米、ハリス副大統領が衛星攻撃兵器(ASAT)実験の禁止を表明。各国にも協力を呼びかけ【宇宙ビジネスニュース】
【2022年4月25日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
4月18日、アメリカのカマラ・ハリス副大統領がカリフォルニア州にあるヴァンデンバーグ宇宙軍基地を訪問し、直接上昇式の衛星攻撃兵器(anti-satellite、通称ASAT)の発射実験を今後は実施しないと確約すると発表しました。ハリス副大統領は、アメリカの宇宙政策に助言する国家宇宙会議(National Space Council)の議長を務めています。
ASAT実験を実施しないと宣言したのは世界初。ハリス副大統領は「私たちは新しいルールを敷かなければならず、規範を示してリードしていく」と話し、ほかの国々にも同様の宣言をし、ASAT実験の禁止をするために協力するよう呼びかけました。
ヴァンデンバーグ宇宙軍基地によるプレスリリースには、2007年に中国、2021年にロシアが実施したASAT実験についても言及されています。
ハリス副大統領の宣言を受けて、NASAのビル・ネルソン長官は、翌日19日に声明文を発表しました。声明文では2007年に中国軍がASAT実験を実施し宇宙空間に数千の破片(スペースデブリ)が発生したこと、そして2021年にロシア軍が実施したASAT実験を実施し、ISSに滞在していた宇宙飛行士が危険に晒されたと説明した上で、
「有人宇宙飛行と宇宙環境の未来は、破壊的な直接上昇式のASAT実験と相容れないことは間違いない。ハリス副大統領とバイデン政権のリーダーシップにより、これらの脅威に対処し、リスクを低減することは、現在そして将来にわたって、安全で持続可能な宇宙環境を育むための重要な前進となる」
とハリス副大統領による宣言を奨励しました。アメリカの宣言を受けて、各国がどのように反応するのかに注目していく必要がありそうです。
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参考
NASA Administrator Statement on White House ASAT Announcement