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月面着陸船の開発を手掛けるIntuitive MachinesがSPAC上場へ。「3年で事業計画を黒字化する資金を確保」【宇宙ビジネスニュース】

【2022年9月19日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

9月16日、月面着陸船や月面のインフラ開発などに取り組むIntuitive Machinesが特別買収目的会社Inflection Point Acquisition Corp.との合併、いわゆるSPAC上場により、ナスダック市場への上場を目指すことを発表しました。

宙畑メモ
SPAC(特別買収目的会社)とは、その企業自体は特定の事業を持たずに、一定期間内に未公開会社・事業を買収することのみを目的として株式市場に上場する企業のことです。従来の新規株式公開(IPO)よりも簡素なプロセスで上場を果たせるため、近年この方式の上場を採用するベンチャー企業が増加しています。

Intuitive Machinesは2013年に創業したスタートアップ企業です。NASAの商業月面輸送サービス(通称CLPS)に採択されていて、NASAや民間のペイロードを搭載した月面着陸船を2023年第一四半期までに打ち上げる予定です。

さらにIntuitive Machinesと高温ガス炉の開発を手掛けるX-energyの合弁会社IXは、月面に打ち上げられる原子力発電のシステム設計を実施する企業を選定としてNASAに選ばれるなど、Intuitive Machinesは様々なかたちで月面開発に携わっています。

NASAの宇宙探査プログラムやアルテミス計画の予算は930億ドル(13兆3000億円)に上ります。Intuitive Machinesは商業月面輸送サービスで3つのミッションを獲得していて、同社によるとこれは民間企業のなかで最も多い契約獲得数だといいます。また、Intuitive Machinesの2022年の収益は約1億200万ドル(145億8000万円)になると見込まれています。

合併が発表されたInflection Point Acquisition Corp.は、経営や投資の経験が豊富なポーラ・サッター氏が代表を務めているほか、ベンチャーキャピタルKingstown Capitalの関連会社が参画しています。

合併に伴い、Intuitive Machinesは資金5500万ドルと5000万ドル分の出資枠を調達することになります。同社は「今後2~3年で事業計画を黒字化するための資金を確保できると予想しています」と発表しています。

膨大な初期投資が必要な月面開発に取り組む企業にとって、SPAC上場は資金を確保するための有力な選択肢のひとつだと言えそうです。

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参考

Intuitive Machines,to List on Nasdaq Through Merger with Inflection Point Acquisition Corp.

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