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IoT衛星事業者のAstrocastがHiberを買収。エネルギー資源のモニタリング事業などを強化へ【宇宙ビジネスニュース】

【2022年6月6日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

5月30日、超小型IoT衛星を開発するスイス発のベンチャーAstrocast(アストロキャスト)が、衛星を活用したIoTソリューションを提供するHiberを買収する契約を締結したと発表しました。今回の買収によりAstrocastは、衛星に対応するIoTデバイスのOEM戦略(受託生産)やエネルギー資源のモニタリング事業の強化を図りたい考えです。

宙畑メモ IoT衛星
地上に設置されたセンサのデータを衛星経由で収集して、分析等を行うサービスが増えています。車両などの移動体や農地や廃鉱のモニタリングなどに利用されています。

Astrocastは超小型衛星によるIoTネットワークによる農業や畜産、海運、環境・公益事業などの分野でサービスを提供しています。2014年に設立され、2021年8月には、欧州の証券取引所Euronext Growthへの株式上場を果たしました。

Hiberは2017年に設立されたオランダ発のベンチャーです。IoT衛星による石油やガス資源のモニタリングサービスなどを提供していて、ExxonMobil(エクソンモービル)やShell(シェル)などの大手企業がユーザー企業として公表されています。

Hiberは衛星コンステレーションを自社で運営する計画で、これまでに衛星4機を打ち上げていました。ところが、2021年9月に、商業サービスを提供できない技術的な問題が発生したという理由で、衛星通信サービスを提供するライセンスを返還する意向が米連邦通信委員会(FCC)に宛てた書簡でわかりました。さらに、同年10月には衛星通信サービスを提供するInmarsat(インマルサット)と戦略的提携を発表していました。

今回の取引により、AstrocastはHiberの全株式を取得するのに引き換えに、新株発行を実施します。また、Hiberの既存の株主は、Astrocastに1045万ユーロ(約14億7000万円)を出資することに同意しているといいます。

サービスの提供が開始しているIoT衛星関連事業者のリソースが組み合わさることで、顧客開拓やサービス開発の加速が期待されます。

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参考

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