宙畑 Sorabatake

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政府機関一部凍結、解消するも、宇宙開発には多大なる影響【週刊宇宙ビジネスニュース 2/25~3/3】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

つい先日、アメリカ空軍から低軌道での通信メガコンステレーション計画のために2800万ドルの打ち上げ契約を受注したSpaceX。

3月2日、同社初の有人宇宙船Crew Dragonの打ち上げが成功しました。
Crew Dragonは、国際宇宙ステーション(ISS)への輸送を目指し、有人宇宙飛行を念頭に開発されている宇宙船で、宇宙船の最終テストを目的に無人で打ち上げられました。ISSへのドッキング・回収・再突入までを実験します。

同じくISSへのドッキングを目的にしたボーイング社の「CST-100スターライナー」は無人宇宙飛行実験の予定が4月となっているため、それに先駆けての実験成功となれば、有人でのISSドッキング成功に向けリードします。ちなみに、ISSへの有人宇宙船のドッキングは、アメリカではスペースシャトル以来となります。

Crew Dragonを搭載したSpaceXのFalcon9ロケット打ち上げ Credit : Tech Crunch

今回の打ち上げは1月に予定していたものでしたが、メキシコとの国境沿いの壁の建設費用を巡った与野党の対立で、政府機関の一部が凍結したことで、延期を余儀なくされていました。ようやく、1週間前にNASAがゴーサインを出し、実現しました。この時点でCrew Dragonにはスラスタやパラシュートなどにいくつかの小さな懸念が残されている状態で、ロシアなどから指摘を受けてもいましたが、打ち上げまでに解決する、とのNASAの判断により許可が出たものとなります。

一方、NASAの月ゲートウェイ構想については政府機関凍結の余波で、より大きな影響を被っています。月周回予定の第一弾宇宙船の打ち上げが、当初計画から最大3ヶ月遅れる見込みです。次々に月周回軌道に物体を打ち上げ、月面ゲートウェイを組み立てていく予定のため、今回の第一弾の遅延はドミノ形式で後続のプロジェクトに影響を及ぼします。

NASAの構想する月ゲートウェイイメージ Credit : NASA

NASAは2020年までに火星からのサンプルリターンを計画していますが、それについても望みが薄いと発表しており、アメリカの国家宇宙開発には暗澹たる雰囲気が漂っています。

NASAの構想する火星からのサンプルリターンイメージ Credit : NASA

NASAの月面ゲートウェイ構想については、ISSでのロボットアーム技術などで影響力のあるカナダが参入することとなりニュースにもなりました。

NASAの月面ゲートウェイ構想に参入を発表したカナダの宇宙機関CSA (Canadian Space Agency) Credit : Adam Scotti, Prime Minister’s Office, SPACENEWS

大型プロジェクトに関しては、政府機関が1日凍結されたから、1日延期される、というわけではなく、もっと多大な影響を及ぼすのです。凍結中に退職したエンジニアの代わりに新たな人を採用しなければならなかったり、人員の再配置が必要となるなどにより、5週間の営業停止の影響は最大3ヶ月の遅れに繋がります。

国外との協力体制の必須な巨大プロジェクトにおいて、アメリカ国内の政府の問題がどのように波及して行くでしょう。世界をリードするアメリカが、純粋に技術以外の理由で他国に影響を及ぼすなどないようにしてほしいですね。

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