車両の設計や自律走行技術などを担当するとのことです。
日産のアライアンス・イノベーション・ラボラトリーのアライアンス・グローバル・ディレクターであるMaarten Sierhuis(マールテン・シェルフイス)氏は、
「月面探査車から得られた技術を地球に還元していきます」
とコメントしています。
宙畑編集部のおすすめ関連記事
Sierra Space・大分県・兼松が提携。大分空港を宇宙往還機の着陸候補地として検討開始【宇宙ビジネスニュース】
商用宇宙ステーションの活用に向けて、総合商社・兼松がSierra Spaceと提携【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/9/6〜9/12】
「得られるノウハウは、自動車のイノベーションにもつながる」日産がJAXAと共同研究中の月面ローバー試作機を公開【宇宙ビジネスニュース】
参考
Teledyne, Sierra Space and Nissan Designing Lunar Terrain Vehicle for NASA