指先サイズの顕微観察装置を開発するIDDKが英ベンチャーと提携。宇宙空間に小型バイオ実験室の構築を計画【宇宙ビジネスニュース】
【2022年12月28日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
12月19日、指先に乗るほど小さいチップ型の顕微観察装置を開発するIDDKが、衛星を使った製造実験プラットフォームの開発を行うイギリスのベンチャーSpace Forgeと業務提携をしたことを発表しました。
Space Forgeは2023年前半に実証機「Forge-Star™-0」を地球低軌道上に打ち上げ、衛星による微小重力環境における製造の実証を目指す予定です。その後、2024年前半に打ち上げを予定している次号機でIDDKと共同で微小重力環境における宇宙バイオ実験の実証を行います。
将来的にはIDDKが開発するワンチップ顕微観察技術(MID)を用いた小型バイオ実験室をSpace Forgeのプラットフォーム「Forge-Star™」の中に構築する計画だといいます。
世界では複数の企業が衛星を活用した軌道上の実験・製造プラットフォームの開発に着手しています。
Space Forgeのプラットフォームの特徴は、軌道上で実験・製造したサンプルの回収が可能なことと機体の再利用が可能であることです。IDDKによると、打ち上げから軌道放出、運用、地上でのサンプル回収までを一気通貫のサービスとして提供していることも魅力だといいます。IDDK取締役最高財務責任者・吉岡康平氏は、Space Forgeとの協業について
「世界中の様々な企業が大気圏再突入技術の実証に力を注いでいる中で、一歩リードしているSpace Forgeとの提携を発表できて嬉しく思います」
と述べています。
IDDKは2017年に設立されたベンチャー企業です。2020年には大日本印刷、東芝、ミスズ工業からシードラウンドで資金調達を実施しました。小型宇宙利用プラットフォームを開発する東北大発ベンチャーElevationSpaceとも2021年に協業を発表しています。
IDDK代表取締役社長・上野 宗一郎氏は
「日本のみならず、世界中でパートナーシップを構築していくなか、今回、新たにSpace Forgeとの提携を進めることができたことは、顧客に対して大きな付加価値となると考えています。今後、各国地域との連携も深め、民間主導による宇宙バイオ実験のプラットフォームを構築していきたいと考えています」
と意気込みを述べています。