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ワープスペースが初号機となる光中継衛星LEIHOを発表。最速で2024年冬からサービス開始予定【宇宙ビジネスニュース】

【2022年6月10日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

小型光中継衛星初号機LEIHO(霊峰)を発表

小型衛星を活用した宇宙空間での光通信サービスの実現を目指すワープスペースが、同社サービスを構成する初号機衛星WARP-02の愛称及び打ち上げ時期を発表しました。

衛星間光通信を用いて宇宙と地上をつなぐネットワークシステムWarpHub InterSatを構成する小型光中継衛星であるWARP-02の愛称はLEIHO(霊峰)と名付けられ、”Lasercom Exploration Inter-sat Hub One”の略称です。

ワープスペースが拠点を構える茨城県つくば市を代表する筑波山は、古来から西の富士山、東のつくばと呼ばれる名山です。つくば市から、宇宙をつなぎ世界をつないでいくサービスにしていきたいという想いから、初号機の愛称をLEIHO(霊峰)と名付けたとのことです。

3機の小型光中継衛星で構成されるWarpHub InterSatのイメージ図 Credit : ワープスペース

5月31日につくば市で行われた記者会見によると、LEIHOは最短で2024年10月の打ち上げを目指し、2〜3号機の光中継衛星は2025年後半〜2026年前半の打ち上げを予定しているとのことです。LEIHOは一辺約1.1mの大きさで重量は200kg程度、複数の光通信機を搭載し、高度約2000km〜20000kmの中軌道への投入を予定しています。

昨今、地球観測衛星のデータ利活用が加速していますが、低軌道の衛星から地上にデータを伝送するには、通信領域が限定的で大量の観測データを迅速に送ることは難しいのが現状です。特に自然災害や安全保障の観点においては、いかに迅速に衛星データを取得し、適切な対応ができるかが重要になってきています。

光通信ネットワークが浸透すると常時地上へのデータ伝送が可能になり、衛星データの強みに「即応性」が加わることになります。迅速かつ的確な災害支援や素早い脅威の検知が可能となるため、光中継衛星は注目を集めています。

LEIHOのイメージ図 Credit : ワープスペース

WarpHub InterSatの2024年冬以降のサービスインに向け光通信地上局の建設を開始

また、今回の記者会見では霊峰の発表の他にも、ワープスペースが衛星開発と並行して独自の光通信地上局の建設を手掛けていくとの発表もありました。ワープスペース代表取締役CEOの常間地悟氏は、以下のように発表しました。

国内外含めて世界で15〜20局の光通信地上局を建設していきます。国内における光地上局を先行して5〜6局建設し、2022年9月には最初の2局が完成する予定です。今後は、地上局サービスを展開する企業との連携も加速していきます。

WarpHub InterSatについては、LEIHOの打ち上げ後最短で2024年冬にサービスのβ版を開始し、サービスが安定したタイミングで光中継衛星2〜3号機の打ち上げを待たずして有償サービスを開始することも予定しているようです。WarpHub InterSatの今後のビジネス戦略としては、以下のようにコメントしました。

ワープスペースは、衛星間通信によるリアルタイム中継のコア技術は知財として保有しながら、あくまでも通信キャリアとしてのポジションを取って行く予定です。また、小型衛星向けの光通信機を開発する企業とも連携を深めていき、日本発の宇宙光通信インフラのトップキャリアを目指していきます。

WarpHub InterSatのビジネスモデル Credit : ワープスペース

常間地氏は、今後の事業展開にかける想いを以下のように述べました。

LEIHOは、国内初となる取り組みが多く含まれる小型衛星です。そのような取り組みを、茨城県つくば市を拠点とするワープスペースが手掛ける点は、国としても意義深いと考えています。現状、海外における営業展開及びパートナーシップ開拓を進め、アメリカ法人も設立しましたが、今後もつくば市を拠点としながら事業開発を進めて行く予定です。

宇宙空間光通信のネットワークをコントロールする拠点がつくばになる。この地から、地球低軌道・月・火星に至るまでの通信インフラという切り口を通じて人類社会に貢献していきたいと考えております。

ワープスペースと同様に光中継衛星を開発するAnalytical SpaceSkyloom Globalといった米国のスタートアップも、初号機衛星の打ち上げを2024〜2025年を予定しています。ワープスペースが業界をけん引していけるか、引き続き注目です。

左から、ワープスペースの高橋 亮太氏 / 常間地 悟氏 / 茨城県産業戦略部の伊藤 正敏氏 / つくば市政策イノベーション部の森 祐介氏 Credit : 宙畑編集部が記者会見場にて撮影

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WarpHub InterSat初号機「霊峰(LEIHO)」発表