9年越し、Boeingが開発する宇宙船Starlinerの試験飛行に参加する宇宙飛行士を発表【宇宙ビジネスニュース】
【2022年6月20日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
6月17日、NASAはBoeingが開発する有人宇宙船CST-100 Starliner(以下、スターライナー)のテストフライトに搭乗する宇宙飛行士2名を任命しました。
スターライナーは退役したスペースシャトルの後継機として開発がスタートした有人宇宙船です。2019年12月に初めての無人飛行試験を実施しましたが、軌道投入に失敗し、ISSへのドッキングを断念。その後、改修が行われ、2022年5月に2回目の無人飛行試験を実施し、ISSへのドッキングを成功させました。
スターライナーの搭乗に向けて訓練を積んでいた宇宙飛行士のなかには、開発の遅れを受けて、ミッションから外れざるを得なくなる人や搭乗する宇宙船がSpaceXのクルードラゴンに変更される人もいました。
今回、スターライナーのテストフライトに搭乗することが発表されたのは、ISSに長期滞在した経験があるベテラン宇宙飛行士のスニ・ウィリアム氏とブッチ・ウィリモア氏です。2人は、スターライナーでISSに到着後、約2週間滞在する予定です。
また、2人とともにスターライナーの訓練を積んでいるマイク・フィンク氏はバックアップクルーを務めます。
NASAのジョンソン宇宙センターの宇宙飛行士室長であるリード・ワイズマン氏は、3名の宇宙飛行士についてこのようにコメントしています。
「マイク・フィンクはこの9年間をボーイング初のミッションに、スニはこの7年間に彼女のキャリアを捧げてきました。(ミッションを外れた宇宙飛行士の後任である)ブッチは、2020年以降、宇宙船のコマンダーとしてチームを率いて素晴らしい仕事をしてくれました」
輸送手段の確保は、宇宙飛行士の活躍機会の創出に直結します。スターライナーの開発動向には、引き続きISS参加国の注目が集まりそうです。
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参考
NASA Updates Astronaut Assignments for Boeing Starliner Test Flight