Synspectiveが地盤変動から災害予兆変動を検知する機能を開発。土砂災害の早期警告等への活用が期待【宇宙ビジネスニュース】
【2022年9月4日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
8月26日、小型SAR衛星事業者のSynspectiveが、斜面崩壊などの土砂災害発生前の予兆変動を検知する地盤変動解析装置と地盤変動解析方法である斜面不安定性検知機能を開発し、特許出願したと発表しました。
Synspectiveによると、これらの技術によって地盤災害の前兆となり得る変動がいつどの場所で起きているのか捉えられるようになり、災害リスクの早期警告などに活用することが可能となるとのことです。
国内では、裏付けのない予報によって混乱が生じるのを防ぐために、気象庁以外の事業者は気象庁の許可を得て予報業務を行わなければならないことが定められています。天気、波浪、地震動、火山現象、津波、高潮の6分野については、国の認可を得た事業者が予報業務にあたることができます。
一方、洪水や土砂災害の予報は防災との関連が強いことに加えて、河川の状態や斜面の崩れやすさなどの様々な要因の影響を受けるため、民間事業者が適確な予測を行うことは技術的に困難であるとされていて、予報業務の許可は実施されていませんでした。
しかしながら、近年は災害が頻発するようになり、「社会全体で防災や事業継続に対する意識が高まってきており、利用者の多様なニーズに対応した洪水や土砂災害の予報が求められている」として、民間による洪水と土砂災害の予報の提供に向けた制度の構築を始め、予報のあり方を見直す動きが出てきています。
土砂災害の予報業務が民間に解禁されれば、SARデータの需要拡大に繋がるかもしれません。
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参考
SARデータ解析による、災害発生前の地盤変動から災害予兆変動を検知する”斜面不安定性検知機能”を開発*特許出願中(PCT/JP2022/026506)