宙畑 Sorabatake

衛星データ

宇宙人がお忍び地球来訪! 衛星データでUFO着陸候補地を予想してみた

もしも宇宙人が地球に来訪するなら、UFOをどこに着陸させるのでしょうか? 真面目に宙畑で考えてみました。そして着陸スポットの条件を探るためUFO研究家の寺薗さんにお話をうかがいました。

宇宙のメディアをやっていると、宇宙人やUFOに関して聞かれることがあります。

宇宙人やUFOっているの? 人工衛星でUFOは見つけられる? 宇宙人はもう地球に入って来ていると思う? などなど。

これまでは「いたらいいな」とか、映画『メン・イン・ブラック』や『メッセージ』のように地球外生命体とコミュニケーションがはかれたらいいな、と漠然と考えて答えていましたが、専門家に宇宙人の目的やUFOの条件を教えてもらえば、衛星データを使ってUFOが出没しやすい場所や着陸する場所がわかるのでは?

そこで、『惑星探査入門(朝日新聞出版、2014年)』の著者であり、UFO研究者としての顔も持つ寺薗淳也さんに協力いただき、UFOの特徴や地球にやってくる目的、選びそうな着陸スポットをうかがいました。

寺薗淳也(てらぞの じゅんや):1967年生まれ。元JAXAの職員で元大学教員。ITベンチャーUSP研究所にてIT系の普及啓発をする傍ら、月惑星探査の普及啓発としてイベントに参加したり、書籍を出版。オウンドメディア『月探査情報ステーション』を運営。UFO研究家の肩書きを持つ。

ーー寺薗さん、今日はよろしくお願いします。具体的な話を始める前に、まずはUFO研究家になった経緯を教えてもらえますか。

寺薗:よろしくお願いします。私は最初からUFO研究家だったわけではありません。宇宙全般に明るいので知人などから相談を受けていた流れでそうなった、という感じです。

もう少し詳しくいうと、学生時代にUFO・超常現象研究家の矢追純一氏のUFO特番にハマって、UFOに乗って宇宙人が地球にやってきているのだと信じていたのですが、アポロ疑惑(人類が月面着陸したというのは、アメリカの嘘である、アポロの宇宙飛行士は宇宙人を見たが隠ぺいしているといった説)があったときに疑似科学や陰謀論を知り、少し距離を置いて考える姿勢を取り始めるようになっていました。

ただ、友人らに誘われるがままUFO研究家という立場でテレビに出たり、ASIOSという怪現象を調査する団体に加わらせてもらったりという活動を通して今のポジションになったのです。

ーー90年代は空前のUFOブームでしたよね。今回のテーマは、宇宙人がUFOに乗って地球にやってくるとしたら、どんな目的で、またどんな場所を選ぶのかをデータで探っていくものなのですが、そのような設定で一緒に考えてもらってもよろしいでしょうか。

寺薗:はい、大丈夫ですよ。

地球にやってくるUFOの前提条件を決めよう

ーーさっそくですが、地球にやってくるUFOの大きさや速度に一定の見解はあるのですか? できれば地球人にばれずに着陸したいと思うのですが。

寺薗:まず、UFOには偵察用と、その偵察用のUFOを積む母艦のような2種類が存在すると考えられます。

実は、これまでの目撃談や地面に残された証拠と言われているものを参考にすると、大きさはまちまちなのです。偵察用のサイズは、小さいものだと数十センチ。今で言うところのドローンのようなサイズです。

また、1998年に土星の輪の中にUFOらしきものが見えると言われたときは、数万キロメートルレベルのサイズと言われていました。

今回は宇宙人がUFOに乗って地球にやってくる設定なので、偵察用のUFOは人間が2人くらい乗れる数メートルサイズで、地球に降り立ってからの移動手段として時速60kmの反重力バイクのような乗り物を積んでいることにしましょう。

調査を目的にしているとすれば、サンプルを持って帰る大きめの収納スペースが必要になります。「はやぶさ」や「はやぶさ2」のような帰還カプセルの中に全て押し込むというレベルではなく、植物などを丸ごと母艦に持って帰るという想定のサイズです。

母艦は数百メートル程度の大きさで、偵察機のように地球に降りてくるのではなく、地球の人工衛星を邪魔しないように静止衛星軌道の外に位置していると考えられます。

かといって、月までいってしまうと地球から遠すぎるので、5〜10万キロあたりに常にいるというのが妥当でしょうか。

また、母艦は、様々なセンサ(光学、SAR)を積んでおり、リモートセンシングで地球のマクロな情報を得ている可能性があります。

偵察用の衛星が地球上のどこに偵察に行くのか、どこに着陸すると地球人から見つからないのかをリモートセンシングで得た情報を参考にして判断し、地球に向かっている……という設定で今回の考察を進めましょう。

ーー今の話だと宇宙人の文明は人間よりも高度ということになりますよね。

寺薗:地球人より少し進んでいると考えましょう。ただ、UFOが瞬間移動できるとか透明になれるとかの特別な設定を入れてしまうとややこしくなってしまうので、含まない仮定で。

静止衛星軌道より上でも地球の情報が高解像度で得られるなど、UFOに搭載しているセンサは地球のリモートセンシングより性能が良いことにします。

ーーUFOが地球にやってくる目的はなんでしょう。

寺薗:ずばり、調査です。我々が宇宙人がいるのか知りたいように、宇宙人も、多様な環境あるいは環境と考えられる場所を調べたくて地球まで来ていると考えられます。

地球上の生命や人類のような知的生命を作ったのは実は宇宙人で定期的に監視しているとか、ハリウッド映画にありがちの設定で侵略とか言われることもありますが、これだけ目撃されていてもまだ侵略されていないとなると、侵略の可能性は低いと思います。

地球に住みたいなら、地球人にコンタクトをとっているはずなので、その可能性も低いでしょう。

ーーたしかに。侵略が目的なら既にそうなっていますよね。地球人との接触を避けるなら、都市部を調査するにしても、なにかに変装して紛れ込むとかではなく、山間とかから望遠で覗いていそうですね。

寺薗:そうですね。宇宙人は地球人に見つからないように動くと思います。地球人が少ない場所に行くか、地球人に気づかれない距離から超望遠カメラで撮るというような感じになるのでは。

【UFOの前提条件】
1)偵察機と母艦の2つ。地球に来るのは偵察機
2)偵察機は人間が2人くらい乗れる数メートルサイズ
3)偵察機はバイクを積めて収納スペースがある
4)侵略ではなく調査目的

宇宙人の調査目的と興味を持ちそうなもの

ーー宇宙人は地球の何を調査したいのだと思いますか? 昔は、地球人がUFOに誘拐されて人体実験されたなんて話がありましたが、地球の生き物に興味があるのでしょうか。

寺薗:全般的に調査したいとなれば可能性はあるかと思います。しかし、宇宙人の土地にも動物はいるでしょうし、植物とかもあるでしょう。

人間が宇宙人がいるのかどうか、どれくらい離れた場所にいるのかを考えるのは、宇宙人が地球を調査したい気持ちを反映しているかもしれません。つまり、知的生命は知的生命に興味を持つのだと。

それは、孤独ではない、孤独ではないと思いたいから地球までわざわざやってきているのかも。そうなると、調べたいのは文明や地球人の営みではないでしょうか。

ーー文明や営み……。具体的にどういったもので、調べるためにはどこに行くと思いますか?

寺薗:これは空想と真面目な考察のふたつが考えられます。まずは、空想のところから話していきますね。

地球人がどんなことをしようとしているのか、どんな生活をしているのかに興味を持つはずでしょうね。だから、目立った行為が行われている場所、今だとウクライナとロシアが戦争をしている場所にやってくる可能性はあるでしょう。

実際に、第二次世界大戦中にもフー・ファイターと呼ばれる未確認飛行物体が多数目撃されているのです。

あとは、人間の活動として特徴的な場所です。エネルギーを生み出している油田とか、ガス田。原子力発電所や都市なんかも考えられます。なんらかの活発なアクティビティがあるような場所を見てみたいだろうというのが、私の想像の範囲です。

学術的に考えるなら、1980年にカール・セーガンが書いた『コスモス』に書いた、火星を調べるときの考えが参考になります。セーガンは、もし知的生命が海のものとも山のものともわからない天体を調査する際にどういったところに着目するだろうか、と考えて「幾何学的な模様」だと結論づけたのです。

例えば、直線や安定した綺麗な円形、綺麗な円形に曲がっているような泡とかですね。自然にできたものだとランダムに流れたりしますが、直線上の道路やUFOの着陸点のような円形の場所といったものが知的生命の存在の重要な証拠になるのではないかと考えました。

先ほど挙げたガスタンクや石油タンクは、膨張しても均等に圧がかかるようになっているという物理的な制約もあって丸い形状をしていますが、やはりそれも知的生命の存在を示すという意味でつながっている部分もあるかもしれません。

ーー都市を調べる場合、宇宙人は何を基準に判断していると思いますか?

寺薗:ひとつは幾何学形状です。ニューヨークや札幌市のように、道路が直線的かつ直角に交わるような形をしていると、自然にできたものではない、あるいは自然の影響を受けているものではないと判断できます。間違いなく知的生命が作ったものだと考えられるのです。

ーー夜間の光も基準になりますか?

寺薗:前述のカール・セーガンは、夜間に本来自然には発生しない光があるなら、知的生命がなんらかのエネルギーを消費して活動した証になるだろうと指摘しています。例えば、日本海に浮かぶイカ釣り漁船の灯りは明らかに自然の光ではありませんよね。

ーーでは幾何学模様とエネルギー消費性といった知的生命がいる証を掘り下げて行ったら、宇宙人が求めているものがわかってきそうですね。

寺薗:そうですね、もうひとつ人間の活動を知るための有効な手段として、ゴミを調べるという手もあります。そこら辺に捨てられているプラスチックや不要になった機械などがあれば、持って帰って分析すると考えられるでしょう。

ーー……ゴミですか?

寺薗:実は、ネットワークセキュリティやコンピュータセキュリティの分野でも、ネットワークやサーバーをハッキングしなくても、ターゲットの施設に入り込んでゴミ箱の中を漁れば良いと言われているのです。組織の情報が紙で捨てられている場合があるので、それを拾って来たほうがはるかに役に立つこともあります。

人間の文明がどれほど進んでいたり、何に興味を持っているのかは、ゴミから推測できると考えられます。それこそ、北大西洋のサルガッソー海のように世界中のゴミが溜まりやすい場所は、濃密に人類文明を調べられる場所かな、と。

上空からリモートセンシングで見ながら、海の中に集まっているものを人類が吐き出したものだと推測できるのであればという話ですが。

ーー例えば、複数スペクトルで見た時に植物などと明らかに違う反射スペクトルを示すとか、それが地球人の出したゴミだと判断できるのであれば、可能性はありそうです。

【宇宙人が興味を持つもの】
1)戦争や油田、人工的な光などの目立つもの
2)知的生命が造ったと思われる幾何学模様
3)ゴミが集まる場所

UFOが着陸しそうな場所を考えてみよう

ーーところで、宇宙人が地球人の営みを知りたいとかサンプルが欲しいとなったとき、その近くに着陸スポットのようなものを探すのでしょうか。その場合は、飛行機の滑走路のようなものは必要なく、基本的に垂直に降りられると考えて大丈夫ですか。

寺薗:そうですね。UFOの動力機関が反重力装置や重力を完全にカットするものであれば、ストンと降りて来ても中の宇宙人は無事です。なので、ある程度離れた場所に着陸スポットを見つけて降りてくるのでは。

ーー着陸できるスポットに必要な面積はどれくらいになりますか。

寺薗:例えが適切でないとは思いますが、「はやぶさ2」の2回めのタッチダウンでは許容範囲が6×6mでした。なので、それくらいあれば大丈夫でしょう。周辺の環境としては、やはり傾斜よりは平地の方がいいと思います。

ーー地球人に見つからないスポットとなるとどのような場所が候補になりそうですか?

寺薗:そうですね。例えば、ウクライナを見たい場合、平原が広がっていて隠れやすい場所が少ないので森とかが候補になってしまうと思います。

逆に日本のように地形の起伏が激しいところは山や丘がたくさんあるので、都市部でないのに妙に光が強い場所などを特定して、その近くの高くて、何かあればすぐに隠れられる場所から眺められそうです。

時速60キロメートルで走れるバイクを持っている想定なので、そのような場所に1時間で行ける場所というのも着陸スポット候補に求められる条件でしょう。

【着地場所の条件】
1)6mx6mの広さがある平地
2)人類との接触を避けて観察するために身を隠しやすい山など、地球人の営みを観測可能な場所まで時速60kmのバイクで1時間程度の移動で移動できる距離にある

着陸スポットの条件を衛星データで探すなら

寺薗さんと「宇宙人がUFOで地球に着陸するなら」をテーマに議論をした内容について、楽しんでいただけましたか? 宇宙人の思考について、寺薗さんから様々な視点で教えていただきました。

そして、ここからは衛星データの利活用を考える宙畑の出番です。今回お話をうかがった内容をもとに、もしも宇宙人が地球を訪れるならどこに着陸するのかの候補地を衛星データをもとに探る方法を検討します。

そして、「宇宙人が興味を持つもの」「着陸場所の条件」の2つの軸で洗い出した項目について、衛星データで探す方法を考えてみた結果が以下になります。

■宇宙人が興味を持つもの

1)人工的な光や戦争による影響などの目立つもの

人工的な光は夜間に地球を撮影した衛星データ「夜間光」で調べられるでしょう。実際に夜間の光と各国(特に新興国)のGDPは相関していると言われており、その地域がどれほど発展しているかもある程度把握することができます。

戦争についても、現在、ロシアのウクライナ侵攻の報道で衛星データが用いられることが増えています。例えば、市街地の変化や畑が燃えてしまっていること、逆に畑があるのに作物が育てられずに放置されていることなどを、衛星データから観測可能です。

2)知的生命が造ったと思われる幾何学模様

幾何学模様も衛星データで観測可能です。例えば日本ではあまり見かけないかもしれませんが、海外にはきれいな円形の畑があります。

季節によって作物の状態変化もあるため、この幾何学模様が人工的なものであるということは宇宙人にとっても一目瞭然でしょう。

3)ゴミが集まる場所

海岸や河口部に蓄積したゴミを衛星データから観測する取り組みもすでに存在します。

ある程度の解像度が必要なため、無料で使える衛星データからの把握は難しいかもしれませんが……。

■着陸場所の条件

1)6mx6mの広さがある平地
その場所が傾斜地なのか否かはすでに複数の地理空間データが存在するため、それらを用いれば条件を満たす場所を探せるでしょう。
2)人類との接触を避けて観察するために身を隠しやすい山や森など、地球人の営みを観測可能な場所までバイクに乗って1時間程度で移動できる距離にある
起伏の激しい場所は標高データを用いて、森が近くにあるか否かは植生データを用いて衛星データから探すことは可能でしょう。

以上、衛星データをもとに探す場合の方法について整理してみました。

「着陸場所の条件」に当てはまる場所はかなり多いと考えられるため、まずは「宇宙人が興味を持つもの」の3つの条件に当てはまる場所を探して、その周辺に「着陸場所の条件」がないかを探してみるという順番で進められるとUFOの着陸スポット候補地を探せるかもしれません。

実際に探してみた!という結果はまた後日、解析結果と合わせてご紹介予定です。お楽しみに!

さいごに

さて、ここまで宇宙人が乗ったUFOが地球に来ることを前提として話を進めて来ました。もしかしたら、宇宙人はもう地球に来ているのかもしれない、映画『メン・イン・ブラック』のように私たちの生活に溶け込んで生活しているのかもしれない、とワクワクしている方もいるかもしれません。

でも、最後にお伝えするのは、UFOと宇宙人は切り離して考えなければならない、というちょっと真面目な話です。

UFOと聞くと宇宙人の乗り物という印象がありますが、UFOはUnidentified Flying Objectの略語であって、未確認飛行物体という意味です。

寺薗さんは、「誰かが空を見上げて飛行機やヘリコプターとも違うものが飛んでいて、それをUFOだと思うならUFOになる」「だとするとUFOは世の中に数多存在する」と言います。

そして、宇宙人に関しての寺薗さん個人の考えとしては、「この広い宇宙に生命に適した天体がたくさん存在しているのがわかっている以上はその中に知的生命がいてもおかしくないだろう」とする一方で、「だからといってUFOに宇宙人が乗って地球に降り立つとか上から手を振っているとなると話は別」なのだそう。

また、宇宙人のビジュアルも、私たちがイメージするような目のつりあがった宇宙人であったり、爬虫類型であったり、また何百万年も前から地球に潜入しているといったものも結びつけて考えることはできないようです。

つまり、UFOと宇宙における知的生命、そして目のつりあがった宇宙人という3つは切り分けて考えなくてはならないということのようです。でなければ、間違いを起こしやすく、また陰謀論にもハマりやすくなるのだとか。

とはいえ、UFOでやってきた宇宙人が海ゴミを収集したり、油田や電照菊を調べていたりするのを想像するのは純粋にワクワクしますよね。今回あたりをつけた場所にいったら、宇宙人を探してキョロキョロするかもしれません。